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0から始める 東大情報理工 創造情報学専攻 修士 対策[夏院試](その3)

本記事は、東大情報理工 創造情報学専攻 院試験 対策に関しての記事となります。記事全体が長くなるので、内容に応じ数パートに分けて記事を作成しています。

本記事はそのうちの$${3}$$番目の記事であり、以下の事柄について記述しています。

  • 専門科目[創造情報]の対策法

それでは、記事本体の内容に入ります。



3. 専門科目[創造情報]の対策法

この章では、試験科目のうち、対策がなかなか取りづらい科目の一つである

  • 専門科目[創造情報]

に関する対策や勉強法について紹介させて頂きたく思います。

早速、本題に入っていきましょう!


配点ウエイトの高い専門科目


さて、以前お伝えしましたように筆記試験は以下の$${{3}}$$科目で構成されています。

  • 一般科目

  • 専門科目

  • 英語(TOEFL)

試験要項によれば、大学側はこららの成績を総合的に加味し合否を判定するとあるのですが、その際の重みづけがどの様になっているかは諸説あります。

筆者が事前に調べたところでは、実際の受験者の予想として

  • 一般:専門:英語 = $${1 : 2 : 1}$$(最も有力?)

  • 一般:専門:英語 = $${2 : 4 : 1}$$

  • 一般:専門:英語 = $${1 : 2 : ε(足切り程度)}$$

などといった意見があり、結局の配分はわかりませんでした。

しかし、いずれのケースにおいても共通して見られる特徴があります。
それは、

 専門科目の比重が高い!

ということです。

つまり、専門科目の出来が勝敗の大勢を決定するといっても過言ではなく、

どれだけ専門科目の対策を上手に行えたか、が重要であるといえるでしょう。

そういう意味では、これから述べる内容は本記事全体を通して最も重要な内容ということになるのかもしれません。

専門科目の出題構成

まず初めに、試験の構成についてお話しします。

例年、専門科目は以下に示すように、大問$${{3}}$$問から構成されていて、その出題分野はとても広範囲にわたります。

ソフトウェア・アルゴリズム,コンピュー タハードウェア,情報システムなどに関 する問題が 3 問出題される.

公式入試案内書より

ですが、過去問を分析してゆくとある程度の傾向というのは決まっており、毎年以下のような構成になっていることがわかります。

  • Q1. アルゴリズム分野に関する問題

  • Q2. ハードウェア [論理回路/アーキテクチャ] に関する問題

  • Q3. 情報分野に関する語彙説明の問題


大問別対策メソッド

以下、大問ごとに具体的な対策方法を紹介してゆきます。

(Q1)アルゴリズム分野

アルゴリズム分野に関する対策は以下の本が全てです。

の2冊です。

これは、以前の記事(以下参照)

でお伝えしましたように、一般科目(プログラミング)対策の際に用いた教科書と同じです。したがって、プログラミング対策を行なっている時点でQ1に関する対策は行われていると言ってもよく、新たに特別な対策を講じる必要はありません。

筆者は、この本を読了し終えた後いきなり過去問に取り組んだのですが、その時点でアルゴリズム分野に関する、ほとんどの問題に解答することができました。それだけこの本に書かれている内容が網羅的であるということでしょうか。

(Q2)ハードウェア分野

ハードウェア分野は大きく分けて以下の2テーマからの出題となります。

  • 論理回路(こちらからの出題が多め)

  • コンピュータアーキテクチャ

年度によって、どちらのテーマから出題されるかは場合によりますが、いずれのテーマに関しても、やるべき教材というのは決まっています。

・論理回路

論理回路に関する対策は以下の本が全てです。

これ一冊読むだけで論理回路について一通り学ぶことができます。

また、こちらは東大情報理工の電子情報に所属する先生の執筆された本で、内容も先生が開講されている東大での授業内容に準拠したものとなっているため、院試験対策としても向いているといえます。

