in the hell7話、そして誰もいなくなった(直喩)


今最も地上に近しい地獄として名を馳せるこのドラマも7回目を迎えた。最終話にて残す所後一回の重要な局面であるが相変わらず無駄な場面が多い癖に結果に伴う過程は悉く省略されたとんちきドラマぶりが健在している。

前回新たなるCAとして登場し主人公と顔を合わせた瞬間特に理由もなく大親友となったインスタントフレンズ・獅子丸が実は執行役員だった!というのが前話の引きだったので、物語の冒頭はその続きから始まる。正式に執行役員に就任するまで一週間あったため、その間はCAとして周りの様子を見ていたという。更なる事業拡大の為抜本的な組織改革を謳う獅子丸は「これまで通り仲良しこよしでやっていける程甘くはありません」と毅然とした態度で宣言。仕事描写がある所か職場でひたすら色恋沙汰の話を周囲にたらたら垂れ流していて大学のサークルの様に馴れ合っていた主人公としては非常に耳が痛い話である。

組織改革を宣言し淡々と去っていく獅子丸だがそれを気に入らない主人公は「おいおい待てよ怜二!!つかさぁ、俺ら仲良しこよしでやってる訳じゃないんだけど」と役員相手にキムタクの物まねをしているホリのような馴れ馴れしい口調で語るのだがどの口が言うのか。お前職場でCA仲間とたらたらした恋バナしかしとらんやろうが。そんな主人公に対し「それならいいけど…」と返す獅子丸。いや何も良くない。獅子丸は「これからは目に見えた数字で評価されるから結果出さなきゃはるっぴにだって居場所はないよ」と言って去っていくが営業マンでもあるまいし空港会社におけるCAが出せる数字とはなんなのだろう。顧客満足度とかそういうの?徳尾脚本特有の取り敢えずそれっぽい事言わせておけなふわふわとした問題定義であるが徳尾脚本は基本「起承転結」が達成できず「起転転転」な構成となっている為恐らくこの問題もふわっと定義されてふわっと解決されないまま終わるのだろうという事がこの段階で予想出来る。

そんな獅子丸に戸惑う主人公のわざとらしくオーバーな役者虐めとすら思う体感五時間の冗長な変顔タイムのあとOPへ。というか主人公と成瀬が回を増すごとに太ましくなっていくのでOP映像のすっきりした姿とのギャップに毎回戸惑う。

場面は変わって四宮が会社のトイレで顔を洗っているシーンへ。前回の回想が挟まり、成瀬の告白を四宮は「俺はお前にそんな気持ちはない」と断り、そんな四宮に対して自分の一方的な行為を悔いたようである成瀬は「ごめんなさい…」と謝る。重い溜息と共に回想を終えた四宮の元に現れる武蔵。四宮は春田とお試しで一週間付き合ったものの自分の気持ちが成就しなかったことを打ち明け「抜け駆けのような事をしてすみません…」と謝るが45歳と55歳のおっさんのこの女子中学生みたいなしょうもないやり取りに最早草も生えない。

春田が今フリーな事に浮かれる武蔵。四宮に向けまだ春田が好きなんだよお互い難儀な人を好きになったよな…☆彡と薄ら寒いリリカルな語り掛けをするが「その気持ちを娘は知っているのか」という四宮の問いかけに言葉を詰まらせる。別に主人公に振られた娘に俺も主人公に片思いしてるんだよワッハッハ!って打ち明ける必要一個もなくない?

一方相変わらず揃いも揃ってお喋りばかりしているCA軍団は、会社側が打ち出した「売り上げ一週間で6000万」という目標に動揺している。「こんな数字無茶だ」「こんな数字言われてもどうすればいいかわからない」と文句を訴えるCA達。なんかこの流れ見たことがある。劇場版でジーニアス7の無茶苦茶なノルマに苦言を呈していた第二営業所のメンバーそのもので展開の使い回しの多さにまた一段と徳尾の引き出しの狭さを感じてしまう。

