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親愛なるアレックスさんへ

アレックスさんという知人はいないので特に宛名はない。

2月が終わった。いつだって足早だ。早すぎて借りている駐車場の賃料を払うのを忘れて焦る。
3月の頭には神奈川への出張の予定もあり、それに合わせて帰省しようと思っていたけれど、予定が遅れ行先も名古屋に変更になったので、結局帰らずに過ごした。

日々の抜粋。演目はこちら。

2月2日(木) まりもをお迎えしてかわいいの話。

1月中旬からの2週間の長いトライアルを経て、家族に迎えたふたり目の猫様がひたすらにかわいい。名前は保護団体の仮名のまま「まりも」。まだ子猫だからか独特なものなのか毛がとても柔らかく、ボウルに山盛りにした小麦粉のような触り心地。ぴったりな名前だと思うし、ころころ名前が変わるのもかわいそうだと思い、そのままの名前で引き継いだ。
めちゃめちゃよく食べるし水もたくさん飲むのですぐに大きくなるんだろうなと思う。まさに箸が転んでもおかしい年頃で、あらゆる動くものに飛びついている。先住のつくしに対しても例に漏れず盛んに飛びかかっており、シャーとかウーとか言われて迷惑がられている。
ストレスになってしまっているのか、つくしは少しげんなりしているように見えて、なるべく生活を分けて互いにストレスにならないようにしなければと、日中やあまりに飛びつきがひどい時はまりもにはゲージの中にいてもらっている。慣れて落ち着いて、ふたりでのんびり過ごすようになってくれればいいな。


2月19日(日) 尾道チョップスティックスに出た話。

久しぶりに弾き語りでライブをした。
Ovationのエレアコで足元にはWalrus audioのFathomとtcのCrescendoを置いて、Fathomは踏みっぱなしでリバーブをかけて要所でsustainのスイッチを長押しして残響を拡大したりCrescendoをオンにしてふわっと広がっていく音を混ぜながらバンドでやったことのない新しい曲を交えて演奏した。

自分の次の出順のNaNiMoさんがライブが終わってすぐに、とても良かったと声をかけてくれて嬉しかった。NaNiMoさんこそ本当に素晴らしかった。寺尾沙穂や青葉市子のような澄んだ空気をまとった音と声とで圧倒された。この人のこれからはきっとこんなところでは収まらないだろうなと思った。

それから、この日猫派に改宗したドックフード買い太郎にも社交辞令99.9%ですげぇ良かったと言ってもらえて、そこに0.1%でも本心が混ざっているのであればこれほど嬉しいことはない。彼のライブはいつ見てもぶれない。朗らかに跳ねたり、ひりっとしたり色々な様相を見せる。見ている側はずっと引き込まれてる。

パブルイスのトリを飾ったモンキービジネスも本当にすごかった。久しぶりにマフの音を聞いた。爆音、キャッチーなメロディ、実直な歌、本当に素晴らしかった。


2月23日(木祝) 念願のyubioriの話。

岡山まで念願のyubioriを観に行った。昨年は関東方面に行くたびに、運よくライブやってなかなぁと念じ続けた1年だった。
しそさんとゆきのぶさんと一緒に行き、開園前にdigdigへ行こうと少し早めに出発したけれど、閉まっていた。結局、何をするでもなくママツーに到着し、近くのビル地下の博多ラーメンを秒速で平らげてライブへ向かった。

一番手のZooは久しぶりに見たけど、良すぎた。超右腕でもギターを弾いているけど、どちらのバンドでもギターが素晴らしかった。
念願のyurbioriは良すぎて一瞬だった。 ずっとライブで聴きたかった「お前のギターで」の後のロングトーンのソロ、めちゃくちゃ震えた。

ANORAK!も爆裂なライブをしていて観客の盛り上がりが尋常じゃなかった。岡山でみたライブの中で一番すごかった。個人的には本当に好きな浮かない顔のままが聴けた事がとても良かった。


3月2日(木) 小林くんの話。

藤井くんに紹介してもらった小林くんに壁付け灯具の修理に来てもらった。付けてもらって1年しか経っていないのに、まりものゲージを運ぶ際にぶつけて灯具ごと交換が必要になり、無駄な出費…と思っていたけれど、小林くんと知り合えたのでよしとする。
作業自体は1時間もせず終わって、家の中や改修図面を見せたり、彼の地元や他の地域の空き家再生の話やみはらし亭での話を聞いて、最終的には一緒に牛丼を食べて22時ごろ帰っていって終始楽しい時間だった。

水尾之路の話題にもなり、自宅の板張りの寝室は水尾之路の2階をイメージしていたと話すと、水尾之路さんたちもきっとおふたりに会ってみたいって言うと思いますよ~と言われて、ふたりで行ったことはなく、これまで3回くらい満席で入れず仕舞いになっているので、近いうちに行こうと思った。(入れない時はその度にきはら食堂に行ってる)

昨年の10月に渡邉先生が改修後初めて来られた際もそうだったけれど、伝統建築の知識がある方の話を聞きながら改めて自宅を見て回るのはおもしろい。何になるわけでもないけど古民家診断士の資格を取ろうかと考える。
尾道も随分いろんな風に塗り替えられていっているけれど、不便な地形が功を奏して山手の方はまだ手付かずの (手が付けられない) 部分がたくさんあって、それが11年前に初めて尾道を訪れた際にひときわ心を惹かれた魅力の根幹で、手が付けられないが故にゆるぎのなく残り続けている。
朽ちさせてしまうのではなく、なんらかの形で眠った建物の魅力を呼び覚ますようなことがしたい。楽しい時間だったともに自分の生き方について考えさせられる時間だった。


