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【採用マーケットトレンド】 激動の1年の振り返りー23卒採用成功の鍵とは?ー

22卒の採用活動は、新型コロナウィルスの流行に大きく翻弄されました。スケジュールや選考方法の変更に追われた人事の方も多かったと思います。


今回は2020年度の就活市場では一体何が起こっていたのか、そしてオンライン化が急速に進んだ結果、23卒の動きはどうなるのかを就活サイト「ONE CAREER」の利用状況や、各社の市場調査から考察します。


22卒の就活は先行きの見えない不安から、今まで以上の早期化が進みました。しかし、それよりも注目すべきは「エントリー数の増加」と「内定保留期間の長期化」です。学生の不安や、入社先を決められない様子がデータに表れていました。

▼ 新型コロナがもたらした変化は「早期化」「エントリー増」と「内定保留」

就活の早期化と長期化
毎年、ワンキャリアでは会員の就活動向の変化を調査していますが、2020年度は夏インターンの情報解禁である「大学3年6月」より2ヶ月前の「大学3年4月」からエントリーが増加する傾向が見られました。

また、通常夏から秋にかけては活動が減るのですが、エントリー数は一定数まで低下した後下げどまりを見せています。早期層が継続してエントリーしていること、あるいは中〜後期層の活動が前倒しになっていることが分かります。

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このようなトレンドは、「ワンキャリアクラウド採用計画」でも随時公開していきます。

1人あたりエントリー数は昨年の3倍以上に。その一方で……
コロナで学生の動きがどうなるか不明瞭だった2020年の春頃、多くの企業様から「意外にもエントリーが好調だ」という話をお聞きしました。

2022年卒の1人あたりのエントリー数は2021年卒と比べて大きく増えました。その差分はなんと約3.5倍です。就職活動が活発だったことがよく分かります。しかし、弊害がなかったわけではありません。時間が経って選考が進むにつれ、辞退率が例年以上であるという声が増え始めたのです。

不安による就活の前倒しに加えて、オンラインイベントの増加で応募の敷居が下がったことも影響していると考えられます。学生がより早く、気軽に応募するようになった結果、後半になって選考辞退する学生が増えているのです。

内定保留期間が長期化。外資系企業やベンチャーは戦略の転換が必要か?
開始時期が早まり、エントリー数も増えたことで、就活が早めに終わるのかと思いきや、そうでもありません。学生の内定保留が長期化し、人事側はなかなか最終入社予定者が決まらない期間が続くという実情も分かりました。

ワンキャリアが取得している学生の内定実績調査では、21卒の大学3年2月時点での「内定保留」率は48%であったのに対して、22卒同時期の「内定保留」率は73%になっており、この時期における内定保留率の高さはここ数年で最大です。

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就活のオンライン化によって企業・学生ともにアクションが気軽になった反面、内定先へのロイヤルティが高まりづらく「早く内定をもらったからこの会社に決めてしまう」という学生が減少していると考えられます。

特に早期に学生の心を掴み、ロイヤルティを高めることで採用を成功させてきた外資系企業やベンチャー企業は、今後大きな戦略転換が必要になる可能性があります。

2023年卒も「オンライン就活」隆盛の状況は続く
2023年卒も2022年卒と同様、情報収集の開始が前倒しになっている点は同じです。新型コロナの収束が見えない中、オンラインでの就活がベースになることも変わりそうにありません。仮にオフラインイベントができる情勢になっても、学生にとって、時間と金銭面でメリットの多いオンライン就活が下火になる可能性は低いと考えられます。

2020年6月にエン・ジャパンが発表した調査では、7割の学生がオンライン就活にメリットを感じると答えています。学生のリアルなコメントも掲載されていて参考になります。

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22卒学生600名に聞く「オンライン就活」意識調査―『iroots』ユーザーアンケート集計結果引用

▼ 情報収集方法にも変化──WebページやSNS、クチコミの比重が増えている

また、情報収集の方法にも変化が出ています。学生からは「大学に行けず、他の就活生がウェブ上で発信する情報が今まで以上に重要な情報源になっている」という声が上がっています。