場面は武蔵宅へと移り、帰宅してきた後輩女・ひなは暗闇で思い詰める父の姿に驚く。武蔵は実は自分には諦められない好きな相手がいる事を打ち明けるのだが、ひなは「いいじゃん全然!お父さんの人生なんだから好きにしなよ」と笑いかける。この女にもいろいろとツッコミどころはあるのだが周囲がサイコパス集団すぎて相対的に今となってはこのドラマの唯一のまともな登場人物なのだが、母と離婚、死別し新しい恋を見つけた父を広い心で応援する娘に対し、武蔵は「その相手は春田なんだ…」と打ち明ける。さっきも言ったが主人公に振られた娘に俺も主人公に片思いしてるんだと打ち明ける必要あるか?仮に主人公が武蔵の気持ちに応えているのならまだしも完全な一方通行なうえ既に振られている状態でわざわざ娘にそんな事を言う武蔵の真意がマジでわからん。

自分の親に自分と同じ相手を好きだと言われ嫌悪感を抱かない人間がいるだろうか。子供と同じ相手を好きになってしまったとして、それが自分の片思いにとどまる関係ならばそっと胸にしまっておくべきではないだろうか。なぜ娘にわざわざ不快な思いをさせるのか。そりゃお前は言って少しはすっきりするかもしれないだろうが言われた側の娘の立場になれよ。そのうえ春田に対する想いを「こんな気持ちになるのは生まれて初めてなんだ…」とのたまう始末。娘の前でお前の母親にはこれ程真剣にはならなかったと言っているようなものではないか。お前は倫理感を胎内に置いて来たのか??

一方バブル時代を彷彿とさせる無駄にお洒落でクソだだっぴろい通称おしゃくそ寮に戻った主人公は前回おためし一週間の末改めて振った四宮へ気まずさを感じつつも一緒に食事を摂る。「しかし怜二の正体にはびっくりだよな…」と語る四宮だが前回登場した元CA現執行役員の獅子丸とドラマの中でまだ1回も喋っていない筈の整備士の四宮がいきなり怜二呼びしている事にこちらもびっくりであるが基本このドラマは人と人との距離感がぶっ壊れているのでいちいち立ち止まっていては振り落とされてしまう。そんな中リビングに成瀬が現れ、いかにも気まずそうな雰囲気を出す四宮と成瀬。逃げる様にベランダに避難し例によって生活感ゼロのテラスで黄昏ている成瀬を心配する主人公は「しのさんと何かあった…?」と聞く。

ここで思い出したい事として、五話で主人公は四宮に心を開く成瀬に嫉妬と独占欲をむき出しにし、このテラスで告白するも拒絶され、成瀬の唇を強引に奪っているのである。そんな主人公に向け、成瀬はさらっと「まぁ告ったというか…襲った」と打ち明ける。「は…?」となる主人公に、成瀬はさらに「ねぇ…キスまでにしなきゃいけない事ってなんですか?」と相談を持ち掛けるのだが完全に人選ミスで草である。つうか自分に告白してきて振った相手にこんな相談持ち掛けるとはあまりにも人の心が無くて草草の草。

つい2話前の5話で成瀬に唐突に告白し一方的に唇を奪っている前科がある筈の主人公は、そんな成瀬の相談に「そりゃ遊びにいくとか…ご飯食べにいくとか…色々あるじゃん」と自分が1つも実行出来ていないアドバイスを贈る。だったらお前もちゃんと段階踏んでから成瀬にキスしろや。主人公のアドバイスに対して「それって必要…?」ときょとんとなる成瀬に「必要だよ!!」と語感強めに断言し「お前は良くてもさぁ…しのさんだって色々あるだろうよ」と説教を垂れる主人公だが言葉が全部ブーメランでマジでクソギャグである。成瀬も成瀬で何故かそんな主人公の説教をしおらしく聞き入れ「そっか…失敗しちゃった」と涙目になり、そんな成瀬に対し「失敗しちゃったじゃね~よ!」とめちゃくちゃ上から目線の主人公。五話のキスが完全になかったことになっており、全てのキャラの行動が一話一話で一貫しておらず集団記憶喪失みたいな事になっていて草。脚本家ちゃんは自分の書いた話を一回も読み返してないのかな…?


