新型コロナ無症状感染者に共通する免疫遺伝子が判明とのnature論文

ネットサーフィンで気になる記事を見つけたので一つご紹介。
新型コロナウイルスに無症状だった人たちに共通する免疫遺伝子が判明!(Nature) - ナゾロジー (nazology.net)

感染しても無症状な理由は遺伝子に潜んでいる。
コロナに強い遺伝子は無症状の確率を最大で8倍にする。 
という趣旨の論文の紹介記事。
新型コロナウィルスに感染しても症状の発現の仕方には明らかにムラがあり、20%が感染しても無症状のまま。
これまで初期のファクターXと呼ばれていた要因とかぶるところがあるのかもしれないし、感染したことが前提であることから別のところの説明になるのかもしれない。
カリフォルニア大学の研究者たちが症状が出た人と無症状だった人の免疫遺伝子(ヒト白血球抗原:HLA)の違いを調べた。HLA遺伝子には何千ものバリエーションがあることが知られており、バリエーションによって免疫システムがどのウイルスとの闘いが得意であるか、また苦手であるかが決まる。このように免疫遺伝子に多くのバリエーションがあるのは、未知の致死的な病原体が人類集団でパンデミックを起こした場合、一部だけでも生き残らせるためとされている。
HLA遺伝子のバリエーションが多ければ、未知の病原体に対抗できる人々が一定確率存在し、種を存続させることができる。
今回の研究では、コロナ禍を巻き起こした新型コロナウイルスに対して、特に強い免疫遺伝子「HLA遺伝子」のタイプが存在するのか、存在するとしたら無症状だったケースとどう関連するかが主な調査対象となった。
無症状だった人々のHLA遺伝子を調べたところ、無症状の人々の20%はHLA遺伝子のタイプが「HLA-B15:01」と呼ばれる特定の変異バージョンであることが判明した。この結果は「HLA-B15:01」を持つことが無症状と大きく関連していることを示している。
研究者たちが調べたところ「HLA-B15:01」を1つ持つ人は無症状になる確率が2倍高く、2つ持っている人は無症状になる確率が8倍も高くなっていた。

コロナに強い免疫遺伝子は従来型の情報を使って新型を倒していた。
「HLA-B15:01」が新型コロナウイルスに対して強い反応を示せたのは、昔から存在する普通のコロナウイルスに感染したときの記憶を利用していたから / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
次に研究者たちは新型コロナウイルスが出現する前に採決された血を調達し、新型コロナウイルスの断片に対する反応を調べてみた。
すると「HLA-B15:01」を持つ人々のT細胞は、新型コロナウイルスが出現する前だったにもかかわらず、新型コロナウイルスの断片に対して強い免疫反応を示した。
そのため研究者たちは「HLA-B15:01」が新型コロナウイルスに対して強い反応を示せたのは、昔から存在する普通のコロナウイルスに感染したときの記憶を利用していたからだと結論した。

これ、要するに普通の風邪コロナウィルスで風邪にかかったことがあれば反応するってことだよね?

これまでの研究で「HLA-B15:01」はヨーロッパ系の白人の10%が持つことが知られている。
研究者たちは「HLA-B15:01」が無症状にする仕組みを薬で代替することができれば、多くの人々を感染しても無症状で済ませられるようになると述べている。

とのことで、なかなか興味深いが、これまで風邪薬ってのはずっと言われていながらウィルスそのものを退治する薬は存在せず、症状を抑えて最終的に自己免疫で治すってことだったんだから、そんなに都合のいい薬なんてできるのか?できても対価的に見合わないんでは?とどうしても懐疑的に考えてしまうが興味深くはある。
この「HLA-B15:01」が東アジアの人々の多くが持っている遺伝子で、感染そのものも抑える効果があるっていうならこれまでの観測事実をかなり説明できるのかも?と考えたりするがどうなんだろう。


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