加えて、各章の最後に付属している豊富な例題を通して、自身の理解と正しい理解間でのフィードバックを行いながら学習を進めてゆけるのもポイントです。

内容自体は、2週間程度あれば一周できるかと思います。

最初は、いろいろ覚える用語が多く大変かもしれませんが、慣れてくると論理パズルを解いているようで楽しくなってきます。どちらかというと、勉強というよりはパズルゲームをやっているようでした。

・コンピュータアーキテクチャ

アーキテクチャに関する対策はまず以下の本を読みましょう。

広範な範囲にわたるコンピュータアーキテクチャ分野について、わずか140ページほどで網羅的に学習することができます。

ここに書かれていることはいずれも重要なため、全部丸暗記してしまうくらいのつもりで読んでしまうと良いでしょう。そして、こちらも2週間程度あれば一周できる内容となっております。

基本的にハードウェア分野は暗記ばかりであり、考えるよりも、何度も読み返して知識を定着させることが重要です。一度で覚えようするのではなく、複数回の復習を通じて知識を定着させてゆく勉強スタイルをとりましょう。

その上で、以下の2冊で補強を行うのがオススメです。

上の2冊は、コンピュータアーキテクチャにおける広辞苑と言っても良いほど網羅的な教科書となっています。

しかし、その分内容も激重で、値段も高めです。

「全部読む!」ということはめちゃくちゃ大変なのでオススメできません。
(全部読むに越したことはないですが、本当に大変です。合計で800ページくらいあります…。筆者は途中で挫折しました。)

そのため、コンピュータアーキテクチャにおいて比較的頻出である

  • 第4章:プロセッサ(ハザードの種類やパイプライン等)

  • 第5章:記憶階層(キャッシュ、仮想記憶等)

に絞って、図書館などで借りてきて読むというスタイルが良いです。

(Q3)語彙説明問題

毎年、問3は出題形式が固定されており、以下のようなスタイルの出題形式が採られています。

以下に示す情報システムに関する8項目から4項目を選択し、各項目を4 ~ 8行程度で説明せよ。必要に応じて例や図、数式を用いて良い。
(1) スーパースカラー
(2)クロスサイトスクリプティング

実際の試験問題より

おそらくほとんどの方が、このQ3の対策に一番苦労するのではないでしょうか。
というのも、一概に情報システムと言ってもその分野は幅広く、例年どのような単語が出るのかは予測しずらいです。

また、選択の候補として挙げられる単語もわずか8個と少なく、いくら勉強しても自分の知らない単語ばっかりということも珍しくありません。

というか、ここまで運ゲー要素が強いの、試験問題としてどうなんだろうか?

かくいう筆者も、この語彙説明問題に関しては、これといった決定的な対策法をつかむことなく試験を迎えてしまった気がします。

しかし、いざその学習過程を振り返ってみると、確かに傾向というものは存在し、
いくつかのポイントを押さえてゆけば、ある程度の安定した得点率を期待できるようになっている、
と感じます。

そのポイントは、

  • 過去に出題された単語をマスター

  • 深い理解より広い理解

  • 最近の頻出分野を重視

です。

以下、具体的な詳細を見てゆきましょう。

・過去に出題された単語をマスター

実際に過去問を見て初めて気がつくことなのですが、かなりの割合で過去に出題された単語が再び出題される事例が多いです。

私の受けた年も、過去に出題されていた単語から2つも出題されていました。
「☆実際に出題されていた2つの単語」

  • ハッシュテーブル(2019, 2023年度出題)

  • プロセスとスレッド(2006, 2011, 2023年度出題)

以下のリンク先では、2006年以降に出題された語彙説明問題の過去問が記載されておりますが、(勉強の際にもオススメ)