そんな中、組織改革でブイブイ言わせたるぞと意気込む獅子丸の提案により一週間後に迫った「お客様感謝デー」の内容が一新され、残されたリミットと照らし合わせどう考えても間に合わない内容に焦るCAたち。何やらCA握手会なども開催されるらしい。何故乗客の命を守る客室乗務員がそんな客寄せパンダのような事をしなければならないのか…いかにもCAやらナースやらに幻想を抱いてそうな徳尾のようなおっさんが考えそうな薄ら気持悪い企画である。そんな獅子丸に「働きながらどうやってあの量の企画をこなせって言うんだよ!」と食って掛かる主人公だがそういう事はまずちゃんと働いている姿を見せてから言え。

「急に売り上げ目標とか言われても現場の雰囲気は最悪だよ!」と文句を垂れる主人公に「だが雰囲気だけでは仕事はやっていけない」と正論をぶつける獅子丸。「でもぉ、みんな今の会社が家族みたいにあったかいから好きなんだよ!」と返す主人公だがこの男とCA軍団がしょうもない恋バナをするかギスギス弄られている場面しか見せられていないこちらとしては家族という言葉の大安売り感に辟易とさせられる。

獅子丸と主人公が揉めている場面を見た武蔵は主人公を屋上に呼び出し飾り程度に獅子丸の話題に触れた後自分の気持ちを娘のひなに伝えた事を主人公に告げる。サイコパスとしか思えない武蔵の行動にしかし主人公が大して驚いた様子もないのは主人公もまたサイコパスだからである。サイコパス同士はひかれあう的なあれだろうからもうここ二人でくっつけばいい気もする。武蔵が突然「トゥー春田エアポート…ファイナルアプローチオーケー?」と寒いアプローチを挟んでくるのだが、どういう情緒なのかここで突然主人公が泣きだす。武蔵の想いに応えられなくてごめんね的な…?でも全く同じような感じで前にも泣いているしこのタイミングでもう1回繰り返す意味がわからん。誰か解説してくれ…。つうかこの主人公毎話泣いてる気がするので最早泣き顔のクリアランスセール状態である。

その頃空港の謎お喋り空間でスマホと睨めっこし四宮とのデートスポットを必死に探す成瀬に、MEGUMI率いるCA集団が「なにww?スカイツリー???デートwwww???」と茶々を入れている。お前ら本当に仕事しろ。お客様感謝デーに向けて色々間に合わないという焦燥はどこへ行ったんだ。

その後も感謝イベントに向け登場人物がCA、整備士の職務を放棄しそれぞれがペンキを塗ったり看板を作ったりと学園祭の準備のような仕事に精を出してキャッキャしてるのだが普通そういうのって外部の業者に仕事を頼まないのか???こいつらがこうやってペンキぺたぺたして「いぇ~~い」ってノリノリで写真を撮っている間にも飛行機は飛んでいる筈だがそれほど人員が余っているのだろうか。そんな中例によって四宮が周囲が普通に仕事をしている職場のど真ん中で後輩女・ひなに対し「俺…春田の事でひなちゃんに話したい事があるんだが」と声をかけると、MEGUMIが「フラれたんでしょ?」と言い「私も振られました~!」と後輩女が挙手する。何度も言うが周囲には職務中の人間がたくさんいる中でのこのやりとりである。頭が痛い。


一方、キャリーケースをころころさせているだけのなんちゃってフライトを終えた成瀬は主人公に「今日夕飯どうするぅ?」と聞かれ「俺四宮さんを誘います」と振られてもなお立ち向かう不屈のスピリットを見せる。というかマジで主人公の事眼中になくて草。どうやらCA達に「みなさんデートとかどこいきます?」と事前にぐいぐいリサーチしていたらしい。人見知りの無口キャラマジでどこ行ったんだよ。どのキャラも言動が一貫していない中でも成瀬は毎話毎話キャラが違うのでマジで頭が混乱するのだが脚本がゴミすぎて役者も演技プランの立てようがないのだろう。CA達の「貴方が行きたいところに相手を誘えばいいのよ」というアドバイスを真に受け自分の好きな古墳を巡るデートに四宮を誘う気満々な成瀬だが主人公から「でもしのさん古墳興味ないだろ」とツッコミを受ける。「だから今ね、潜在意識に擦り込もうとしてる」と寮の床に古墳の本や写真を並べそれを四宮に古墳をアピールしている成瀬だが、当然それが上手くいくわけもなく、てきぱき片付ける四宮に「片付けろよアイツ…」と文句を言われている始末。

