緊張と緩和

朝4時に自宅へ帰って昼過ぎまで泥のように寝ようとベッドに飛び込んでみても、不本意ながら10時には目が覚めてしまった。目が覚めた時の鈍い腹痛はもう3年くらい続いているような気がする。目を覚ますたびこの嫌な感覚を突き付けられるので目を覚ますことに対する嫌悪感がひどい。目を覚ましたくないとも思うけれど、それ以上に死にたくはないのでしぶしぶ鈍痛を受け入れて身体を起こした。

6月2日の土曜日に広島の4.14でライブをした。前回はたしか6月30日、おおよそ1年前。最近のことのように思っていたけどもう1年が過ぎていた。朝を迎えた川辺の流れも白んだ朝日も、開君の家まで歩いて帰った道のりも全て1年前のこと。同じはことは何もなくなっている。ライブは、自分のギターの音の抜けが悪くて録音を聴いてうなだれたけど、演奏している間は全てを置いて真っ白になっていたので良かった。終演後にスピーカーのイッキさんに声を掛けてもらえたのは本当に嬉しかった。話すのは初めてのことで、お慕い申し上げております。と伝えた。

共演する広島勢も見に来ていたお客さんも面識がある人がちらほらといて、遠くの都会の街なのに安心感があって不思議な気持ちになった。いつのまにか広島は、喜連川に住んでいた頃の自分にとっての宇都宮のような存在になりつつあるように感じた。

POPLARは元々尾道に来たばかりの頃に観たFeedback my sun(これがめちゃくちゃかっこよかった)のドラムの人が叩いていると聞いて興味を抱いて、youtubeにあがっていたMVから全く違う音楽をしていることは明らかだったけれど、抱いた興味は変わらずだった。今年の初めに福山で初めて観て、そのドラムの人はもう抜けたと聞いたけれど、空間をうまく使った音の広がりが夜のダンスホールみたいでとても良くて、フロントのカイトさんに声を掛けてサウンドクラウドにあげた音源を聴いてもらったりした。4月にSONOROUS CHORDに付いて山口に行った時に再開して、今回ようやく共演ができた。3人ギターの体制は初めてだった。内1本をIpadに繋いでシュミレーターを通してからラインで出力していて、試行錯誤の結果のDIYの1つの形だと思った。ストライモンのリバーブの音だけはどうしてもシュミレーターじゃ出せないと言っていて、譲れないところは譲らない、その姿勢がとてもかっこいいと思ったよ。音楽性はクールでスマートで、自分たちは泥臭し、野暮ったいしで結構違うと思うけれど、これからも一緒にやっていきたいと思うバンドだ。活動の仕方もDIYで独自な活動をしていて、そういう部分にもすごく惹かれる。今度は自分たちから働きかけて台湾に行くらしい。良い遠征となることを祈ってます。

山広さんは自分たちの最初の企画に出てもらったSSWでつま弾くギターと声が心地の良い音楽をする人だ。穏やかで流麗なその歌が更に洗練されていたように感じて、シンとした会場にそっと響く音にただ耳をすませた。打ち上げで合唱曲の心の瞳の良さについて話して、多分あの曲に胸を震わせる歌手はみんな素晴らしいんだろうなと思った。山広さんと共にその企画に出てもらったドックフード買い太郎さんも見に来てくれていて、ライブ後に良いバンドになったねと言ってもらえて本当に嬉しかった。別のバンドみたいだと言われた。これは3人から4人になったことに対する言葉ではないのは明らかで、だって買い太郎さんとライブをした時も別のメンバーで4人だったし、むしろ彼は3人の頃をたぶんよく知らない。だから、このバンドが始まった頃と比べて”良いバンドになったね”と意味だと解釈して、涙が出そうになった。

前回4.14でライブをした時に知り合った岡田さん(k the musicgirl)と今度は共演できたこともなんだか胸に響いて、運命なんて便利な言葉でぼんやりさせたりした。あの日、川辺でやった花火はその年の最後の花火ではなかった。kとのつながりもずっと続かせていきたいと勝手ながら思っています。kの音は洗練されていて無駄がないと思う。複雑な構成もあるけれど、複雑さを感じさせない、直球の音楽だと感じる。変なことをしようとか意図的にしている部分はなくて、自分たちの出したい音を二人で出すことを突き詰めていった結果、そうなっているに過ぎないような、そんな研ぎ澄まされた音のように感じる。足元で光るエフェクターのランプの色について、笑いながら話したけれど、それも同じで、気付いたら自分の足元には赤と青と白が混ざっていたけれど、この音いいじゃんとなんかコレ違うなを繰り返していたらそういうものが残っていたという話に過ぎない。 

世の中、好きかどうでもいいか、それだけだ。

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