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現在、日暮れ、朝焼け

すっかり時間が経ってしまったけど、今年も全感覚祭を観に大阪へ行った。

広島在住プロの客shisoさん(2年連続2回目)とトマちゃん、尾道に東京SSを呼んだ偉人と4人。shisoさんとトマちゃんは前日にうちに泊まりに来て、買ってきてくれた広島のつけ麺を食べたり、銭湯に行ったりして当日への意気込みを高めた。トマちゃんとまともに話すのはこの日が初めてで、どんな音楽を聴くのか知らず、明日はどのバンドが一番楽しみかと尋ねると、KK mangaと返ってきたので、ドヤバい人だということがすぐに分かって面白くなった。

行きの道中、去年と同じく大阪と京都の分岐で針路を間違えて兵庫の山中で高速道路を降りるハメになり、加えてガス欠の危機に瀕しながらもAS MEIASを聴くことでなんとか進路を保つ事ができた(DJ shisoはいい仕事をする)。

到着早々、移転したファンダンゴで観たbedの良さ。
眼前に置かれたセットリスト。鳴らされる事が分かっていたほぞ。
トリッキーさが目まぐるしく、炸裂させるThe act we actからの熱。
そぎ落として洗練された余白を感じる七尾旅人の音楽表現。
NOT WONKは美麗で衝動的であり、終始まぶしい姿が焼き付いた。
溢れかえり散乱する人々を前にぶち撒けられたGEZANのステージは、前年にも増してこだましていた。

大阪での光景も夢景色のようだったけれど、東京の様子もきっと壮絶極まりないものだったのだろうなと思う。巨大な台風が直撃し、野外での開催はやむなく中止がアナウンスされた。翌日の深夜に渋谷のライブハウスをいくつか会場にして緊急開催となった。GEZANの人たちをはじめ運営する十三月のメンバーは寝ずに奔走したのだろうと思う。結果、入場制限がかかる程の人が集まり、集まった投げ銭は目標額に達したそうだ。大阪会場での交通問題や食中毒騒動(近隣の飲食店が出元で全感覚祭で出されたフードは問題ないという結果だった)そしてこの東京会場の中止から緊急開催、ドラマティックなんて言葉で片づける事は到底できないけれど、いくつもの困難なドラマがあってそれら全てを乗り越えた事は本当に凄まじい。

今年の全感覚祭にLOSTAGEは出演しなかったけれど、GUITARに収録されている『いいこと / 離別』の“多分さ いい事があるぜ”というフレーズとIn Dreamsに収録されている『ポケットの中で』の“いい事があったかい? 何かいい事があったかい?”というフレーズがずっと頭の中を駆け巡り続けている。この2つは、離れているが連続性を持って繋がっていると勝手に解釈していて、問いかけへの答えはどんなものなのだろうかと想像を膨らませる。”そうさ いい事があったんだ”という答えに繋がっていけばよいなと思う。


一瞬のうちに通り過ぎるように、九月は終わって行ってしまって、十月は寒さを連れてやって来て、風邪を引いた。台風が多かれど、光の差した九月は戻らない。今年はyukueの九月は戻らないを聞いたのは十月になってからのことだった。

ここのところはengine downばかりを聴いているような気がする。songbirdから始まるDemureが今のところ一番好きなアルバムだと思っている。聴いているとふつふつとしたものが湧いて出てくる。加えて、不穏であるが、しっくり胸の底に落ちて、安らぎを感じる音楽だと思っている。

それから、youtubeは偶然見つけたJerome's Dreamとスプリットを出していたというこのJulyというバンドの曲をひたすら聴いた。バンドの詳細は調べても何も分からないのだけれど、とても良い。

そうそう、福岡で一緒にライブをした迷いクジラが音源を出すと聞いて、楽天市場で注文したら、3週間も発送連絡がなくて、大企業しっかりしろ!!!と腹を立たせた。ようやく届いた音源から流れる歌は7月に聴いたそのままで、力強くてきれいな声だった。オルタナティブに振った永原真夏のようだ、とライブを観た時に思っていた。ギターの荒ぶるところは音源ではさらに研ぎ澄まされていて刺さる。全ての曲が良いけれど、2曲目のひかりをあつめるという曲の冒頭が中でも最高純度で澄み渡っていてものすごく好きだ。”街中が笑っても あなたはわたしのひかり”という一節からはゆるぎない希望を感じて涙が滲んでしまう。ここまでは10月のこと。

 

11月になった。7月頃から作っている新しい曲の歌を未だに上手く乗せることができず、問答を繰り返している。煮詰まっている内にいくつかの音源を購入して、昨日届いたあらかじめ決められた恋人たちへの新譜 ”......”を繰り返し聴いてる。大きくは変わらないけど確実に変わったなあと感じた。初めて聞いたBackのような、懐かしくてあたたかさに包まれるような曲からどこか重たく、壮大で悲壮感がある。

それと、ツイッターで知ったstate faultsがめちゃめちゃかっこよくて、音源買おうと3LAのウェブサイトを見ていたら、去年リリースされたlangの2nd "There is no reply, but sweet wind blew" を買わないままにしてしまっていた事に気付いて、カートに突っ込んだ。

langはbandcampでNYPになっていた1stが超かっこよくてよく聴いていて、この2ndはそれを上回ってまぎれもなく最高です。流麗なクリーントーンとポストハードコア的な掻き鳴らす音に、差し込まれる、あたたかく本を撫ぜるような、自分自身に言い聞かせるように力強い、荒々しく叫ぶように発せられる言葉が散らばっている。ボーカルの和田さんがインタビューで自身たちをフォークだと言っているのがものすごく腑に落ちた。そういえば、マヒトゥ・ザ・ピーポーと友部正人がツーマンをやるらしい。


ここからは今のこと。夜のうちに雨が降っていたらしい。原付のかごの中に放り込んでひっくり返ったヘルメットには水が溜まっていて、被る以外の選択肢を持たない出勤前、椅子の中にしまっていた汚いタオルを頭とヘルメットの間に挟んで5分半。会社についてヘルメットとタオルを取り去ると、髪からは生臭さが漂っていて最低な気分になった。

この景色を楽しむことができたらきっと楽しいんだろうなと、どうしても悲しくなってしまうことがあった。何度景色と打っても形式と誤字になるのは何故なんだ。これは自分の性質であって、嘆いても無意味だと諦めるわけではなく、せめて高いアンテナを掲げていようと思っている。今年の最後のライブは出る人たち全てが良い。信じて願うことを止めない。そして具体的な行動に起こそう。

今年最後のライブでは、新しい曲を演奏出来るといい。オーディエンスとしても確実に楽しめるこのライブで、そこに集まった人にどんな反応があるのか、聴き手を重視した演奏はまだ出来るようにならないけれど、それは楽しみです。そして、来年には自分たちも企画をするし、音源を作るぞ、と思っている。やるぞ。内輪に向かっていくのではなく、新しい空気を取り入れて研ぎ澄ませていきたい。ありがとうハーマン・リ。

2019年12月22日(日)
岡山 crazy MAMA studio(岡山県岡山市北区錦町 1-24 SOHO BLD. 4F & 5F)
southhype vol.4
Open : 15:00 / Start : 15:30
ticket : 前売 2,000円 当日 2,500円

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未遂
alligator 13 foot
matou.


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