大坂なおみの行動を論評したこの記事、なんだこれ?
大坂なおみを批判する人に知ってもらいたい事
https://toyokeizai.net/articles/-/372055
プロテニスというスポーツに熟知した専門家の解説、あるいは大坂なおみさんを長年取材し、信頼関係を構築しているルポライターの言説、があったら是非読んでみたい、と思っているのですが、上述のこの記事はそのいずれでもなく、何かちぐはぐな印象を受ける駄文だと思った次第です。
僕が大坂さんに共感したのは、テニスの4大大会をある程度(放送でですが)見てきているというバックグラウンドがあった上で、基本、個人競技であるテニスというスポーツが、いざコートに出たら頼れるものは自分だけ、という、個人という存在が裸になる、その試合に臨むことの勇気と重なって見えたからです。
メジャーリーグやプロバスケットボールリーグからも、人種差別問題への強い問題提起がなされていますが、それらに所属する選手はチームを背負っている。そのチームだって、昨日今日できたわけではなく、長い歴史を持って、ファンから愛されてきたのだから、個人としての発言であっても、その背景に多くの味方を持っていると言えます。
しかし大坂さんはどうでしょう。特に女子テニスの世界では、まだまだ人種的マイノリティが存在する中で、しかも個人として何も後ろ盾を持たず、グランドスラムウィナーとはいえあの若さで、その発言がテニス界を動かすほどの政治力もまだ持っていません。これがセレナ・ウィリアムスだったらより腑に落ちたと思います。
加えて、大坂さんは父親がハイチ人、母親が日本人という出自でありながら、声を上げた時には自らを「黒人」と言いました。
これもまた勇気です。なぜなら白人のみならず、黒人からも非難されるかもしれないからです。お前は黒人の何を知っているんだ、と言われかねない。
それに比べれば日本国内のSNSの反応なんてどうでもいいことです。
何が大坂さんを駆り立てたのかと言えば、見て見ぬ振りができない、何かをしないではいられない。そういう人だということです。魂以外すかんぴん、何も飾ることのないひとりの人間の姿に触れた思いがしました。