見出し画像

RE:PROJECTへの想い~古いモノに新しい価値を見出すことへの挑戦~

こんにちは、しばらくnoteの執筆をご無沙汰しておりましたが、書きたいことがでてきたので筆を執る次第です。弊社は袋屋なんですが、袋以外の製造もしています。今回はロウビキといわれる製品について「新しい価値を見出したい!」という自分の想いを書いてみます。

ロウビキの製造工程

舞台はシコーの香川製造部。香川製造部は坂出市の海沿いにあり、瀬戸内工業地域に属しています。かつてダンボールの製造を行っておりましたが時代の変遷とともに事業を縮小し、10年前に段ボール事業から撤退。今は紙袋を中心とした事業に専念しています。
このロウビキの事業は、そんな段ボールから紙袋事業にシフトしていくタイミングではじめた事業です。

シコー香川製造部の北側は瀬戸内海

そもそもロウビキって何?

ロウビキは紙に蝋を含浸させたものの名称で、町のお肉屋さんで使われたりしています。元々、お肉の包装には天然の木材を薄く削りだした経木(きょうぎ)が使われたいたそうですが、より耐水性に優れたロウビキにシフトしていったそうです。そして、その後、スーパーのお肉屋さんなどはプラスチック製のものに変遷してきました。そうなんです、ロウビキは町のお肉屋さんなどで長くご愛顧を頂いている古き良き時代を彷彿させるパッケージなのです。

写真のご協力:和歌山県橋本市の「ふじ幸さん」

どうしてロウビキの価値を見直したいのか?

簡単に言うと「仕事がどんどん減ってきた」からです。先述の通り、お肉をメインにご利用頂いているロウビキですが年々注文量が減ってきています。それは町のお肉屋さんが減ったことや、ロウビキの原料値上げに伴う値上げの中で異なる包装容器に変わっていったからです。市場の評価というのは実
にシビアで単純明快なのです。

梱包されたロウビキ

実はこのロウビキの仕事、シコーがもともとやっていた事業ではありませんでした。5年ほど前に愛媛にあったトヨオカいう企業が製造されていた設備を引き受けてはじめた事業なのです。トヨオカの社長様が高齢で後継者もいらっしゃらないことから廃業を決められ、設備と商圏をシコーが譲り受けて始めました。こういう経緯のスタート、しかもコアの事業とのシナジー効果もあまり見られずに、今まで独自の営業がほぼできていないのが現状です。

この状況を打破すべく、はじめたのがRE:PROJECTです。デザイナーさんのご支援のもと、今のお肉向けのお仕事などを続けつつ、新しい価値を創り出そうとしています。メンバーは若手を中心とし、ベテラン勢はサポートをする編成です。

RE:PROJECTの様子@シコー香川製造部

ロウビキの設備がやってきた!

今から5年前の2019年にロウビキの設備が愛媛から坂出市にあるシコーの香川製造部へやってきました。この移設の前にシコーのオペレーターが半年ほど通ってスタートしたので立ち上げはスムーズにいったことを記憶しています。
この設備は「印刷」・「ロウの塗布」、「断裁」という3つの工程を行う設備なのですが、トヨオカの社長さんが地元の鉄工所さんと一緒に作り上げたものなので日本に1台しかありません。

ロウビキの設備全体像 @シコー香川製造部

当時の香川製造部は段ボールの事業を撤退したあと、とにかく仕事の量が少なく苦戦していたので、トヨオカさんからロウビキの設備と商圏のお声がけを頂いたときに「よくわからないけど、とりあえずやろう!」と勢いで始めたのを当事者としてよく覚えております。そして、はじめたものの、当初あると聞いていた年間3,000万円の売上に対して、初年度の実績がかなり少なく、思わずズッコケたあと、年々徐々にその売り上げも下がり続けて現在に至ります。

最後に

正直なところ、今の売上では月に数日程度の稼働なので、「シコーにおいてやる必要があるのか?」という声もゼロではありません。ただ、理由はどうあれ、せっかく始めたこの事業を何らかのカタチで続けていけるようにしたいのです。

かくいうシコーという紙袋をコア事業にした家業は今年で74年目となります。自分は創業家の3代目として事業を承継しましたが、世の中には後継者がおらずに利益があっても廃業を選ぶ会社も多くあると聞きます。

このロウビキの設備もご縁があって迎え入れた大切な仲間。最後にトヨオカの社長様から「よろしくお願いします」と言われたお言葉が今も記憶の中に鮮明に残っています。
この創業者から託された想いにシコーなりのオモロイやり方で答えたいのです。

そんな、想いに基づいたRE:PROJECT。これから色々と発信して参りますので暖かく見守って頂ければと思います。

おあとがよろしいようで。

ロウビキの設備がトヨオカの工場にあった頃の写真

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?