見出し画像

メルカリでずっと売れなかった本


メルカリで本が売れた。


本のタイトルは『イングリッシュネス』。イギリスの文化とイギリス人の気質を綴った本で、昨年ロンドンに旅行に行く際に購入したものである。正直内容もそんなに覚えてない。


出品から一年以上経って売れた。


長期間売れなかったのには理由がある。まずは本そのものの人気。今アマゾンで確認したらレビューが1件で、そこにはこう書かれていた。


世界的ベストセラー“Watching the English”の全訳と思って買ったが、本書は原著のわずか29%を翻訳しているに過ぎない。


知らなかった…。内容全く覚えてないが損した気分である。もちろんこのレビュアーのつけた星は1だった。これでは購買意欲は上がらない。


もう一つの理由は、値段である。強気の1000円で売っていた。定価が3000円ぐらいしたので、こんなもんかなと思っていたら全く売れなかった。こんなもんかな、はちょっぴり嘘で、1000円は欲しいな、と思っていた。1/3の書籍な勘定。



そんな本が売れた。出品から一年以上経って。人気もなく高い本が中古で。出品していたことも忘れていたのに。


嬉しさともまた違う感情で購入者様とやりとりし、本を包装しながら、きっとこの本は、購入者様に買われるために、メルカリ空間の中に存在し続けたのだな、とふと思った。


どういうことか。



例えば音楽。自分が生まれる前の音楽を聴いて「ああ、最高だなこの曲」と思うことがある。



誰かとその曲が将来出会うことが決まっているなら。曲がその未来を知っているなら。曲はずっとその”誰か”を待ちわびることになる。自分のことを「最高だ」と言ってくれる人に出会えるのなら、待ち時間すらも愛おしいのだろうなと思った。


出品した本も、そんな風に誰かの手に渡ることを心待ちにしていたのだと想像し、ワクワクした。そんで少しだけ申し訳なく思った。



何気なく書くnoteも、毎日の仕事も、「いつか誰かに喜ばれる」と思うと少しだけ背筋が伸びる気がする。そういう少しだけ狂った運命思考を持つことも悪くないなあと思った週末でした。魚の骨が喉に引っかかったような日々が続きますが、明日からも頑張ります。

記事にスキをもらえると、スキになります。