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Interview : Kiwi in November 2020.

パンクやエモ等のDIYバンドカルチャーを発信するレコードショップやライブハウスが根付く街、八王子。この土地で産まれたドリームポップ4ピース「Kiwi」のルーツは彼らが生まれる以前の90年代ロックにあります。彼らがインタビューで語る、影響を受けた数々のバンドに共通するのは、ロックギターにとって最もオーソドックスな奏法「ストローク」で心を揺さぶる景色と感情を描写するスタイルということです。ギターをかき鳴らす一瞬・一瞬に交錯する、光輝くような胸の高鳴りと過ぎ去る時間に途方に暮れる感覚。彼らの1st albumのタイトル"Before you're gone"にも象徴的な、そんな相反する感情を代弁してくれる若きロックバンドが音楽と出会ったきっかけとは?

▽こんにちは。新宿ナインスパイスの佐藤です。本日はよろしくお願いいたします。最初にメンバーのみなさんそれぞれから自己紹介をお願いします。

尾関:よろしくお願いします。ボーカルギター担当の尾関です。
櫻井:ベース担当の櫻井です。
小川:ドラムス小川です。好きな食べ物はラーメンです。
和田:ギター担当の和田です。よろしくお願いします。

▽みなさんは20代前半ということで、10年代の音楽シーンをリアルタイムで体感してこられたかと思います。この10年は日本を含めた世界中でポップスやインディロック、R & B、ヒップホップ、ダンスミュージックとあらゆるジャンルの音楽が活発に進化していて、90年代後半から音楽を好きになった僕としても新譜を追うのがとても楽しい年代でした。みなさんは何がきっかけで楽器を始めたのでしょうか?初めてハマったアーティストや、初めてコピーした曲などお聞かせいただきたいです。

尾関:自分は音楽が好きで楽器を始めたわけではなかったです。中学生まで漫画家を志していたのですが挫折してしまい、何か打ち込めるものはないかと思っていた時に、友人達に「みんなで楽器始めてバンドやろうぜ」と誘われたのがきっかけでした。その時の仲間に教えてもらったoasisやBlurなどのブリットポップのバンドが自分を音楽にのめり込ませてくれました。

櫻井:10代前半はジュディマリを中心にJ-POPを主に聞いてましたが、高校生でRADWIMPS、Galileo Galilei にハマりそこからバンドをメインに聞くようになりました。バンドは大学生になってはじめました。初めてコピーしたのはradwimpsだったと思います。

小川: 僕がドラムを始めたのは高校からでしたが、今の自分のプレイスタイルや音楽の嗜好性がはっきりしてきたのは大学に入ってからでした。友人に勧められて、LOSTAGEやblood thirsty butchersを知りました。そこから、日本のオルタナティブロックのルーツを遡って聴くようになりました。RIDEやマイブラを知ったのもその頃でした。

和田:ギターを手に取ったきっかけは親が聴いていた尾崎豊で、その後にTHE BLUE HEARTSにハマって、エレキギターに段々とハマっていきました。高校時代に洋楽を教えてもらったあたりから自分自身の好きなものが徐々に確立されていったかなと思います。

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▽僕はKiwiの楽曲の音の質感が豊かなところがとても好きです。目を閉じて聴いていると色々な自分に起こった出来事や、子供のころに見た紅葉とか雪景色とか、鈍行から見た田園の風景など感受性が豊かだったころの気持ちが甦ります。

全ての楽曲を通して統一された世界観を感じます。メンバーの皆さん同士で何か話さなくても通じる価値観を共有されているのかなと思ったのですが、共通して好きなバンドやジャンルがあるのでしょうか?映画や漫画、お笑いなどなどなんでもかまいませんのでもしあったら教えてください。また結成のいきさつも伺いたいです。

尾関:kiwi自体は、もともと大学の軽音楽部でRIDEのコピーバンドをやるために組んだバンドだったんです。メンバーも今とは違ったのですが、櫻井から「自分たちで曲も作ってみたい」と言われたところから、今のkiwiが始まりました。

