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名古屋城石垣部会「特に御深井丸側石垣、鵜の首、穴蔵石垣の状態は最悪で危険だ」

23/5/28(日)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第56回)が開催され、資料を読んだ石垣部会構成員は「特に御深井丸側石垣、鵜の首、穴蔵石垣の状態は最悪で、早急に補修等対策をする必要がある」と述べました。
特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)ならびに天守台石垣の保存方針については、石垣部会からの指摘を踏まえて訂正し、その後全体会議検討会議に提出される予定です。

・23/5/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第56回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230528.pdf
・23/5/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第56回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230528-1.pdf

今回も、審議中の録音・録画は禁止されました。
しかも、23/5/28(日)の石垣部会開催は、23/5/26(金)になってからホームページで公表されました。

名古屋市は23/3/17石垣部会(第55回)の終了予定時間5分前に名古屋城天守台石垣の保存方針(案)を示すも、「審議時間が取れなかった、内容も十分ではない」とされ、今回出し直しました。

今回、天守台周辺石垣のそれぞれの面について危険度を分類(a,b1,b2,c1,c2)し、特に面として顕著な変形・変状があるものをc1としました。
また、来城者への影響の観点から、崩落した場合来城者に影響が及ぶ可能性がある石垣をyとしました。

千田嘉博・奈良大学教授は「整備スケジュールでは、天守台石垣の保存及び安全対策工事は、文化庁の許可が出て、木造天守閣が復元された6年目以降に行うとある。
熱劣化した石垣は工事の前に修復する必要があるので、天守復元に先だって工程に入れないといけないのでは」と述べました。

名古屋城総合事務所は「今年度、設計予算を確保しており、仮設を入れる前に手を入れる予定。具体的にどこを修復するかは今後石垣部会で相談する」としました。

宮武正登・佐賀大学教授は「名古屋市が石垣を分類したc1でyが最悪で危険。
具体的にはU65,U66,S10という御深井丸側石垣と鵜ノ首。どこにも具体的にどうしますと書いていない。
しかもc1でyの穴蔵石垣の方針も書いてない。穴蔵石垣は、地震の際石垣が吹っ飛んできたら生命に関わる」と述べました。

千田教授は「石垣部会として、木造復元がいいか悪いかを言うのではないが、木造復元するのなら、大小天守の穴蔵階は要になる。
熊本城大天守台、小天守台は、熊本地震で穴蔵石垣が大崩壊した。客が入っていたらほぼ全滅しただろう。
名古屋城は天守入るには穴蔵階を通らないといけず、絶対安全を確保しないといけない。
熊本城は審議の中で二重三重に調査し、安全対策した。
名古屋城も穴蔵階の絶対安全を確実に確保できなければ、文化庁として『これで進めて』とは言えないだろう」と述べました。

また、千田教授は「今回基礎構造の例が3つ示されているが、それぞれ歴史的形とは全く別にしている。
他と違って『天守を木造にするには、石垣を変状させていい』としている。
板壁があり、石垣を本来の形に戻すと1ミリも見えない。名古屋市はどう復元しようとしているのか。書き込んでおかないと、『これから考えます』では文化庁が困る。文化財としてどういうメリット・デメリットがあるか。これでは、ただ木造を作りたいだけの資料だ」と述べました。

梶原義実・名古屋大学大学院教授は「U65,U66という御深井丸側石垣が危ないとされた。観覧者の導線を石垣から離すことはできないか。
六番御蔵も今後作ると言うが、石垣のきわを通さないようにできないか。今の導線を維持する必要はない」としました。

宮武教授は、「基礎構造検討の基本的な考え方に、『大地震時に安全性が担保できない可能性のある天守台』と言い切っている。
一方、『内部石垣が崩壊しないことを前提にした』ともあり、自己矛盾だ。
『内部石垣をがちがちに固めないと』と書いており、自分の首を絞めている」と述べました。

西形達明・関西大学名誉教授は「穴蔵石垣調査に立ち会った。本当に正確な調査ではないが、安定とは考えられない。何らかの形で補修・解体が必要だろう。
その際の工事によって、外側石垣にどの程度影響があるか考えるのは避けられない。天守基礎構造の工法に大きく関係する。それぞれ、どんな問題が起きるのか整理して欲しい」と述べました。

オブザーバーの山内良祐・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室は、「愛知県内には石垣が多くあり、崩れることがある。熊本地震や、東日本大震災ではたまたま人がいなかったのは奇跡的なこと。人的被害問題になっていないが、今後そうとは限らない。名古屋城が人的被害1番になってほしくない。石垣安全性について文化庁は力をいれて各自治体指導している。名古屋市としても同様にしてほしい。愛知県も、人命に影響がある石垣崩落が起きないようにしたい」と述べました。

結局、座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は、「今日の議論を踏まえ、名古屋城総合事務所の方で調整し、石垣部会委員に個別に示した上で、全体会議検討会議に提出することでよいか」とし、了承されました。


今後の予定
・23/5/29(月)10時半~ 河村たかし名古屋市長記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/category/316-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・23/6/3(土) バリアフリー市民討論会(一般公開せず)
・23/6/5(月)14時~ 名古屋能楽堂 
 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kankobunkakoryu/0000160190.html
・23/6/10(土)14時~ 市政資料館
 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
 https://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-1-0-0-0-0-0-0-0-0.html

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm



2023年05月28日 16時07分 NHK
名古屋城・木造復元へ石垣保存の方針「地震防災面の検討を」
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20230528/3000029344.html

2023/05/28 16:53 共同通信
名古屋城石垣保存、条件付き了承 専門部会、崩落対策などの修正で
https://nordot.app/1035458183733395687?c=302675738515047521

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