全て感じたまま夢から覚めずにいれば祭も終わらないのに

気付けば10月も終わりでとても肌寒くなった。先日、7月の終わりに上司に直してもらった原付バイクに跨ってふらふらしていたら風が鋭くて、翌日にはずっしりとした喉の痛みと鼻汁に悩まされてしまった。

さてはて、先週末は年に数回することがあるかどうかの夜遊びを3夜続けてしてしまった。
始まりは金曜日で、翌日の実に4か月ぶりのライブが楽しみにし過ぎて眠れない、いわば遠足前の小学生であるかのような感覚に襲われ、22時には床に就いたにも関わらず、4時過ぎまで眠れず1人夜遊びをした。もしくは原因は仕事に飲み過ぎた7杯のコーヒーに含まれたカフェインの作用だったのかもしれない。
まったくいつまで経っても心はyouthだ。これはつまらない話なのでライブのMC等で言うのはおすすめしません。

次に4時過ぎまで寝ずに待ちわびたライブである。
初めて出演した福山ケーブルの出音は素晴らしく良く、しっかり出ていて各パートの分離感が良かった。
初見のDitaというバンドのギターがめちゃくちゃに澄み渡っていて、コードの響きもかなり好みだった。ツインリバーブのクリーンは本当に良い。次に引っ越しをするときは車の入る家に住もう。そしてツインリバーブを買おう。
何度か見ているジュースのギターもこの日はとんでもなく良くて、潰れ気味のファズの質感で迫りくる鳴りの中で声もしっかりと抜けていた。ドラムの抜け方も相変わらず良く、この人を今後アクセント大魔神と呼ぶ事に決めた。

足元問題には終わりが見えない。新たに取り入れたカールマーチンのDCドライブは独立ブースターつきでぐしゃっとした音が出るのでなかなか気に入っていたが、ライブになるとMXR正方形サイズの箱に2つスイッチが付いている形状では当然踏み間違える。踏み間違えると出す予定でなかった音が出なくてげんなりするのでグッドバイすることにした。
これ以上増やす必要はないのかもしれないなとも思い始めた。

ライブが終わった後、先に挙げたDitaの方にコードの感じと進行がとても好みだと声を掛けてもらってうれしくなった。相変わらずどもった返答をしてしまい恥ずかしくなったが、僕もあなたのギターの音とても好きです、と伝えられた気がする。
後日、ジュースのあけみさんがライブの感想を書き綴っていて、”尖がってるようで、どこか優しく、そして力強い”と表現してくれているのを見つけてまたうれしくなった。全て目指しているものだった。

ライブを終えた後は見に来てくれていたGyakuso(また今度改名するらしい)のウエジュンさん、ゆきのぶさん、広島からお越しのシソさんらも共に打ち上げに参加して夜が更けた。林くんが飽きもせず筋トレの話をしていてアホだなぁと思って聞いていたが、他にもMineralの話なんかをしたり、帰り道にブッチャーズの世界君主を合唱してとても楽しかったような気がする。

シソさんはそのままうちに泊まり(2人とも極限の状態で帰宅、帰宅後は翌日の起床時間を確認するのみの会話の後で就寝)、翌日は8時には車を運転し始めて大阪へ向かった。GEZANが主催する全感覚祭だ。
無料のライブに関わらず、徐々に発表されていくラインナップに胸が震えた。日割りが発表されてRopes, killie, LOSTAGE, 青葉市子, GO FISH, odd eyes, 踊ってばかりの国, No edge, GEZANが全てこの日に出る事が決定したと同時に我々の大阪行きが決まった。

ナビに惑わされて山陽道を降りた後、峠道かと思うような曲がりくねりすぎて一回転するんじゃないかと思うような道を通り、何とか4時間程かけて到着した。
会場は郊外の工場地帯で、メインステージは本当に唯の道端にある空き地みたいなところにステージを立てたような、DIYらしさの強いところだった。

昼間のうちは比較的人が少なくて悠々と見ることができて、odd eyesから見始めて、何か月か前に京都で観たぶりの唯一無二のギターを羨ましく思った。
Ropesでは最前で揺れていた首の細い女子大生風の女の子の後ろでアチコさんと戸高さんを眺めていて、ずっと緩やかな穏やかな雰囲気で続いて(もちろんそれも良いが物足りなさを感じていた)、このまま終わってしまうのかなぁと思っていたら、最後に戸高さんがギターをぶわーーーっと鳴らしてアチコさんは転げまわっていて大満足して悦に浸った。


