inthehell5話、サイコパスおじさんずの倫理観丸無視中学生日記

仏の顔も三度までという言葉があるが、この地獄もついにオーバーキルの五回目を迎えた。回を追うごとに仏も鬼も裸足で逃げ出すような駄作ぶりを極めていく本作だが、今回はますます登場人物のサイコパスぶりに拍車が掛かっている。その中でも特に酷いのはやはりどうしたって主人公である。

前作の春田創一をそのまま生きている様な、役と本人の垣根を越えた様な自然体ぶりとは正反対に、今回の主人公はとにかくリアクションが大袈裟でやかましく、演者が「春田創一」をデフォルメして演じている様な印象を抱いてしまう。今回の冒頭でも四宮に子供が会いに来ていると伝えるも誤魔化されてしまう場面で一人で大袈裟なジェスチャーとともに顔芸をしていたが、なんだかとても見ていられなかった。映画で部長が記憶喪失だった時に一人でぐりんぐりん大袈裟な顔芸をしているシーンをもっとくどく、かつ現実離れしたようなものを毎回毎回ぶち込まれるのが本当にしんどい。その癖シリアスな場面では正気を感じられないのでそのちぐはぐなギャップに余計に戸惑ってしまう。

話を今回の本筋に戻すと、四宮と子供の事について主人公が先輩CAであるMEGUMIに探りをいれると仕事中で周りにも人がいる中でまあベラベラと詳しく話してくれる。どうやら四宮には離婚歴があり子供がいるらしい。

この物語はお仕事ドラマと謳いながら基本整備士操縦士CA大集合な事務室とやたらトレンディな寮で精神年齢が中学生以下のおっさん達がくっちゃべってるシーンしか出てこない。その為今回もテラハ寮で毎度お馴染みの「レシピ本絶対書籍化したるぞ!!!」という製作側の狙いがひしひしと伝わってくるやたら光を飛ばしスローな四宮料理シーンが間に挟まる。天空不動産で牧の料理シーンがウケたからこその二番煎じだろうが四十越えの哀愁漂う情緒不安定おじさんのキラキラオサレ料理シーンを何度も見せられると流石に辟易としてくるというか、シンプルにくどい。つうかここまででかい寮だったら食事担当の職員とかいるだろ普通。

場面は相変わらずこのだだっ広いトレンディ寮にコイツらしか住んでないのか?と思うほどイツメンと化した主人公、四宮、成瀬の3人のお馴染み食事シーンに。成瀬曰くゲイでも家族が欲しい人は多いしゲイでありながら女と結婚して子供を産ませることはあるあるらしいが女性を愛せない人達の間で本当にそんな事が「あるある」と言われる程横行してたらそれはとてもとんでもない事ではないだろうか。そんな人間はゲイの中でもごく一部だと思うしゲイの多くがそうだという偏見を視聴者に持たせるのはどうかと思う。支持派曰くインザスカイは不動産編と違い性差別のない素晴らしくて優しい世界らしいが制作サイドの偏見バリバリやんけ。

結婚後すぐに離婚し子供とは1歳の頃から一度もあっていないという四宮は、今更会う資格もないと子供と会う事に乗り気ではない。そんな中、まあ都合よくも小学校の体験学習が始まる事となりなんとビックリオドロキ!!たまたま四宮の子供がその生徒としてやって来るのである。いやどんな偶然だよ。ご都合展開にも程があるだろ。せめて体験学習で現れた子供が四宮を探していて…という所から物語を始めては駄目だったのか。つうか三話で子供に教える系のネタやってるのにもう似た様な事してるの草。脚本家の引き出しの狭さがガバガバに露呈していてなんかもう同情にすらしてしまう。

そして始まる体験学習。小学生の前で救命胴衣の付け方を実践する主人公だが、まともに装着出来ない主人公は子供たちの笑い者にされてしまう。このドラマpeach監修らしいが客の命の安全を守る為の客室乗務員が救命胴衣もまともに付けられない姿をポップなおもしろギャグとして描写されていてる場面に何か思う所は無かったのだろうか。シンプルにこんなぽんこつCAが乗っている飛行機になんか乗りたくない。

