in the hell2話、深刻に主人公を愛せない問題




今回は1でも特に人気が高い2話と5話を担当した山本監督が担当しているという事で、視聴前は「1話はクソ雑魚生ゴミだし脚本徳尾だけど山本監督ならワンチャンいい感じな話になるのでは‥」と思っていたがそんなものは杞憂に終わった。所詮うんこがどうごてごてと厚化粧しようがうんこには変わりないシンプルな事実がそこには漠然と横たわっていた。

ドラマの二話って大事じゃん。一話でなんとなく付いたご新規をどう取り込むかの大事な局面でよくあんなものを放映できたものである。自分の仕事にプライドのある人間には多分真似出来ない所業だ。

この回でパワーアップしてるのは主人公への反感である。研修を二ヶ月やそこらしか経験していないどのつく新人が何故か勤続十年ばりのクソデカ態度で優秀なパイロットの成瀬に説教を垂れているイキリ具合が恥ずかしくて見ていられない。成瀬は性格に難があり主人公への対応が塩すぎると一部では批判が上がっているようだが、ついこの前中途採用された男に「俺もこの業界中堅でそれなりにやってきたからさ」みたいな面をしてベラベラ慣れ慣れしく話しかけられてキレるどころか時折相槌打ってるだけでも人間めちゃくちゃ出来てるだろ。ていうかなんでこいつはこんなに偉そうなんだ。年上だから?脚本家社会経験あるのか?新人看護師が年下の医者にタメ口聞くか?あり得ない。脚本家の常識のなさがまんまキャラに反映されていて見ていてしんどくなっている。

主人公のイキリは成瀬だけにはとどまらず、年下の先輩CAにもタメ口でサークルの後輩に接するかの様な態度であり頭が痛くなる。そして年上の四宮には帰ってくるなり四宮の食べている手作りの夕飯をみて「うまそー!俺のもある?」である。勤続15年の風格だがおそらくコイツは入社して二週間も経っていない。そらお前リストラされるわ。

前回の主人公は確かにポンコツだったが人畜無害のお人好しで誰にでも優しく部長や牧やちずに好意を寄せられる事においてなんの疑問もわかなかった。しかし今回の主人公はポンコツの癖にやたら偉そうでその癖説教臭いが礼節を知らない。こんなキャラが二話にしてなんの説明もなく既に三人から好意を寄せられていて頭がついていかない。誇張ではなくマジでいきなり愛されてるのだ。なろう小説だってもう少しはまともな描写があるだろうがマジでない。この唐突なモテハーレムを夢小説などを好む人種だったら楽しめたのか。

そもそも製作陣が春田創一ブランドを信頼し過ぎているのではないのだろうか。春田創一というだけで周りからもファンからも愛されて然るべき、だから作中でも詳しい過程は描かないです!という押し付けが凄い。存在が罪なんだから愛されて当然なんです!と言わんばかりだが春田創一ブランドを作り上げた前作主人公とは人間性が月とすっぽん過ぎて全然ブランドが通用してくれない。

この主人公、ノンケ設定の筈なのだが年上の四宮にはやたら媚び媚びのぶりっこおじさんになるのに年下の上司の成瀬にはやたら「馬鹿なの?」を連呼していて、なんというか、相手を選んで態度変えてる感じがああこういうヤツいるよな‥って感じで‥どうしてあの役者の顔で声でお人好しという設定でここまで愛せないキャラを作れるのか。ある種ぶっちぎりの才能だ。

しかもこのドラマ、何がヤバイって仕事の描写があまりにもクソ雑魚すぎる。インザスカイというタイトルの割にはマジで一度も離陸してない。機内の映像もなく、二話で主人公がしたことといえばC Aがやるとは思えない風船の膨らまし作業と成瀬のパワハラ疑惑に対する学級会への乱入だ。ちなみに学級会には真昼間から整備士と機長とCA三人が参加している。この会社暇なのか?

しかも成瀬を詰問するお偉いさんに入社実務時間200時間以下の主人公が「こいつこんなんですけど意外といいヤツなんすよ!」と上から目線で訴えてなんやかんやで話が纏まるのがなんていうか一つのドラマとしてお粗末過ぎて震えが来る。恋愛描写も仕事描写も何をとってもなんの積み重ねもなくいきなりどう!?萌える?!感動する?!と過程をすっ飛ばした結果だけをぶつけてくるので一つも心に響かない。

このドラマ、展開が主人公が愛されて然るべき人間という前提で話が進みまくるのだがとにかく魅力に欠けるしそれどころか不快な要素が勝る為全く展開に付いていけないしそんな春田に恋をする男達にも「切ない!萌える!」といった感情は抱けずただただ見る目ねぇな‥と思うだけなのだ。

展開に対して思うところは色々あったがなんかもうくだらなすぎて書くのも馬鹿馬鹿しくなって来た。終了。くだらないドラマだった。1のメンバーがこんな作品に出なくて本当に良かったと心から思う。