それから何度かメンバーの入れ替わりがあって小川と和田が加入してくれたんですけど、この4人の共通点は90'sの音楽が軸になっているところだと思います。僕だったらクリエイションのバンドだったり、櫻井は4AD、和田はSub Popのバンド、小川はRadioheadだったりと、それぞれ特に好きなものとなるとバラバラですが、基本的にみんな全部好きなので、曲を作っている時もイメージの共有や意見交換において共通言語になっていると思います。

あと、漫画だとBECKの話をみんなでし始めると止まらないですね…笑

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▽みなさんの楽曲「Behind The Times」の歌詞と曲から、2000年代のエモバンドの質感を感じました。ずっと変わらない風景と一瞬で消えてしまう瞬間の交錯する儚さというか…個人的にエモ系の音楽が自分に最も影響を与えたジャンルということもありとても好きな曲です。

みなさんは八王子で結成されたということですが、八王子にはライブハウスの「RIPS」やエモ、ハードコアを中心としたラインナップのレコードショップ「senseless recored」、リンキーディンクスタジオでのスタジオライブといったDIYバンドカルチャーをサポートする場所がいくつもあります。かなり昔の話ですが、カレッジタウンにあったスペースXという場所ではアンダーグラウンドで活動するバンドのDIYイベントも行われていました。

やはりこういったDIYカルチャーに触れたり好まれたりされているのでしょうか?

尾関:「Behind The Times」は僕自身もお気に入りの曲です。指摘していただいた変わらない風景や一瞬の儚さというのは、作っていた当時自分が曲作りのコンセプトにしていたことなので汲み取ってもらえてとても嬉しいです。

そういった部分は、シューゲイザーにもエモにもあるフィールだと思います。土地もサウンドもスタイルも違いますが、音楽に閉じ込めているものには共通している点があると思っています。

ですが、「Behind The Times」を作っていた当時は「しっかりとシューゲイザーをやるぞ」という気持ちで曲作りに臨んでいて、エモは全く聞いていなかったんです。話に出てきたRIPSのイベントに出た際にブッカーの方からThe Get Up Kidsを勧められたのですが、聞いてもしっくりこなくて…笑

それからしばらく経って、Bearwearのようなバンドがシーンに出てきて、だんだんとエモというジャンルに興味を惹かれていきましたね。入り口はTurunoverなどの10'sエモリバイバルのバンドだったんですけど、Senseless Recordsの佐藤洋介さんに90'sや00'sのエモバンドをたくさん教えていただいてからどんどんハマっていきました。自分は中でもChristie Front Driveが好きで、メンバー間でもいろんなエモバンドの共有をよくしています。音楽自体もですが、ハードコアやエモのカルチャーにある精神性には脱帽します。ライフスタイルにまで及ぶ強い軸があるからこそ、あんなにエネルギーが閉じ込められた音楽になっているのだなと聞くたびに思わされますね。そういった部分を吸収できているかと言われると自信はないので、今後とも探求し続けていきたいです。

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▽2020年11月現在、コロナ下でライブパフォーマンスをすることが演者にもオーディエンスにも、以前のように自然に遊べるような状況ではまだありません。そんな中スタジオワークとリリース、ライブ活動も活発に行っているKiwiですが、今後のどのようにバンドを進めていくことをかんがえていますか?

櫻井:うまくいかないことも多い状況かと思いますが、だからこそ出来ることやするべきことを見極めて活動していけたらと思います。最近はデモもかなり溜まってきていて、既にレコーディングが終わっている曲も何曲かあるので、自分たちにとってベストな形でしっかりと発表していきたいです。

▽最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします!

kiwi:最後まで読んでいただきありがとうございます!先が見えない状況が続いていますが、皆様の日々をより素敵にできる音楽を届けられるよう精進いたしますので、よろしくお願いします。お会いできる日を楽しみにしています。

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