信頼という見えない資産の価値(あるいは凄さ)について

僕が長く働く中でなによりも重要だと感じているものは、PLや見えるBS(固定資産や現金)よりも、信頼や評判といったその個人(法人)に紐づく見えない無形資産の価値です。

すべてのビジネス活動の源泉は人と人のつながり

情けは人の為ならず という言葉がありますが、
誰かの信頼に応えること、筋を守ることは社会の営みにおいてもっとも根本的かつ(長期で見れば投資対効果という意味でも)インパクトのある施策だと思っています。

誰かの信頼に応えたならば、その人からは継続的に関係を育むことができるし、なにかあったときに自分のことを想起してもらえる、あるいは声をかけてもらえる可能性も高くなります。

何より、誰かの信頼をふみにじって、その人が悲しんでいる(かもしれない) という気持ちを感じながら、懐にお金が入っても楽しくないんじゃないでしょうか。

仏教で言う、縁起 という言葉に代表されるように、
他人との関係性において自己が規定されるとするのであれば、その関係性のクオリティ、築き上げたものこそが、あなたという人となりを表すもっとも雄弁な説明になると思います。

どうしたかではなく、相手がどう感じたかがすべて

かつ、この手の話をするときに陥りがちなのが、「自分なりには配慮した」という言い訳が多いこと。

でも、言ってみればそれは、DV旦那が「俺は愛してるからやってるんだ」と言っているに等しく、当事者がどう感じるかがすべてであって、そこで相手に信頼を感じさせなければ、どれだけの努力や施策をしたといってもそれは自己欺瞞の言い訳にしかなりません。

「相手がどう感じるのか」「相手にどう感じさせたいのか」
を意識して、では、何をこの瞬間に表現・表明するのか ということを常に忘れずに向き合っていくことが重要だと思います。

評価経済社会の到来を前に、信頼とブランドを積みあげる事の重要性

インフレ、流動性過剰による現金の価値が相対的に薄くなる世界において、無形資産が圧倒的な価値を持つ時代が到来しています。

Appleやコカ・コーラ、ディズニーに代表されるような世界的な企業は、旧来の会計ルールでは計測できない「ブランド」という圧倒的な資産を抱えています。(もし仮にこの資産を価値として表すなら数十・数百兆円ともなるようなものと言われています)

個人においても、人生100年時代を迎えるなかで、長期に耐用性をもった職人的技術 / スキルの消費期限は加速度的に短くなっています。雇用や所属する集団、社会が流動化していく中で、あらゆるコミュニティの円滑な出入りを支えてくれるのは「あなたがそのコミュニティに対して価値貢献ができる」というブランドであり、そのブランドは、あなたが日々の営みの中で築き上げる

・些細な気配り
・相手への思いやり
・期待を応える仕事のアウトプット

そういったものが基盤になっていくのだと思います。

実例から学ぶ。信頼を生み出すためのコツ

ビジネスシーンにおいて、自分の失敗も含めてよく起こりがちな失敗や、それに対するコツを紹介します。

・取引先やパートナーを繋いでくれた紹介者に対してお礼をしない
⇒紹介してもらった方への進捗報告、お礼がないのは若い経営者に起こりがちなミステイクです(僕もやらかし続けました)。必ず報告とお礼をし、なにかビジネスディールが生まれたときには、場合によってはお金などなんらかカタチでもお礼をすることが重要です(相手がいってこなくても、こちらから提案するぐらいの腹積もりにしておく)

・取引先や関係者に事前の根回しなく、独断で意思決定をしてしまう
⇒なにも事前の報告連絡相談がないのはビジネスマンとしてご法度です。利害関係者には必ず事前の報告、背景説明、謝意(あるいは謝罪)、そして相談をしましょう。

・無機質にテキストで説明をしない。必ず声や対面で伝える
⇒テキストよりも音声、音声よりも対面で顔を合わせることに勝るものなし。

・謝罪のときほど、あるいは言いづらいものほど、最速かつ誠実に対応する
⇒いい時の報告なんて誰でも言いやすいものです。何か言いづらいもの、謝るような事態ほど、真っ先に対応しましょう。スピードの速さは相手への優先度を表明しているようなものです。


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