マップ作成、第3弾はアデレード:「世界の都市・パブリックスペース」を考えるソトノバ・スタジオ第4回
こんにちは。ソトノバ・スタジオ:「世界の都市・パブリックスペースクラス:シドニー・メルボルン・アデレード」感想レポート担当の新村です。マップ作成作業の第3弾はアデレードです。きょうが終われば、残すは最終回の発表のみ。心なしか、メンバーの間に緊張感が漂っているようです。
さっそく、アデレードについての泉山さんのプレゼンからスタートです。
シドニー、メルボルンよりコンパクトな印象
アデレード市は南オーストラリア州の州都で、人口は119万人と全豪第5位。地図でみると、中心市街地はシドニーやメルボルンに比べてこじんまりとしていますが、外側をぐるりと広大な公園群に囲まれ、環境は良さそう。
(出典:Google Earth)
1836年にイギリスの植民都市としてその歴史が始まったアデレード。初代南オーストラリア測量局長官ウィリアム・ライト大佐が、「田園都市」構想に基づいて都市計画を策定したそうです。
ちなみに、英経済誌「エコノミスト」の調査部門が毎年世界主要140都市を対象に「治安」「医療」「文化・環境」「教育」「(交通・住宅などの)インフラ」の5項目を基準に採点、発表している「世界で最も住みやすい都市」ランキングで、アデレードは2018年は10位でした。
都市計画はシドニー同様、「広域」と「市」の二段構え
アデレードもシドニー、メルボルンと同じく、大都市圏とその中の市(City)それぞれのレベルで作られた都市計画があります。大都市圏は州政府の " The 30-Year Plan for Greater Adelaide " という中期的構想。
最初に発表されたのは2010年です。「歩けるまち」という新しいコンセプトを掲げ、「住みやすい」「競争力のある」「持続可能な」をつくる、という構想です。
アデレード市の計画は "City of Adelaide 2016−2020 Strategic Plan" 。もう、あと1年を残すばかりです。
(出典 https://www.cityofadelaide.com.au/)
目標とするビジョンを実現するために「Smart」「Green」「Liveable」「Creative」という4つのテーマを掲げています。環境に配慮し、ライフスタイルをより豊かにし、世界に開かれ、多様性を大事にする、といったフレーズはシドニーやメルボルンの計画にも通じるコンセプトです。
注目のパブリックスペースは・・
アデレード市で泉山さんがリストアップした「注目すべきエリア」は、大きくくくると3つ。いずれも、中心市街地の北側、トレンス川に近いエリアです。
ひとつめのグループは大きな通りやモール。最も有名なランドル・モールは通りに大きなベンチやキオスクが多数設置され、賑わいの演出に一役買っています。
「メルボルンでの成功をみてアデレードでも導入された」(泉山さん)というlaneway(裏路地)の活用例も、レイ・ストリートなどに多く見られるそうです。
パークレットに注目
あとの2つはアデレード大学とパークレット(車道上の駐車スペースに歩行者のためのスペースをつくり出す取り組み)。特にパークレットは面白い試みと思いました。ウッドデッキが敷かれ、コーヒーを飲んだり食事を取ったりできるように椅子、テーブル、パラソルなどが置かれています。
パークレットは市の許可を得て個々の店舗などが管理しているが、今は新規公募はしていないそうです。
さあ、マップ作成!
都市ごとのマップ作成はこれが最後。時間は80分。5回めの発表も念頭に置いて、グループごとの作業がスタートしました。
みなさんそれぞれお仕事もありお忙しいわけですが、今回は4チームとも全員が揃っての作業です。
そして発表・・
毎回のことですが、リサーチの時間はもう少し欲しい・・けど、なんとか皆さんまとめあげてくるのはさすが。
「立ち寄って使える」公園が多彩な用途に
「チームさんさん」は、アデレードの公園がシドニーやメルボルンに比べて「立ち寄って使いやすい」のでは、との考察を披露しました。電気などのインフラも充実し、市民がテニス、サッカー、バスケ、多目的利用など多彩なアクティビティを楽しんでいるようだとの分析です。
市内に5つある大きな広場(スクエア)は、そのまわりを走る大通りが広場と周囲の空間を分断しているのではないか、とも指摘。「たとえば車の進入を止めて歩行者空間にしてしまったらどうか」と投げかけました。
「市場」に注目
わが「チーム食いしんぼう」は、作業の冒頭での検討の結果、シドニー、メルボルンの時と視点をがらりと変えて「市場(しじょう、いちば)」に注目してみることにしました。
海外ではfarmers' marketや海産物の市場はよくありますが、アデレードでは、そういう「市場」らしい市場のほかにも、ファッションが取扱の中心だったり夜も空いていたりと、かなりユニークな場所であることがわかりました。
カフェやバーの立地には傾向がある?
「ストリートxカフェ」がコンセプトの「Team K」はカフェとバーの立地に注目。「人が集う場所と時間」を分析します。
アデレード市は富裕層の住宅街が広がる「北」と、州政府や市の施設、ホテルや商業施設などが集中する「南」に大きく分かれますが、チームのリサーチでは、カフェとバーは「南」の中でも「上(=北)半分に集中しているようです。
さまざまな移動手段
発表の最後は「チーム モビサイト」。交通と観光です。アデレードの中心部では、トラム、バス、タクシーのほかに、シェア自転車や電動スクーターもあるそうです。観光名所を効率よく回るにも、こうした移動手段の組み合わせを考えることになるようです。
ちょっと想像しにくいのですが、アデレードはオーストラリア国内では渋滞が最もひどいそうです。市では、トラムのネットワークを拡充することでカーボン・ニュートラルなアデレードを目指すという構想もあるようです。
これで3都市のリサーチはすべて終了です。最終回はチームごとに成果を発表しなくてはなりません。3都市の地図と、プレゼン用のパワポをこれから共同で作っていただきます、との説明に、背筋が伸びました。
みなさん、31日の発表に向けて、がんばりましょう!
Photo by Sotonoba Studio Staff, Toshio Shinmura
Text: 新村 敏雄
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