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地図上の道を歩く。

そもそも地図が好きで、かつて紙の地図を片手に知らない街を歩いていた頃、二次元と三次元の一致に感動していた。地図から目を上げれば、地図の街と同じ世界が広がっていて、これはまさかのコンピューター上のバーチャル空間を漂う感覚と何も変わりはないのではないかと思ったりする。

一度通った道は忘れないという特技もあって、とにかく実際に歩けは、私の脳内には地図がインプットされる。タイのバンコクの巨大なナイトマーケットでも、ケベックの古い街並みを目的無しにブラブラと歩いていても、やっぱりあのお店に戻って買い物しようと思えば、迷わず辿り着けるので、一緒にいる友人にはたいてい驚かれる。でも、太陽がどっちから上るかとか東西南北とか、駅のプラットフォームで電車はどっちから来るのかについてはなぜかよく分からないんですけどね。

今はもちろんGoogle mapがあるから、クリックひとつでどんな街の様子もリアルな映像で見ることができるし、脳内散歩もできる。北米大陸の端っこと南米大陸の端っこは、パンアメリカンハイウエイ(という名称は後付けで、既存の道路がつながっているということらしい)の一本道で繋がっているのを地図で見つけた時には、人間ってすごいなと思った。道、繋げるかね、その距離を。

Google mapを使うのが前提として、map上の道をクリック散歩するのが好きで、特殊なゴーグルを装着しなくても充分バーチャルトリップが出来るので、これは大変おすすめの暇つぶしですが、暇をつぶしながらも、道があって、繋がっていて、道を辿れば遠くまで行けることに新鮮な驚きを感じる。

地図の上の道を辿っていると、かつて人が歩いて踏みしだかれた跡が道になって、それはそれは長い距離のこともあったり、人が村や町を作り始めて近所をつなぐ路地になったり、何にもない地面に道が次々に出来て陸地に広がっていく様が映像となって脳内に流れ出す。

地図の上を歩けば、地球を万遍なくまわることが出来るし、何度でも地球一周が出来る。Google mapを使えば映像付きだから、紙の地図よりリアルな移動が出来る。でも、画面から顔を上げたら自宅のリビングルームが見えるより、風や太陽の暖かさ、体が感じる距離感、心が感じる達成感を味わう道を歩きたい。





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