2021年1月にDISCOが公表した調査結果では、就職活動に関する情報の入手経路について「学内イベント(−14ポイント)」や「友人や先輩から(−6〜7ポイント)」が減り、「企業ホームページ(+3ポイント)」や「SNS(+7.1ポイント)」が増えました。多くの学生が、同様の状況に置かれていると考えられます。

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DISCO【2022卒】1 月1 日時点の就職意識調査 キャリタス就活2022 学生モニター調査結果(2021 年1 月発行)の調査引用

昨今の就活生は「公式募集情報」「面接やイベントでの印象」「第三者の評判(友人やウェブ上のクチコミ)」にそろって納得できる企業に意思決定をする傾向があります。自社から発信するウェブ上の情報だけに注力するのではなく、SNSや就活クチコミサイトで学生から自社がどう見られているのかを知り、改善していくことも非常に重要です。

▼23卒採用の成否を分ける3つのカギ──「早期の情報公開」「目標の修正」「候補者フォロー」

ここまでのマーケットトレンドを踏まえ、23卒採用で成功するためのカギを3つお伝えします。

<23卒採用成功のカギ>
1. ウェブでの早期情報公開(募集に限らない)
2. 歩留まり低下を見込んだ目標設定
3. 候補者フォローに力点を置く

1. 早期の情報公開(募集に限らない)
前述の通り学生の就活情報収集は、ウェブで早期より開始されます。ウェブ上での出会いから採用活動は始まっており、情報が陳腐であったり魅力に欠ければその時点でふるい落とされてしまいます。

採用ブランディングの上手な会社は、募集開始前でも学生が見られるコンテンツを用意しています。例えばサイバーエージェントでは、過去の「DRAFT(選抜型インターンシップ)」の記事を見ることができます。また昨今では、YouTubeで閲覧できる動画を掲載する事例も相次いでいます。事例としてはYahoo! JAPAN の採用ムービーアクセンチュアのエンジニア新卒採用動画などが挙げられます。これらのコンテンツは採用サイトにリンクを設置するだけで募集期間以外でも閲覧してもらえる点がポイントです。

就活早期化への対策は、募集開始を早めるだけでは不十分です。記事や動画などのオンラインコンテンツを用意することで、いつでも学生に企業理解や魅力を感じてもらえる場を設定することが必要になってきています。

2. 歩留まり低下を見込んだ目標設定
1人あたりのエントリー数が3.5倍になっている現状を踏まえると、2022年卒の応募から内定の歩留まりは2021年卒と比べて大幅に下がることが予想されます

最も参考になる基準値は、自社のエントリーから現在選考に残っている学生数の割合(歩留まり)です。自社の現状を踏まえ、2023年卒はエントリー目標を何件にすべきか、シビアに計算して動き始める方が、採用半ばで焦ることもなくなるでしょう。

3. 候補者の「フォロー」に力点を置く
オンライン化によるロイヤルティの低下が明確になった今、入社して欲しい学生を繋ぎ止めることに注力する必要があります。

自社と学生がマッチングする、入社後に双方に良い関係を築けると信じられる学生に対しては、今まで以上に中身の濃い接点を持てるように努力しましょう。候補者フォローの基礎は「学生のニーズ理解」と「タイミング」です。一方的なラブコールでは引かれてしまいます。学生が何を大事にして就活をしているか、何に迷っていて、人事にどんな情報を提供して欲しいと思っているかを聞き、考えることでコミュニケーション戦略を練りましょう。

#新卒採用のトリセツ 」では今後、候補者コミュニケーション戦略の立て方や、効果的な面談方法などもご紹介していきますので、ぜひマガジンをフォローしてください。

いかがでしたでしょうか。ワンキャリアではより本質的な採用活動を目指す新卒採用担当の方向けに、新卒採用の体系的な考え方から、すぐ活用できる実践方法まで、最新の事例を基に解説する「 #新卒採用のトリセツ 」を公開していきます。

このシリーズが企業の採用力を高め、そして実践する企業が増えることで、学生の就職活動もより健全になることを願っています。

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