しかし誘おうとした四宮が既に職場におらず落ち込む成瀬。そんな成瀬を見兼ねて「あのさ成瀬…飯いかね??」と持ち掛ける主人公。確かに四宮は後輩女と食事に出ているのだがその事を知っているのは当事者と視聴者のみで成瀬と春田は知らないのだが、四宮が寮に直帰している可能性は二人そろって一切考えず、先に四宮が帰っていただけで何故か傷心モードになっている成瀬を慰める様な流れで二人で外に出る事に。春田と成瀬が二人でどこかに行く展開にしたいが故の過程が雑過ぎる。

そうして主人公はまんまとイルミネーションに成瀬を連れ出し、「しのさんもこういう所に連れて行けばいいじゃん。すげえ綺麗じゃん」と話しかけてみても「綺麗ねぇ…」とイルミネーションはちっとも成瀬に響いていない様子である。「しのさんの好きな事とか知ってるぅ?」という質問に「整備」としか答えられない成瀬に「もっとあるだろ絵とか料理とかピアノとかさぁ」と謎マウントを取って来る主人公に苛つく様子の成瀬に「それか…こういう事してみるとかさ…」と主人公が成瀬の手をとって自分のポケットに突っ込むのだが成瀬といえば主人公を「は????」という表情でただただ睨みつけているだけなので主人公も日和ってすぐに手を離してしまう。そんな成瀬の反応に傷付く様な表情をする主人公。そんなにハイエナ根性丸出しにしてりゃそりゃそうだろうよ。何いっちょまえにバックに主題歌のピアノアレンジ流して切ない表情してんだよ。

というか「四宮の好きなものの話題」からどうして「こういう事してみるとかさぁ」と春田が成瀬の手をつないだのか、流れの意味が分からな過ぎて、イルミネーションに負けず劣らず場面ありきの徳尾のパッチワーク脚本が光る場面だなあと最初は思っていた。しかしよく考えると主人公は四宮とお試しで付き合っていたセブンデイズの最終日、主人公は四宮の最後の願いとして「手を繋ごう」という願いを聞き入れ、実行してから別れたのだ。それを踏まえてからの「しのさんの好きなこととして、こういうことしてみるとかさぁ」と成瀬の手を繋いだかと思うと、四宮・成瀬両者に対してあまりにも鬼畜すぎる所業である。その癖手を握られた成瀬に「は?」という表情をされたらいっちょまえにバックに主題歌のピアノアレンジ流して切ない表情してるあたりがサイコパス過ぎて草。そもそもこの繋いだ手をポケットに入れるというエピソードは田中圭が以前会見で語ってた実体験によるものだったと思うのだが主演俳優の綺麗な思い出をこんなクソみたいな流れで汚すなよ。

何とも言えないイルミネーションから帰宅する二人を迎えたのは四宮と酒を飲み泥酔しハイテンションになった獅子丸であった。ホテル暮らしに飽きた獅子丸が寮にやって来たという。泥酔している獅子丸は主人公と成瀬を見て「この二人怪しいね~デートしてたのかな?しのちゃんはデートするなら二人のどっちがいい?はるっぴ?なるさまぁ?」と早くも距離感の崩壊キャラの崩壊を炸裂させている。ちなみに我々はこのシーンに至るまで獅子丸が四宮や成瀬と会話をしている所を一度も見せられてはいない。そして獅子丸はけらけら上機嫌に笑いながら「ちなみにぃ、なる様はしのちゃん派です~~」と春田に言う。これはつまり二人で飲んでいる際に四宮が獅子丸に成瀬に告白された事を暴露したという事であり、このドラマの登場人物のどいつもこいつもが口がヘリウムガスより軽い。

そのまま酔っぱらった獅子丸は春田の手によりベランダに連行されていき、「会社で…準備大変だったよね…ごめんねぇ…」と主人公に向け号泣してダンスする。なにこれ。

そして始まるファン感謝デー。CAや副操縦士や整備士や執行役員が揃いも揃って握手会したり風船配ったり客のカメラマンなっていて草。そんな中事務室に怪しい男が乗り込んできて、責任者を出せと声を荒げる。どうやら男は「限定グッズが欲しくてちゃんと規定の時間通り並んだのにルールを破って先に並んでいた人間の分で整理券が終わってるってどういう事だよ!!」と暴れる。似たようなトラブルが主演俳優のトークイベントで起き問題視された事はまだ記憶に新しい。手つなぎもそうだが自分の引き出しが狭いからって主演俳優の実際のエピソードをいちいち脚本に絡めて来るのやめろや。


