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空に星が綺麗

吉本興業の芸人は正直言って飽和状態である。


所属芸人がとにかく多すぎる。そのうち本当に表に出てこられるのはひと握り。
仕方ない、数が多すぎるのだから。

芸能の世界というのはある程度事務所から推されないと前には出てこられない。テレビの中の限りのある「吉本枠席」につける芸人を、あんなに多すぎる芸人一巡りさせようなんて思ったら恐らく四半世紀くらいは必要になるだろう。
とにかく芸人が多すぎて、場が足りてないのだ。需要も加味してその席につかせる芸人を絞り込む必要がある。それは結局「推されている」こととなる。

その間にもNSCの卒業生=所属芸人はどんどん増えていく。しかし既に席は「安定のベテラン、中堅」で埋まっており、「吉本枠席」にはつけずに辞めていく芸人が増えるのも仕方がない。
もはや日本国の超高齢化社会を見ているようだ。
ずっとそう思っていた。


だからこそ、わたしの好きな芸人が、その形のままで、幸せで、どうかできるだけ変わらずそのままでそこに存在してくれることをいつも心から願っていた。
でもそんなうまくはいかないようだ。


唯一無二の国民的スター、SMAPですら解散してしまう世の中。
大人の人間たちが同じ方向を向いて走り続けるのは到底無理なことなのかもしれない。

1人は「異なる世界」に興味を持ったり、1人は「今の世界でもっともっと大きくなること」に力を入れたかったり。
冷静に考えたら世の中、一生転職しない人間のほうが恐らく少ない。そういうものなんだ。そういうものなんだ。


そういうものなんだ。
頭ではわかる。けど、心はわからない。わかりたくない。わかるけど。


石井くんが先日のがむしゃララで、
「安田くんがまだお休みしている間は何も言えない」
と言っていた。フェアじゃないからという意味だ。良いと思う。してやったりと先制攻撃するような状況はもちろんこちらとしても望んではいない。

というか、すべてを説明する必要は無いのだ。本人達にしか、深層に近い人たちにしか分からないことがあっていい。寂しいけど。


石井くんがラーメンとハンバーガー断ちしてた期間が終わったあと、二郎系好きの安田くんが石井くんの家まで行ってラーメン作った話とか。
盆栽教室に通う安田くんの話を聞いて生け花教室に通い始めた石井くんの話。
大好きだった。

去年の夏に本当に眠れない日々が続いて頭も身体もおかしくなりそうな中、夜中にたくさんたくさん見たコマンダンテYouTube。ふたりの会話が声を張らなくて中身は緩くて、だけど実はコテコテの関西弁で。
大好きだった。いや、大好きだ。

めちゃくちゃ落ち込んでる中で寄席に行って大好きなネタを見てもなっかなか笑えない中、「スキャットマン輪唱」から始まり大笑いさせてくれたこと。
忘れやしない。忘れられるわけがない。

1000ステ近く出てたのだからきっとお笑い好きなら誰しもが出くわしたことのあるコマンダンテ。
損失がでかすぎる。


コマンダンテさんを中心に生活を組み立ててはいなかったけれど、思ったよりわたしの生活に馴染んで入り込んでたようだ。
胸が苦しくて、涙が出るし、呼吸が苦しい。
ここ最近安田くんが休んでただけでも苦しかったのに。

申し訳ないけど「個々のご活躍に期待」なんてことは言えない。わたしは漫才が好きだから。
そら平場もおもろい二人やけど、ネタありきなのよわたしは。ネタが、漫才が、コントが、面白いから好きなの。お笑い芸人さんは。
ネタがあってこその、なの。

井下さんのピンになってからの飛躍がもしかしたら新しい道に光を当てちゃってるのかな。生き生きしてるもんね。好井さんはまったく一座には関わらなくなっちゃったし。
二人揃ったところはこの先ずっと見られないのかな。一座にもどっちかしか出ないのかな。悲しすぎるな。


わたしは、久しぶりに大きな声を出して泣いたよ。
タオルを口に当てて、枕に思い切り突っ伏して、わぁー!!って大きな声を出したよ。
ほんとに呼吸が苦しくて、辛かった。
本当の理由や今までのお二人の葛藤を一生知ることができない。なんとなくの想像でしかない。一生。それが苦しい。なんならまだ「和牛が不仲で解散」って言われたほうが「お、おん。そうかそうか…」って納得したかも。それくらい衝撃。
ジュリエッタくらい表に出してプロレスしてくれたらまだ納得できたかもしれないな。そう考えたらファンに準備をさせてくれながらもがいてくれたジュリエッタってとても優しかったな…。

長年スポーツ選手を応援していた身としては、芸能を応援するのは「見てる側は裏側が何もわからない」のが一番苦しい。
スポーツは目に見たものが全てで、引退もクビも試合を見てれば納得できる事が多いから。
「わからない」が苦しくて、タレントのファンはやめたはずなのに。お笑いって、笑えることばかりなんだと思って迂闊に踏み込んでしまったのに。


最大規模の全国ツアー、会場も抑えてるわけだしバラシの費用はなかなかな金額のはず。マイナスがたくさんある中でこんなに急転直下(わたしたちから見て、だけど)で解散というのはおふたりの関係性に何かあったのは火を見るよりも明らか。

だけど、「安田くんからの手紙に3行目で号泣した石井くん」と、「実は2行目で先に泣いていた安田くん」がいた現実は過去だとしても現実なんだ。


この事実だけは忘れずに生きていこう。
夜空を見上げることも忘れずに生きていこう。
あのゆるくて声の小さいおもしろ漫才だって。

わたしはしばらくは口笛吹いて歩けるほど陽気な気持ちにはなれなさそうだけど、そこに間違いなく在ったものなんだから。


どうかYouTubeチャンネルは消されませんように…。
これがないとわたしは夏の夜に寝られません。





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