その後は終了直前のNo edgeへ急いだが間に合わず、青葉市子へ戻ったけど、いまいち刺さらなかったので座って休んだ。ここで休んだことで次のkillieを存分に楽しむことができたと思う。
挨拶的なMCから始まり、脳死が俺の側にの冒頭へ繋がり止まることなく体脂肪と戦う、お前は労力、先入観と畳みかけるような演奏が繰り広げられた。足元問題がどうこう等と言っていたけど、スクワイヤのストラトとOD-3, HSWのファズ, リバーブの最小限の足元でえげつない音を出す内田さんを観たら全て無意味に思えた。全てが壮大で破壊的で暴力的で不意に訪れるポストロック展開に安らぎを感じる。親や恋人に暴力を受けるも不意に優しくされる事でその相手に依存する感覚はこれか。

踊ってばかりの国は新体制になって初めて観て、ギター3本の住み分けが結構意味わからなくてあまり良くなかったけれど下津さんは最高だった。前ギターの林さんが大好きだったがこれは懐古主義的な感想ではないと思う。

日が暮れるにつれて人は増し、トリ前のLOSTAGEの時には会場に人が収まりきらない程溢れかえっていた。
さよなら思い出よから始まり、ドメジャー級バンドのライブ会場にいるかのような錯覚を覚えた。何年か前にクリープハイプだったかホワイトアッシュだったかを観た時ぶりの光景で少し戸惑った。
曲の繋ぎがうまくて演奏はキレキレでぶちあがりつつ呆然として観ていたが、ドメジャー級バンドに対する高まり方を見せていたオーディエンスたちもおそらく同様で、最後の美しき敗北者達のスーパーアウトロの時には静まっていた。終わった後真後ろにシソさんがいて、やったーーーと言っていてなんかうれしくなった。

最後にGEZAN。まばゆいオレンジ色の白熱灯とシンボルカラーの赤の証明を一身に受けて、頭上を人が飛び交う中咆哮するGEZANの姿はまぶしくて美しくて夢のような光景だった。
新譜のうち一曲だけyoutubeに公開されている曲がめちゃくちゃ良くて、ライブもめちゃくちゃ良かったから即座に新譜をLPで買った。それくらい良かった。

帰って聴いたら1曲目からめちゃくちゃ良い。というか1曲目が1番好きだ。買って良かったと思ってる。
しかし、youtubeに公開されていた曲はLP盤には入っていなかったのと、MP3コードが付いていなかったのは残念に思う。CD盤より高い金額出して買うのに曲数少ないというのはうーーーん、内容いいからいいけどさ、腑に落ちぬ。
killieはLP買うか迷ったけれどCDで持っているので買わずにおいて、ライブ中にめちゃめちゃ暴れてて腹立った大学生っぽい少年が来ていたTシャツと同じものを癪だったが買った。Tシャツに罪はあるのか、犯罪者が犯した罪の再審始まる。
この時、内田さんと話せてとても楽しみにせざるを得ない今後のこと聞いた。京都でのkillieワンマンも来年目安に調整したいと言っていたので、実現したら行こうねシソさん。

こうして全感覚祭は終了した。間違いなく来て良かった。
この時時刻はたしか20時30分頃だったと思う。すぐに出ても日付を跨いで帰宅という具合だったが、軽く夕食を取ってから帰ろうということになった。せっかくだから串カツをという話になり、助手席と後部座席では良さそうな店を探し始める。会場は堺、しかしなぜか梅田の串カツやへ行くことが決定。梅田に到着した時点で予定していた店のラストオーダーの時間に差し掛かり断念。全くラストオーダーはディスオーダーである。
商店街に入り、商店街内に3店舗位あるチェーン店の串カツやに入った。サーモンの串カツが美味しすぎたので後悔はない。店を出た時にはもう日付が変わる頃だった。何が”軽く夕食を取ろう”だ、串カツと決まった時からこの結末は見えていた。
車を停めていた駐車場に戻ると営業時間が24時までで出庫不可となっていて絶望。間一髪で守衛に電話し緊急出庫、小言を言われつつ何とか尾道へ帰った。

帰路道中、シソさんが持ってきたCDを流す。WEARE!のTreatment Journey最高のアルバムだと再認識した。
僕の持ってきたGirlpoolが聴きたいと言って流してもらう。ついにドラム導入されたPowerplantは最高のアルバムだ、シソさんも反応してくれたのがうれしい。少し鼻にかかったような綺麗な女性ボーカルで、フォーキーで穏やかだったりノイジーでエモーショナルだったりする123やSleepless, It Gets More Blueなんかが本当に好きだ。来日してほしい。

そうそう、Girlpoolは去年林くんとAmerican footballの来日を観に大阪に行った際にFlake recordsに立ち寄った時に知ったバンドで、その時は試聴機でSleeplessを聴いた。
一聴して静寂と激しさの二面性の、その感情の揺さぶり方からcuthbartsが思い浮かんだ。
そのcuthbartsを3年ぶりに明日観ます。今も焦がれています。夢で逢えたらを聴きながら、夢の中でもその音楽が流れる程です。楽しみにしながら、夜行バスに揺られようと思います。いつかまた。


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