一方の成瀬は元々他人と関わる事が苦手な上子供が大嫌いという事で子供たちに上手く仕事の説明が出来ず、ブーイングを受けてしまう。そんな子供達に手にしていた飛行機のおもちゃをぶち壊しながらガチギレする成瀬だが、そのキレ方がなんというか…どうしても前後の流れとは繋がっている様には見えない瞬間湯沸かし器のような唐突な物で違和感しか感じず見ているこっちがヒヤヒヤする。
「キレてないっすよ」とまたしてもキャラとかけ離れた激寒小力ギャグは挟まるしで、見ていて本当に居た堪れない。こんなクソドラマの休息地点として、せめて頼むから千葉雄大の顔面に集中させてくれ。こんなオタクの8割は好感を抱くだろうルックスの持ち主に一つも好意的な印象を抱けないなんて事あるか?

物語はやたらと四宮の事を分かっている感を醸し出してくる成瀬に嫉妬する主人公…という流れになるのだが、いかんせん主人公が成瀬を好きになる過程を見せて貰っていないこちらからすれば「イライラする…!」と鼻息を荒くする主人公に「この子供おじさんはいきなり何を言っているんだ…」と首を傾げてしまう。そして嫉妬にモヤモヤする主人公がまともな相談をしてないうちから「それは嫉妬ですよ」と言い当てて来る烏丸。天空不動産の瀬川さんのような「何でもお見通しで背中を押してくれるキャラ」がいた方が話は進みやすいのだろうが、前回のような「ちーん!」に至る描写が一切ない今作では烏丸のキャラはなんでもお見通しどころか何も言っていない内から心を読んでくるエスパーおじさんとしか思えない。あとわんだほうみたいにディスパッチを流行らせたい感が見え見えで恥ずかしいからやめてくれ。

場面は変わって後輩女と主人公がめちゃくちゃ密着しながらおでんを食べているシーンへ。そこでデートの約束を交わす二人。なんかその後いきなり武蔵が乱入してぎゃあぎゃあ大騒ぎするのだが特に物語の本筋に絡まないシーンの為割愛。回を追うごとに空気になって行く武蔵の出番をなんとかねじ込もうと必死なのは伝わってくる。
相変わらずのキンキン猫撫で声の後輩女のぶりっこぶりには相変わらず辟易とさせられるがあまりにも主人公がその気もない癖にこの女に気を持たせすぎていていかんせんだんだんと気の毒に思えて来てしまう。あとこれはただの言いがかりだがこの主人公この子どご飯食べる度1円単位で割り勘要求してそう。

主人公がテラハに戻ると寮のベランダでこれでもかとあからさまに切ない雰囲気を醸し出しながら子供との写真を眺めている四宮。やはり子供の事は気になるようである。どうでもいいけど寮設定丸無視雰囲気重視で電飾キラキラのイルミネーションのベランダを見る度に光熱費に想いを馳せてしまう。


そしてまた後輩女とデートしている主人公。もうこの女でいいじゃん。三十過ぎた妙齢の女性を少年面して弄ぶ姿はシンプルに不快感を覚える。TMレボリューションしか着こなせ無いだろう設計ミスとしか思えないような場所に穴が空いた勝負服を着た後輩女が意を決して手を握ろうとするも主人公は石ころを蹴るのに夢中でそんな女の勇気ある行動もガン無視してしまう。
めげない後輩女が「晩ご飯どうする?」と話題を振っても石ころに夢中な主人公は生返事。突如として石ころ大好き芸人と化した主人公は「そういえばシノさんが今日コロッケ作ってくれるらしいからヒナの分も用意してくれるよう頼んでおくよ(^0^)⭐︎」とゴミのような提案をしてくる。

この提案の何がゴミかというと、主人公は4話時点で四宮の好意が自分に向けられている事をきっちり分かっているのである。つまりこの主人公はデートをした女を寮へと持ち帰り自分の事を好きな男にその女へ夕飯を作らせようとした訳であり、とても血の通った人間が出来る所業だとは思えない。そもそも成人男性が後輩女性相手にまともなデートプランも考えておらず寮の先輩に飯作ってもらおうぜ⭐︎という提案をしてきたらドン引き所の騒ぎではない。

馬鹿にしているとしか思えない主人公の提案に流石のぶりっこ女もブチ切れる。そりゃそうだ。しかしこの主人公は何故自分が怒られているのかちっとも分かっていない様子である。もしかしてまだ義務教育を受けている最中なのか…?

