私を変えた一冊『だんだら山のバク博士』
富安陽子『だんだら山のバク博士』
この本もまた思い出深い。
幼い頃に読んで、大人になってどうしてもまた読みたくて、でもタイトルも内容も覚えていなかった。
それでも断片的に覚えていた、
「シトロエン」が出てくるということ、「博士」が出てくるということ、
そのキーワードをあの手この手で検索し、ようやく辿り着いた本。
もう、この帯の言葉だけでワクワクが止まらない。
「わるい夢、こわい夢、みょうちきりんな夢」
「まっすぐ南へ15分」
この言葉で飛び上がるほど胸が高鳴る。
不思議な夢を研究しているバク博士と晃の夏の物語。
夢と現実の境目。
子供はいつしか大人になる。
それはさなぎが蝶になるのと同じ決められたこと。
しかし、大人になるために生きているわけではない。大切なのは───。
児童文学を超えた、大人にとってもささりすぎる一冊。
本を開くとそこには夏が広がっている。
山の緑、蝉たちの声、昼間の熱を残す夜のアスファルト。
富安陽子さんの『キツネ山の夏休み』も大好きなので、またぜひ紹介したい。
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