夕凪に都夏を想う

「俺のコートは水陸両用モデル」等と言って、小雨の中ポケットの破れたコートを着てスクーターに乗って仕事に行ったら、帰り道でポケットの穴からipodが落下。後続車にひかれて液晶が完全に死亡。液晶以外は傷だらけながらも無事なものの、画面は見られなくなり、バカヤローーー!!!と叫んだ。

先週末は東京へ行き、ぐだぐだと過ごしつつ吉祥寺のアップリンクでリップヴァンウィンクルの花嫁を観たり、八丁堀の七針でその他の短編ズを観たり、ka na taへ遊びに行ったりした。

リップヴァンウィンクルの花嫁はamazon primeで観て以来、見るのは3回目になる。心が痛くなるような世界の裏側に優しい世界が広がっていて本当にいい映画だなと思って泣きそうになる。タイトルの意味とか綾野剛の演じる安室がどこまでカラクリを仕掛けていたのかとか、見る度考えるも正解は分からない。こう、観客にある程度想像の余地が与えられる映画がとても好きだ。

七針は雑居ビルの地下にある小さなスペース。ほんのり明るい照明で照らされていて丁度いい空間だった。短編ズのバランスは本当に奇跡的に成り立っていて、十分に空いた隙間に電子音だったり優しいアコースティックギターや甘い声が散りばめられていて本当に良い。山口で初めて観てルールを聴いた時、開いた口はなかなか閉じなかった。

コートの話に戻る。
古着屋で4000円くらいで買ったロンドンフォグのグレンチェックのコート(問題のポケットが破れたコート)と以前居候させてもらっていた兄からかっぱらったカラス色のコートの襟を立てて着ていたけれど、今回行ったka na taでコートを買った。厚手で重量的には結構な重さがあるのだと思うけれど、肩を、身体をすっぽりと包むように覆ってくれるので重さを感じない。短編ズの曲みたいに十分にゆとりがあって具合が良い。僕にとても似合ったコートだと思う。

かくして寒さを辛いだけと思わないで済むコートを手に入れた。寒さはきっとこれから本格化するだろうけど、冬には冬の景色が見られたらいい。
『寒さを辛いだけと思わないで』というのはsour thoughtの曲の一節。この曲を含む全6曲入りのCDが完成した。録音だけスタジオで録らせてもらい、ミックスは自分で、マスタリングは敬愛するTALOSの園部にお願いして、素人ながらある程度満足する仕上がりにはできたと思う。内容も装丁も手作り感満載な仕上がりである事は拭い切れないけれど、目指した温かみのある音は出せたかな、どうだろう。ツイッターでも書いた通り、Soundcloudに2曲程公開しているので聴いて教えてください。

春待ちはsour thoughtで3番目に合わせた曲。(1番目の曲は現状ボツ、2番目はCDに入ってます)その頃、climb the mindのチャンネル3が発売される直前で、Soundcloudでポケットの中は90年代でいっぱいが先行して配信されているのを聴いて、こんな曲を作りたいと思って作り始めた。が、進めている内に全然似てもいなくなった曲。昔の記憶と東京の曲。どちらもなぜか時折思い浮かべてしまうもの。

褪せない青は今年の5月に作った曲。褪せない青って何なのか、聴く人に委ねたいと思いますが(自分も良く分からない)、そんなものをずっと探していたし、これからも探し続けて生きていくんだろうなと思う。

余談。
序盤で書いたリップヴァンウィンクルの花嫁はSNSでの人間の繋がりを希薄であると表現していると感じるのだけれど、知らない人を知る事ができたり、離れてしまった友人と繋がっていられたり、SNSのそういう部分はむしろ良いなと個人的には感じる。

音源の完成をツイッターに書いたらいろんな人が反応してくれてうれしい。大学の友達や先輩後輩、地元の友達、京都で観たバンドの人、東京で観たバンドの人、福山のライブハウスで会った人、広島のライブハウスで会った人、鳥取で一緒にライブをした人、それを見てくれていた人、これから肩を並べていきたい四国の人、知らない人。LFRにいいねしてもらったり、バイサマとかdramaとかFrogs in Flight等々を扱っているディストロの人が入荷決定と言ってくれたのは本当にうれしくてほげーーー!!となった。この年末年始に帰省した時に福島までお礼に行きたいくらいだ。

2018年も終わります。このペースを保ちつつ、時折少しペースを上げていけたらいいなと思います。先日のSPORTの解散もそうだけれど、いつ何がどうなるかわからないです。どんな世界に導かれたとしても、そこにも暮らしはあるんですから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?