「好きじゃないでしょ、あたしの事…他に好きな人がいるの?ずっと見てたら分かるよ」と涙目で問いつめる女に「いや…そうじゃなくて…」とふうふう肩で呼吸しながらわざとらしく涙目になる主人公。お前が泣く意味がちっとも分からん。二人ともぐすぐす鼻すすってこれが33歳と35歳のやり取りって正気か?極め付けに「俺…頑張るから💪💪💪」と「だから今まで通りキープでいてくれよな⭐︎(^0^)」と言わんばかりの非人道的発言を繰り出す。

「好きじゃないならデート断ってほしかったな…」という真っ当な意見をぶつける後輩女。「その優しさに私は傷付きました」言うとるけどこんなん優しさでもなんでもない。そして去っていく後輩女を涙目で見送り頭を抱える主人公だがなにいっちょ前に俺も傷つきましたみたいな振る舞いしとんねんお前が200%悪いだろ。

場面は変わり四宮とMEGUMIが二人でパフェを食べている。どうやら四宮の嫁がもうすぐ息子を連れてバンコクに行くらしい。家族を愛する気持ちに嘘はなかったらしいが嫁の求める愛情には答えられなかったとスラスラ話す四宮。触れている題材の割にその扱いが軽すぎる。ちゃんと養育費は払っているのだろうか。散々切ない担当切ない担当言われていた哀愁おじさんだがその嫁と子供のほうが50億倍切ないではないか。

一方、後輩女との修羅場デートから帰宅した主人公は寮の共同スペースで健気にも(笑)子供との接し方に関する書物を読み漁っている内に寝落ちしてしまった成瀬を目にする。成瀬というキャラは人と関わる事が苦手な筈なのにわざわざ共同スペースでお勉強して寝落ちしてくれているあたり脚本家に優しいキャラである。そんな成瀬の頬に触れていっちょ前に切なく思い詰めた雰囲気を醸し出しながら「クソ…っ、なんでだよ!」と苛々する主人公。いや本当に何でなんだよ。頼むから人が人を好きになる過程をきちんと見せてくれよ。結果だけの押しつけが本当に凄まじい。

その翌日、新人整備士が我がままなわんぱくキッズ達に翻弄されている所に突如として現れる成瀬。お前はいつになったら副操縦士たる姿を見せてくれるのかという擬問はもうこの際置いておく。話の流れ的に子供と接する為に不器用なりに努力した成瀬が成長を見せて…みたいな流れかと思いきや「お前ら黙れ!!!!絶対飛行機乗せねえから!!」と相変わらず怒鳴り散らかし整備の大切さを訴えようとするも聞き入れて貰えずうるせえ帰れ!!!!とブチ切れ収集が付かなくなる。そこに現れた四宮が当たりさわりなくフォローし、何故か四宮の言う事はめちゃくちゃ良い子に聞いてくれる子供達。これ成瀬のパート必要あった…?

そしてその場にいた四宮と息子の刹那的な御涙頂戴触れ合いエピソードが描かれたのち、本当に子供がバンコクに行く前に会わなくていいのかと問われ、揺れる四宮。つうか2話では成瀬が父親と会う会わないで揉めてたし本当に脚本家のアイディアの品揃えが田舎の個人経営の商店よりも少ない。なんだかんだやっぱり最後に一目は…と徳尾脚本あるあるで携帯の存在丸無視で闇雲に航空内を走り回るもやはり徳尾なのできっちりしっかり嫁と出会える。というかこの嫁、レギュラーキャラの中で一番綺麗だし品がある。そんな美人で上品な嫁曰く
「私今度結婚するんだ!(だから貴方は悪くないよ)
あの時はいきなり出て行ってごめんね(だから貴方は悪くないよ)
私はもう十分我儘を聞いてもらったから(だから貴方は悪くないよ)」
とここぞとばかりに四宮弁護で畳みかけてきて、極め付けに「私は貴方と結婚して幸せだったよ。だから貴方も幸せになってね^^」と舞台装置の宿命としてめちゃくちゃ男にとって都合のよく物分りのいい事を言わされる。

