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臨床研修オリエンテーション覚書

今回やれた事、やれなかった事、やるべきだと感じた事などをまとめて、策を練ってみた。

1.医師人生のオリエンテーション
 僕は臨床研修で人生が決まるとは思わない。正確には研修病院の良し悪しだけで決まるような簡単な人生じゃないだろう、と言う気持ち強い、と言うところだ。その一方、未来の医療を担う若者の大事な時期を預かった、と言う自覚と責任はある。
 その意味で、研修修了後に期待する姿を明確にしたいと思う。心技体の揃った成長者になって欲しい。
 心とは精神論ではない。プロとして持つべき心得だ。現代ではプロフェッショナリズムと言う。僕は今でも、師匠の言葉を覚えている。医師の責任とその果たし方、それを大切に伝えていきたい。
 技は基本手技や診察能力、臨床推論の能力だけでなくノンテクニカルスキルを包括する。コミニュケーションスキルは訓練できる。逆に言えば、飲み会で喋り上手であっても、蘇生の場で滑らかに動かせるかは別だ。
 体は健康を維持する術を持つ事である。手を抜けとは言わない。全力でぶつかれ。だけど、過労死はするな。燃え尽きるな。その為に自分の不調は自分で把握して、対応できるようになって欲しい。

2.臨床研修のオリエンテーション
 じゃあ、どうするか?ある意味、臨床研修自体が医師人生そのもののオリエンテーションのようなものだ。であれば、研修のオリエンテーションは研修を実り多いものにするものだと思う。このコンセプトで行きたい。
 具体策として、パートを2つに分ける。病院として用意している社会人として、もしくは、医療人全般としてのオリエンテーション、これはこれで大切だ。これをテコにしてInter professional educationに繋げたい。この部分の考察は後に回す。
 もう一つのパートは医師固有のパートとする。ここは最初に何になりたいか、どんな医者になりたいかの話をそれぞれしてもらって、その為に2年間どう過ごしたいか考えてもらうところからスタートしたい。
 次のパートは机上訓練。1人の患者さんの診療をシミュレーションすると言う意味で、①プレホスで何を考えるか、②ERでどんなロジックで動くか、コンサルトをどのようにするか、③ICUに入って臓器代替療法を必要とする状況になったが、蘇生コードをどうするか、④一般病床へ移って安定してきた、ところで、退院調整どう言うマネージメントにするか…などなど患者さんが入院してきてから退院するまでを追跡するように訓練する。
 その上で、それぞれのパートで出てきたキーワードやエッセンスについてオリエンテーションする。プレホスから救急外来でのマネージメントやコンサルト、蘇生や倫理の話、BLSやACLSだけではない急変対応やRRS活用方法、医療制度としてのDPCやベッド区分、介護保険の話など、だ。

3.フォローアップとエバリュエーション
 オリエンテーションで種を撒いて、臨床現場で経験を積み、花を咲かして欲しい。そう願う訳だが、願うならそうなるように調整せねばならない。
 その為には四半期毎のフォローアップ研修が必要だ。毎月mentorとしてミーティングしたら良いとも思うが、定期的に到達点を把握してフィードバックしなければ、歪んだ形に育ちかねない。その為には、どのように評価するべきか定めなければならない。何故フィードバックされているのか論拠無くして成人は動かない。何となくではなくてデータを出さなければいけない。
 進級判定も修了判定も、やるならちゃんとやりたい。お仕着せ、おんぶに抱っこではなく、どうやったら成長できるか方法論を授ける仕組みでありたい。

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