こうして過去のデータを振り返ってみると、その傾向が如実に現れていることが感じ取れるのではないでしょうか。

そういうわけで、過去に出題さている単語に関しては完璧に説明できるようにしておくことが望ましいといえるでしょう。

・深い理解より広い理解

各分野から出題される単語は、その分野においては基本的な用語であることが多く、あまりマニアックな単語は問われない傾向があります。(要はその分野についてある程度勉強しておけば、自然と答えられる内容ばかりということです。)

また、せいぜい4〜8行程度で説明すれば良いということもあり、それぞれの単語についてあまり深い理解を求められているわけではなく、あくまで「私はこの単語について知っているよ」ということをアピールできれば良いわけです。

そのため、限られた分野についての知識を深めておくというよりも、できるだけ広い分野ついて、そこそこの知識を身につけておくことが重要といえます。

その際、こちらの方がまとめてくださっている、分野別の重要語彙一覧PDFがとても素晴らしかったのでオススメです。各分野におけるキーワードが完結にまとめられており、凡そ1000語程度の学習で、幅広い情報分野に関する基礎的な語彙知識を身につけることができました。

あとは、応用情報技術者試験(AP)の教科書もオススメです。
いずれのチャプターも語彙対策にはもってこいの内容となっています。まだ大学院試まで時間の余裕があり、APの試験を受ける機会がありましたら、チャレンジしてみるのも悪くないでしょう。

・最近の頻出分野を重視

最近の時代の流れに合わせてなのからか、機械学習や人工知能、ロボット工学分野からの出題が頻出となっております。

したがって、これらの分野については、個別に重点的な対策をしておく方が無難といえるでしょう。

その際に私がオススメする書籍を紹介しておきます。

こちらの「イラストで学ぶ」シリーズはオススメです。
抽象的な説明にとどまらず、豊富な具体例やかわいいマスコットキャラクターが主人公のストーリー形式で展開が進められていくところがポイントです。

ここまでに述べた3つのポイントを押さえて、学習を進めてゆけば、語彙問題で躓くという可能性はかなり低くなると思います。

あまりにも広い出題範囲に気押されそうになりますが、めげずにじっくりコツコツ積み上げてゆくことが大切です。


4.変わる傾向?ネットワーク分野からの出題

最近の傾向として、Q2.の位置にネットワーク分野に関する出題が増えています。

2023年度においてもネットワークの出題があったのですが、前年度にネットワークに関する出題がされ、そこまで出題頻度の高いとはいえないネットワークに関する出題が2年連続ではなされないと踏んでいた筆者は完全に面食らってしまいました。(2023年度では、代わりにアルゴリズムに関する出題がなくなり、当分野を最も得意としていた筆者は悲しい気持ちになりました…。)

新しい方向性として、ネットワーク分野に関する出題が中心になってくるのかもしれないので、ネットワーク分野においても勉強を進めておくのが望ましいといえそうです。

ですが、ネットワークに関してはなかなか鉄板ともいえる参考書や教科書が見つかるわけでもなく、加えて先人等の記事を見てみてもネットワークに関しての対策を記述されているケースはほとんどなかったので、対策の取りにくい分野ではあると思います。

ここでは、実際に筆者が読んでオススメ!と思ったネットワークに関する書籍を一冊紹介するだけにとどめておきます。値段の割に内容が濃く、中々ハードな書籍ではありますが、これを読むことでネットワークに関する一通りの知識を身につけることができると思います。


以上長くなってしまいましたが、専門科目の試験に臨む上での学習法及びオススメの教科書を紹介させていただきました。

これらが、皆さんの院試対策に役立つようなことがあれば筆者としては嬉しい限りです!


次回予告

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

さて次の記事にあたる、

0から始める 東大情報理工 創造情報学専攻 修士 対策[夏院試](最終回 & 過去問解答付き)

に関する予告になりますが、今のところ

試験対策を行う上で最も重要であるといっても過言ではない、

  • 専門科目の自作解答の公開[問$${1 \times 7}$$年分,問$${2 \times 4}$$年分]

に関する記事となる予定です。

それでは、次回の更新をお待ちください!<(_ _)>

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