2020/05/19 読「ぼぎわんが、来る」

「ぼぎわんが、来る」読み終わった。スゴくおもしろかった。
オカルトライターと頭がピンク色の霊能力の強い女が、ぼぎわんと呼ばれるほぼ妖怪の幽霊に取り憑かれた、ある家族を頑張って助けようとする話。
最初から最後まで、これってどうなるの? がずっと続いて、面白くないとこが全く無かった。

幽霊がでてきてウワーなホラーというより妖怪モノだと思った。話のころがる雰囲気がリングや残穢(残穢は映画しか見てないけど。残穢は、人や建物とかでなく、土地自体に残っている怨念の根源を探っていくというスーパー面白設定だった)に近い。民俗学がからんできて、怪異の原因がしっかりしていて、説得力がある系のやつ。ぬ~べ~でもたびたび語られた妖怪観も垣間見えて妖怪系の話のツボが押さえられているのもよかった。

ぼぎわんとは何者なのか、その人ではどうしようもない超強い取り憑きに対する打開策は何なのか、それが徐々に解き明かされていく過程がわくわくしておもしろい。とにかく引きが上手くて、10回くらいはエッ!?と声が出た。

そういうサスペンス・ホラーのようなテイストが全体を貫いているが、この小説のおもしろいところは、前半と後半で雰囲気・毛色が別の小説になったか?ってくらい変わる。

白石晃士監督のカルトに近いか。
最初は大人向けの一般文芸のような感じだなと読み勧めていると、徐々に徐々に、その文章の読みやすさと妖怪がでてくる設定も相まって、ラノベのようなドライブ感がでてくるし、セリフもかっこよくなってくる。映画が白石作品を彷彿とさせると言われているのがしっくり来た。ぼぎわんと対峙する最大の見せ場では、先が気になりすぎて文章をほぼ読んでいなかったと思う。

先が気になる展開につぐ展開、後半につれて加速していくドライブ感、ぼぎわんが、来る良質なエンタメ小説だった。もっと読みたし。

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