【書評】『人新世の資本論』:斎藤幸平
本書『人新世の資本論』は、地球環境汚染や途上国・非正規労働者からの不当な搾取を告発する“ありがちな”経済開発批判にとどまらず、マルクスに遡行することで、資本主義が要請する「成長神話」を根本から解体し、さらにその先の社会のあり方を具体的に模索しようとする、非常に野心的かつ魅力的な本である。
資本制生産様式が回転し続けるための前提条件(=無限の利潤追求と価値増殖)を維持するために、ありとあらゆる事物(惨事ですら!!)をビジネスターゲットとする「歯止めなき商品化」がもたらす地球規