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怪談ナイトフィーバー@札幌/気まぐれ雑記

「怪談師」という職業が市民権を得ている。
私の認識では、世に広まったのはコロナ禍が大きなきっかけであったように思う。
どちらかといえばアンダーグラウンドな存在であった「怪談師」や「怪談朗読者」は、Youtubeというツールとの親和性を得て、瞬く間に支持者を増やしていった。

ここでいう「怪談」とは、小泉八雲のような古典作品のことではない。
私たちの住む日常の隙間に潜む怪異を、体験実話形式で語るものがイマドキの怪談の一般的な流儀。

その中でひときわ異彩を放っている、北海道・小樽市生まれの怪談師「城谷歩(しろたにわたる)」さんの独演会が札幌で開催された。

札幌の怪談コンセプトバー「スリラーナイト」でそのキャリアをスタートした彼は場数をこなす中で、独自のスタイルを確立していった。若いころには劇団を主宰し、脚本演出も手掛けていたという城谷さん。
きっちりと和装に身を固め、落語・講談かのような語り口で滔滔と語るそのスタイルは、唯一無二。
いや、逆に落語家や講談師ではできないレベルにまで特化されたその技法は「城谷節」と名付けられているほどである。

右手の建物がエルカーサ

会場はススキノの南端エリアにあるカラオケ店「エル・カーサ」。
取り壊されたイベントホール「キング・ムー」の向かいに位置しているといえば、札幌の人はイメージできるだろうか。
ちなみにこの場所は、全国的な関心事となったアノ猟奇的な事件の現場から徒歩1分という位置関係だが、まあ、だからなんだという話w

左は影塚さん、右は匠平さん

昼からの第1部にはスリラーナイトの現役キャスト「影塚艶鷲」(かげつかえんじゅ)さん、夕方からの第2部には城谷さんとデビューほぼ同期の怪談師「匠平(しょうへい)」さんをゲストに迎え、それぞれ40分ほどの時間を委ねながら、本人はあわせて4席の怪談を披露。

・配管工事で訪れたビルの、とある部屋で作業員が目の当たりにした超常体験、「鏡の怪」。
・Youtubeチャンネル「城谷の世界」の初回で披露した動画コンテンツでもある「ジョーク」。
・女子高生の友情と裏切り。その悪夢的な顛末を語る「恨みがえし」。
・キャバクラ嬢が自宅で体験した怪異譚、「みやびちゃん」。

いずれも200以上の怪談が公開されているYoutubeチャンネルで見ることはできるが、その話の前後談もまじえて都度、ブラッシュアップされた熱演を楽しむことができるのが生の口演の魅力であることは、ほかのライブコンテンツと同様だ。

今回の独演会では、終了後に場を変えて城谷さん、匠平さん、影塚さんら出演者と、お手伝いで会場にいた怪談師「藤田第六感」さんとスタッフが参加しての交流会イベントも開催された。

詳細はここでは書ききれないが、全国初の怪談バー「スリラーナイト」で腕を磨き、そのコンセプトの基礎を固めた城谷さん・匠平さんの「先輩」と、『札幌ならでは』の味わいを継承し、さらに高みを目指す影塚さん・六感さんの「後輩」が織りなす師弟関係のような絆を目の当たりにすることができて、感激しきりである。

4人の怪談師さんのサイン!

己の世界を形作ろうとする人間に必要不可欠なものは「切磋琢磨」と「友情」なのだということを、改めて感じた1日だった。

玉磨かざれば光なし。
アイツも頑張っている。あの人も戦っている。
もらった勇気をエネルギーに変換するシステムで、私も動きたい。


そんなわけで怪談に興味のある皆様、北海道ゆかりの怪談師、ぜひお試しください!!(^_-)-☆


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