NEJM:膵臓癌の術後FOLFIRINOX療法について

FOLFIRINOX or Gemcitabine as Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer

背景
転移性膵臓癌患者に対する、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、およびオキサリプラチンの併用化学療法(FOLFIRINOX)は、ゲムシタビン療法よりも長い全生存率をもたらしている。膵癌切除後の患者におけるアジュバント療法として、ゲムシタビン単独療法と、modified FOLFIRINOXレジメンの有効性と安全性を比較した。

方法
膵管腺癌切除術後の患者493人を、mFOLFIRINOXレジメン群(オキサリプラチン[体表面積1㎡あたり85 mg]、イリノテカン[1㎡あたり180 mg、特定安全性解析後に150 mgに減量]、ロイコボリン[400 mg / ㎡]、およびフルオロウラシル[2400 mg / ㎡](2週間ごと)またはゲムシタビン群(1000 mg / ㎡、4週間ごとに、1日目、8日目、、15日目に投与)にランダムに割り付けた。主要評価項目は無病生存期間。副次的評価項目は全生存期間と安全性。
結果
追跡期間中央値33.6カ月で、無修正生存期間の中央値はmFOLFIRINOX群が21.6カ月、ゲムシタビン群が12.8カ月だった(がん関連事象、二次がん、または死亡の層別ハザード比:0.58。 95%信頼区間[Cl]:0.46〜0.73; P<0.001)。 3年後の無病生存率は、mFOLFIRINOX群で39.7%、ゲムシタビン群で21.4%だった。全生存期間中央値は、mFOLFIRINOX群で54.4ヵ月、ゲムシタビン群で35.0ヵ月だった(死亡の層別ハザード比、0.64; 95%CI、0.48〜0.86; P = 0.003)。 3年後の全生存率は、mFOLFIRINOX群で63.4%、ゲムシタビン群で48.6%だった。グレード3または4の有害事象は、mFOLFIRINOX群の75.9%の患者およびゲムシタビン群の52.9%の患者に発生した。ゲムシタビン群の1人の患者は有害事象(間質性肺炎)で死亡した。
結論
修正されたFOLFIRINOXレジメンを用いたアジュバント療法は、膵臓癌を切除された患者の中でゲムシタビンよりも有意に長い生存率をもたらしたが、有害事象の発生率がより高くなった。


日本人は含まれていない試験であること、日本ではJASPAC-01試験で術後S-1内服が死亡ハザード比0.57ととてもいい成績を残していることを考えると、日本で実際に術後療法としてmFOLFIRINOXを使用するようになるのはまだまだ先だと思います。

また、実際に膵癌の術後の患者さんたちを診ていると、S-1を飲むのがやっとで、とてもとても、G-CSFのサポートを行ったとしてもmFOLFIRINOXが完遂できるようには思えないところもあります。

ただ、術後治療で治る人が増えれば素晴らしいことだと思いますし、ぜひS-1との比較試験を日本でやってほしいなと思うところです。


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