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命の炎、燃ゆる時/シモーヌさん語り読み「ドラッグストア昔話」

noteというメディアに触れはじめて半年。その間にはさまざまな出会いや体験があった。多彩な才能の原石。そのきらめきを感じながら、願わくは私も少しくらいは輝きたいと、日々思っている。

そんな毎日の中で、「コンテンツの新たな可能性」の芽吹きを感じる瞬間があった。

シモーヌさんの「ドラッグストア昔話」語り読み、である。現在はスタエフ以外にもYoutubeでも配信されている。

原作は、拝啓 あんこぼーろさん。

実は私は「紙の本」が好きなので、PCやスマホで長編作品を読むことにはやや抵抗があり、原作の「ドラッグストア昔話」は気になりながらもなかなか手が付けられずにいた。

そんな中、連載の終了を機にシモーヌさんがはじめたこの作品の語り読み。軽い気持ちで聴き始めたところ、ずっぽりと沼にハマった。

風流人を思わせる、あんこぼーろさんの洒脱な筆の運びを楽譜とするならば、舞台女優としてのスキルをお持ちのシモーヌさんが変幻自在のピアニストのように音楽を奏でる。そこにはライブパフォーマンスさながらのグルーブが生まれ、熱量が生まれ、『場』が生成される。

物語自体も生き物としてうねり、シモーヌさんはその首根っこを押さえながら、巧みに言葉を操っていく。

回を重ねるごとにシモーヌさんの挑戦心が昂っていく様も伝わり、聴く側としては、オリンピックで選手が全力を出し切り、金メダルを勝ち取る瞬間を目の当たりにするような高揚感と同種のものを味わったように思う。

これは融合の物語。

一つの結末に向けて、混じり合い、溶け合い、最終的にはすべてが演者の心と身体に融合する。命の炎を煌煌と燃やしながら演じたシモーヌさんは、もしかしたら、この物語を語る前とはちょっぴり違う生き物に進化しているかもしれない。

そして拡散の物語。

結末はコンテンツに触れた私たちの中へと還流され、新たな命を得る。あんこぼーろさんの思惑も、そこにあるように感じる。

こうしたコンテンツがきらめく瞬間を、ほぼほぼリアルタイムで見届けることができたのはまさに僥倖。本屋でも映画館でもなく、noteというメディアで出会えたことに、大きな可能性を感じる。

ああ、この世は、人生は、だから生きるに値する。今夜はこの幸せを胸に床に就きます。・・・目が覚めた時に、見知らぬ畳の上じゃなきゃいいけど。

巡りあいに感謝!


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