そうこうしているうちに息子が現れ10年間放ったらかしにしていたにも関わらず「お父さん」呼びをしてくれた事に感動した四宮はそのまま息子をスロー演出で抱き締める。そして流れる主題歌。泣かせどころなのだろうが、ここで一体どうやって泣けばいいというのか。ドクズ過ぎる男に妻も息子も都合が良過ぎて一個も泣けん。お前のクソみたいな責任感の無さで嫁と子供が今まで何度寂しい思いをしたか分かってんのかよ。取り敢えず養育費は滞納すんなよ。

嫁と息子が乗った飛行機を見上げながらいい雰囲気で談笑する四宮と成瀬にクソ程不穏な顔で嫉妬する主人公。前作の片思い担当だった牧の切ない眼差しとは正反対に独占欲がこれでもかという位溢れていて未だに関係性が希薄に見える成瀬に対してそんなまなざしを向けている姿が普通に怖い。

場面はまたもテラハに移り、ご飯の準備が出来たからと四宮に頼まれた主人公はベランダまで成瀬を呼びに来る。この時点で人殺しでも始まりそうな不穏なBGMが流れていて主人公の堅い表情も相まってホラーである。そこからついに思いを 抑え切れなくなった主人公が一体いつどこで培ったのか誰も分からない成瀬への激熱ジャイアニズムな恋心を暴露し、成瀬を困らせ視聴者も困る。大したエピソードも無いこの前入ってきたばかりのポンコツタメ口野郎から「誰にも渡したくないっていうかぁ…」とどもりながら告白され思わず逃げようとする成瀬。そら逃げるよ。でも俺じゃ駄目かな…?ってイケメンぶって告白する主人公に駄目ですって即答したのには笑った。

そんなきっぱりしっかり自分を振った成瀬をがっつり抑えつけて無理矢理キスをする主人公。成瀬が童顔で小柄な事もあり主人公の無理やりな行為が本当に強制猥褻行為に見えてハラハラしてしまう。挙句の果てに思い切り拒否られたので「キスなんて誰とでもするんじゃなかったのかよ…!」とモブのようなカッコ悪い捨て台詞を吐いてしまう。人間性が雑魚すぎてヤバイ。

その後四宮が待つリビングに戻った主人公は四宮に改めて告白される。そこで一度は困ってみせる主人公だが、舞台装置親子に前に進むように後押しされた事もありヤバイ方向へ吹っ切れた四宮に「一週間だけお試しでいいから!!!」とサイコパスの笑顔で提案され、次回予告を見るになんとその告白を受けてしまうのだ。この主人公、本当にヤバイ。何がヤバイかというと後輩女に「気もない癖に相手を期待させるな」と涙ながらに忠告されたばかりの上、「成瀬が四宮に気がある素振りを見せている事を分かっている」状況で四宮
付き合うのである。脚本家はフルマラソンチャレンジ中にこの脚本を書き進めたのか??

しかも次回予告では新たに山崎育三郎が登場し、雨の中主人公を抱きしめていた。もうめちゃくちゃである。ていうか雨の中のハグも3話ぶり2回目で本当に似たような事だらだら繰り返している。雨の機材高かったから何回も使わないと損した気分になっちゃうのかな?

しかしここまで主人公やその周りの登場人物がドクズなのも珍しい。これはもう脚本家もヤケなのか。こんな脚本で展だの公式グッズだのに金を落としてくれるファンを新たに獲得出来ると思っていたのだとしたら本当におめでたい。会議とかしないのかよ。していてこれなのかよ。テレビ朝日は商売下手くそおじさんずに改名した方がいいのではないか。