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高松日記

瀬戸大橋を渡って憧れの地TOONICEでライブをした。知ってわずかしか経っていないけれど、心の奥にグっときてやまないkinderwallsと福岡の未遂というバンドのカワイタ君の共同企画だった。(カワイタ君は最近まで四国に住んでいたらしい)ImpulseからリリースされたcuthbartsとMaterialのTシャツを着て行った。

未遂は広島の知り合いが学生時代に組んでいたバンドのメンバーから成っていて、youtubeに公開されているMVを観て出音一発目で「あ、好きだ」と即座に思った福岡の4ピース。ハムバッカ―のテレキャスターカスタムとサンバーストのジャズマスターは北海道のあの偉大なオルタナティブ~エモバンドを彷彿とさせる。丸みを帯びたリードギターの哀愁溢れる音とメロディラインが柔らかくてきれいで、きれいなだけで留まらず音には迫力があってとにかく秀逸。またご一緒したい。

未遂の次が自分の番で、この日はステージとフロアの2ステージ制。ということで未遂のライブ中は自分たちのセッティングをしていたので遠巻きにしか見られなかったのが少し残念。あ、そうそう2ステージ制のライブ形式は一昨年TOONICEにI have a hurtやyukue, thinkabout, my letter, 年貢, 白い朝に咲く等のライブを観に来た時と同じで、これもこの日を楽しみにしていた理由の一つだった。

この日見て印象的だったのが、徳島の4ピースのユウレカ。不穏な音とタイトかつ予測できない変則的なリズムで淡々と積み上げる曲に乗る咆哮。実験的なハードコアでめちゃめちゃかっこいい。

福岡の3ピースNAMUAMENは2017年にりんご音楽祭にも出ていて、オルタナティブとかサイケなんかも感じるけれど、ふわっとしたフォーク的な要素もある。随所に組み込まれた一気に引きしまる展開では、瞬間、思わず息を飲んだ。爆発的な展開もあり一筋縄ではいかない感じ、ライブが一瞬だったように感じた。

北九州の3ピースOMTはとても自由なギターがとてもよかった。メロディックはそんなに聴かないのだけれど、純度と完成度の高い音で聴いていて思わず楽しくなった。

余談になるけどギターのオーハシ君とドラムのミゾベ君は春から広島に来るらしい。2人の人柄も含めて広島にも僕らのいる尾道の方(というか隣町の明治館とファクトリー周り)にも受け入れられそう。音楽性は違うけど、同じ方向を向いて走っている人たちだと勝手に感じたので、次は広島でぶつかりたいなと思った。

続いて岡山の3ピースSHIZIMAには隣の県にいるのにどうして知らなかったんだろうという後悔の念しか浮かばない。抑揚のある曲調と説得力のある力強い歌、全部飲み込む圧倒的な音と爆発力で全て置き去りにされた。これを伝える言葉が見つからないのがもどかしいけれど、あの緊張感はライブじゃないと感じられないかもしれない。空間を切り裂きそうなテレキャスターサウンドからハヌマーンとかを感じたけれど、特段その影響はないとの事。むしろR&Bとかを好んで聴くらしく、もう天性のギター弾きのようでひどくかっこいい。

10月に東京のナインスパイスで初めて観た東京の3ピースSEMENTOS。歌謡的だったりして普遍的なグッドメロディかつ泥臭く熱を感じる。ギターワークもベースも叙情的で哀愁が漂ってしかない渋い光り放つフレーズばかりだし、ドラムはダイナミックで力強い。あぁこれが日本のロックバンドだと感じた。

東京のバンドの人と話すと大学の友人の話になる。上の動画を撮影しているのも大学の後輩だし、その彼がやっているバンドの話なんかもした。バンドというものにおいてスタート地点は間違いなく大学だな、いい大学に入ってよかったなと思うし、そのおかげで得たものをこっちでも広めたいし自分自身で昇華していきたい。

最後が香川のオルタナティブ3ピースkinderwall。去年松山でのbootleg verrollsの企画を観に行った際に初めて観て、あがりにあがり倒してしまってそれから心底好きなバンド。(bootleg verrollsもこの日出る予定だったんだけど佐々木君のインフルエンザにより欠場。)ベースボーカルの直人君の歌は実直で飾ることなくしっかり届くし、しょうちゃんのギターとかマジで音でかくてLOSTAGEを思わせるような感傷的になっちゃうフレーズとか倒すし、ドラムはしっかりパワフルに鳴らす。何より1拍弱の休符が全てをぶっちぎっていく。何度もアレにやられて高らかに感動してしまうんだよな。

器用なだけではできないことも増えていくし、実りは僅かで散るしな、しっかり生きていたいと背筋を正されまくる。こういう音楽が本当に好きだよ。

といった感じで楽しい夜は終わってしまいました。OMTのミゾベくんがこの日で一番良かったと言って音源を買ってくれたり、カワイタ君も多分好きなものが同じ何だろうなと思ったって言ってくれて音源買ってくれたりして、一言一言がありがたかったな。自分たちの作る音楽には自分の好きなものしか詰めていないし、作った音楽は好きなんだけれど、まだまだやり切れていないところがやっぱりあるな、まだまだ良くしたい。音楽をやりたい。

居酒屋で打ちあがって、SEMENTOSのコマケンさんと誕生日を祝いあって1月14日は愛と希望と勇気の日だと教わった。全て持って強く生きねばと思った。どうしたらよいか分からない等と言っていてはいけない。

打ち上げの後は九州勢と一緒に三友荘という場末みたいな宿の大広間に泊まった。みんな面白すぎて確か5時くらいまで起きていた。寝ようとしたら未遂の二人が喧嘩を始めてカワイタ君が何故かぼこぼこにされてもう一笑いした。すごく迷惑だけど阿保な人は良いなと他人ごとのように思いながら寝て、翌朝みんなでうどんを食べて解散した。

帰り道の瀬戸大橋はやけに明るかった。

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