3月4日(土) バイク買い替えの検討を始めた話。

日々通勤で使うボロの原付 (会社の社長のお母様のおさがり) のタイヤが前後輪ともにパンクしており、駅の向こうの踏切のところのバイク屋さんに修理に持って行った。
後輪は側面に亀裂が入っており、交換しなければならず、1時間くらいで直してもらえるとのことなので、ぐるぐる回った後、美幌で昼食を取って待つことにした。
日替わりランチはオムライスかあんかけかた焼きそば、どちらも食べることにしてどちらも美味しい。食後のコーヒーも定食屋さんのコーヒーならではの味で安心して良かった。

バイクの話に戻り、前輪はとりあえず大丈夫だけど、近いうちに交換しないといけない状態とのことで、いっそのこと免許も取ったことだし125とか250㏄のバイクに買い替えようかとか思ったりした。
どうせなら高速道路も走れる126㏄以上にしたいと思うも、どうせ高速道路を走ることはないだろうなと思い直し、であれば50ccの原付のままでよかろうと問答を繰り返している。

時間もあったので、試しに東尾道のレッドバロンにバイクを見に行ってみると、大型のいかついバイクだらけで、125~250㏄の小さなバイクを探しているのはお門違いのような気がしてきてつらくなって足早に立ち去った。
その帰路で見かけた小さめのバイク屋さんにも立ち寄ろうとするも、入口を間違えて隣のホンダカーズへ入店。停車すると同時に営業の方がお出迎えで間違えましたとは言えず、将来的に買い替えを検討していると申し訳なさに駆られながら嘘をついて少しだけ車の紹介受けて退店。自分のせいだけど2件連続でつらくなった。

気を取り直してお隣のバイク屋さんに入ると、やさしいおっちゃんが対応してくれて笑顔になった。在庫は少なかったけど125㏄のアメリカンの実物を見ることができて普通にでかいことを実感できてよかった。

少しバイクを調べてみるとカワサキのバイクがよさげで、大学生の頃に身内で流行っていたBKBヒィアが実際のものになるのかと少しおかしくなって調べるのを一旦やめた。そもそもその位のバイクって20万とか30万とかするし、その位のお金出せばいいギターとかアンプとか買えるし、これまでそういうの渋ってきたのにバイクならそんな金額出しちゃうのなんかおかしくない?


3月5日(日) 贅沢三昧の話。

朝は9時頃起床。朝食はベーコンとチーズのホットサンドとスープとあたたかい麦茶にして、前日に予約をかけておいた洗濯物を干した。
2度目になる珈琲豆の焙煎をして、家中に香ばしい匂いを漂わせてからええじゃん (JAの直売所) に向けて出発。
近くまで来たところで既におなかが空いていることに気付き、1年半ぶりに浜三で昼?食を取った。前回と同じくステーキランチを頼んだ。
某ホテルのレストランの数千円するステーキよりはるかに美味しく、来るたびに食べようと思った。

ええじゃんで大量の葉物野菜と椎茸を買って帰路に着く。
途中、知る中で一番おいしい珈琲屋である蛮珈夢で初めてブレンド (蛮珈夢の100) 以外の注文をした。 頼んだのは娯楽部 (デミタス)、蛮珈夢よりもすっきりしているように感じた。
ついに豆の焙煎を始めましたと報告をして、初めての割には美味しくなりましたと話すと、そんなもんだよと笑うマスターは今日も素敵だった。

一度帰宅してくつろぐ。猫たちと触れ合う。おやつに日曜日の癒しこと、うららか珈琲に行こうと思ったけれど、まりもが腹の上から降りてくれずにラストオーダーの時間になったので諦め、代わりに散歩に出た。
商店街を通って荒神路で右折、新しくできた立ち飲み屋が気になる。(が、足が痛くなるので立ち飲み屋に入る勇気がない)
商店街に戻って図書館のところまで抜けて、先日掲載即契約となったお屋敷を見に行って、これは良い建物だと感嘆する。そのまま図書館に入ってみて色々と物色、仕事をする上でいい本があったらしく30分くらい立ち読み。

小林くんとの話に挙がった水尾之路に寄ってみようかという話になり、突撃。ちょうどお客さんが帰ったところで、入ることができた。
白く塗り直された壁も張り替えられた床も、そのままの天井も建具もとても良い。 客間の続き間の欄間は外されていて、開放感が増す。客席の脇には上品な中庭もあって尚更。
床の間の床はおそらくオリジナルの板材で、新規で棚板が取り付けられていて素敵な花器や茶器が柔らかい照明で照らされて並んでいる。床の間を照らす照明があるのはいいなぁ、付ければよかったなぁと後悔。前に住んでいた長江の家でも思っていたのに見過ごしてしまった。
そして4人掛けのテーブルのその立派な重厚感と脚の装飾の良さよ…。中庭側2脚の椅子の装飾も相まって良い。
中庭の隣の水屋も武骨ながら上品でとても良い。そういえば自宅のリビングにはこういう水屋を置きたかったなぁと思い返した。(別のテーブルを配置したので断念した) 落ち着いたらそこだけ模様替えをしたいな。
会計の際にレジでお話させてもらい、閉店間際というのに空き家話に花が咲いて長居してしまった。 また色んな話がしたい。


19年が経ったようで信じられないくらい前の話だなと他人事のように思う。生きていたら自分は今どんなふうに生きていたんだろうと思うことはしばしばあるけれど。

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