秋の隙間をいずれ良き日に

10月に途中のままにしていた日記を今頃になって書き上げたのは11月も半ばのことだった。年末になって供養する。

画像1

台風がかなり煩わしい。来る、来ると言って大体来ないか、強さを表す過剰な冠を被っているけど大抵は大した事はない。とは言っても来ると言われれば構えてしまう。どうせ、と思いながらもびくびくしてしまって恥ずかしい気持ちになる。

10/10 2020年初めてのライブをした。バンドは変わらず動けずにいるので、7月の終わりに買ったエレガットで弾き語りをした。

意味もなくリハの2時間前に到着したら既に主催のミートンさんがいて、先にリハやってもらえないかと頼まれたのでそそくさと準備をした。リハの時点での緊張がやばくて手が震えすぎていて本番が不安になった。
大学の頃に買ったディレイが点いたり点かなかったりしていたので、本番は外すことにして演奏する内容も変えることにした。

その後、他の演者のリハを見たり天満屋を周回したりして過ごした。天満屋で良いコーヒーミル等を見つけて、母に送ろうと思った。

リハで聴いたたけだちえこさんの英詞の曲が良くて、あれは誰かのカバーですか?と聞いたらDaniel Johnsonだと教えてくれた。一番好きな曲かもしれないと言っていた。
昨年末にフレンドで観た時にこの曲の演奏を聴いてめちゃくちゃ良かった事をよく覚えてる。メロディは軽やかだけど声の重心が低くとてもよい。また聴けて嬉しくなった。


自分の演奏は少しだけ早めのテンポでやろうと思ってやったら、思いのほか早くなってしまって焦った。ハイポジションのところが弾けてなかったりたくさんトチって落ち込んだ。
演奏後、黒田さんにめっちゃ早かったねぇと突っ込まれ、うぐっと言葉に詰まった後、昨日髪を切った時に少しだけ短くしようと思ったら、思いのほか短くされてしまった事が影響しているんだと思います、とかいう意味の分からない言い訳をしてしまってものすごく恥ずかしくなった。
それでも、観に来てくれていたのんちゃんが目を輝かせてすごく良かったと言ってくれたことと、共演のケッチ 石原さんにギターよく鳴ってたよと褒めてもらえた事がとても嬉しかった。

石原さんは、演奏前にマイクが拾わない程度でつぶやいてから(何て言っていたのか正確には聞き取れなかったけど、音量上げてやりますと言った感じだったと思う)アンプのつまみを持ち上げて重く毛羽立った音が響いた。途端に後頭部には鳥肌が立って、顔全体が熱くなった。こういう音に飢えてたんだと身をもって実感した。

終演後は久しぶりの会合だからか、なかなか帰らずに残っていた一行はラーメン屋へ向けて歩き始めた。僕は「先に行って開いてるか見てきます」と言って快適な森タクシーに乗って向かった。この時、既に午前2時ごろ。夜も深くなっていたが、そのラーメン屋は満席で久々に土曜の夜の活気を感じた。
結局、僕達はラーメン屋に入るのは諦め、斜向かいのセブンイレブンでカップ麺を啜った。ウエジュンさんは明治館での打ち上げでも個別にカルボナーラを頼んで食べていたのに、またカルボナーラを食べていて笑った。

ブタメンの焼きそばなるものが売っていて、興味本位で買ってみたら具材はゴマしかないただの汁無しブタメンだった。子供の頃は60円で売っていたブタメンが今は80円に値上がりしていて驚いたし、焼きそばになると200円を超えることに対して、何か違うブタメンなのではないかとほのかに期待しつつ買ったけど、ただの汁無しブタメンで落胆した。

深夜3時近くなっていたと思う。このくらいの時間でも人はまばらにコンビニへやってくる。その人たちの迷惑になる事を恐れて一行は駅前の三角公園へ移動した。
ウエジュンさんの始発を待ちながら、ウエジュンさんのこれまで交際した人との思い出話を聞いて過ごした。けっこう辛い仕打ちを受けていて悲しくなりながら聞いていたけど、一緒に聞いていた阿久津さんがとんでもない憐みの表情をしていて2,3回笑った。阿久津さんは高校の1個上の先輩である。面識はなかったけれど偶然尾道で会って話したら同郷で、さらに同じ高校だということが分かって仰天した。尾道と栃木は離れているけど意外と繋がりのある場所なのかもしれない。そういえば、大卒の就職活動の時に受けた尾道の会社にも栃木の、それも出身の市が同じ人がいて、面接では会わなかったものの後に手紙をくれたっけ。その人にもいつか会えたらよい。

その場にいた半数くらいの人がベンチや地べたで寝静まったころ、始発の時間になり、各々帰路に着いた。本当にいつぶりにこんな時間を過ごしただろうか。思い出すことにも時間がかかってしまう程になっている。次はいつになるだろうか、また月に一度くらいは何度でもこんな時間を過ごしたいと思う。また思い出すことがあるだろうと確かに思った夜だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?