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紅葉と積雪と満月

札幌において、これらを同時に味わうことは容易い。一つずつでも酒の肴になる景色、三つ揃えば堪え難いものがある。この街を好きな理由の一つだ。

紅葉の時期、僕は必ずと言って良い程、悩んでいる。来年のこと、これから来る怒涛の季節のこと、自分が歩んできた道のこと、色々思い出して反芻している。救えなかった命は、自分の未熟さ故か、チームとして力不足だったのか、そもそも救命不能だったろうか、悩みは尽きず疑問符は溢れる。

そして、雪が降ると頭が切り替わる。目の前の病気、命にフォーカスできるようになる。数多の治療計画の中から、何を選ぶのか。救命の為に何が必要なのか。救命の先を行くのに何しなければならないのか。一回一回の臨床はインスピレーションであっても良いが、チームとしてのアウトカムがインスピレーションにて規定されるのは芳しくない。そして、チームの総力を底上げさせるのは、あくまで根回しや準備なのだが、若い頃は、何となく、それがダサく感じた。しかし、今は違う。愚直な積み重ねが明日を良くすると信じている。

救急医として迎える冬は何度目だったか。今更、困ることはあまり無い。しかしながら、interventionistとして迎える冬は、ましてや、独り立ちを控えて迎える冬は、悩みばかりが頭を過ぎる。自分で手に負えない症例も、あるだろう。それでも命を失わないために、どうするのがベストなのか。答えを出し続けなければならないのだろう。

日々の微々たる進歩を大切に。
今日の自分を、明日は越えよう。

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