責任者として対応するベテランの武蔵だが客の怒りは収まらず、しかしそのあと現れた主人公の安っぽい謝罪に不審者は心を打たれ「あなたがそこまで言うなら…☆彡」と急ににこやかになり大人しくなる。そんな主人公は獅子丸にも大感謝され最終的にはこれからも頼りにしてますと頭まで下げられる。完全に展開がなろう圭いやなろう系で草。獅子丸曰く「上層部も売り上げ売り上げ言ってた癖にいきなりお客様と地道に触れ合うのが一番だって言い始めてさぁ…必殺掌返しだよ」と語るが実に劇場版おっさんずラブジーニアス7リーダー狸穴迅への痛烈なアンチテーゼが組み込まれている自虐的な脚本である。

一方、四宮に古墳を擦り込みたい成瀬の活動は未だ続いており四宮はまた怒りながら散りばめられた古墳本を片付けているのだがふと泥酔した獅子丸が「この二人怪しいw」と言っていた事を思い出し、「春田が…成瀬を…」と、とてもいきなり超速理解で春田の片思いに気がづいてしまう。そもそも3話で雨が降る中成瀬を抱きしめていた春田をみても何も思わなかった癖に獅子丸が「あの二人怪しくない!?」と言っただけで春田→成瀬への片思いを完全に理解するというめちゃくちゃ強引な流れである。

そこに部屋に入って来た成瀬が四宮に「今度いきませんか?イルミネーションとか…古墳とか…甘いもん食いにいくとか…」と、王道デート自分の好きな物デート相手が好きなものデート全てを提案するが「行かねえよ」とばっさりと断られてしまう。涙目になった成瀬が「一緒にいければどこでもいいんですけど…」というも四宮は真顔で「しつこい。俺はお前に一切興味がない。いい加減諦めてくれ迷惑だ!」と冷たく言い放つがお前だって自分に一切興味がない主人公に拝み倒して一週間付き合って貰って自分のしたい事全部して貰ってたじゃねえか草。

泣いて出て行く成瀬とすれ違った春田が四宮に何かあったかと聞くと「成瀬の所に言ってやれ!!!」と半泣きで怒鳴られ追いかけに行く。「てかどこだよ~~」と聞きなれた台詞で探し回る主人公は、公園のタコの形をした滑り台の穴の中で膝を抱えて号泣する成瀬を見つける。ちなみに成瀬は三十歳。三十歳である。十三歳の間違いではない。モブ男に「一度寝たくらいで本気になってんじゃねぇよ」と吐き捨てたり主人公の胸ぐらを掴みぶっ殺すなどと言っていた時とはキャラが別人過ぎて誰だお前はレベルである。あと脚本の問題なのか演技プランの問題なのかは分からないが成瀬が男性である必要が全くなくそのまま女性でも一つも違和感がないキャラ造形が、男性向けハーレム漫画に出てくる設定だけは男の「ノンケ男が考えた男でもこいつならイケると思う女の子っぽい男の子像」のような物に思えて仕方ない。

「初めて失恋したんです」と泣く成瀬に「振られたやつのきもちちょっと分かったかぁ?」と軽口を叩く主人公。「駄目です俺、くそです、くそくそ、」と自分をぽかすかする成瀬に「今のお前今めっちゃ頑張ってるじゃん!みんなとも話すようになったし、チームの事も考えるようになって…めっちゃ今のお前いいよ」と言う主人公だがこちらとしては唐突にCAと恋バナするようになった成瀬しか見せられてないのでチームどうこう言われてもぴんと来ない。しかしなろう系脚本の宿命として「それ全部…春田さんのおかげですよ☆彡」と主人公が成瀬から感謝される流れになる。

相変わらず落ち込む成瀬だったが主人公に「帰ろう?」てを差し伸べられそれを受け入れる。そして行われる二度目の繋いだおててポケットin。なんか知らんが先程まで家にいた筈の武蔵が何故かその場にいてその様子をじっと見ている。今度は成瀬もまんざらでもなさそうなので二人ともてくてくおててを繋いで自分たちをお膳立てしてくれた四宮のいる寮まで帰っていく。いやどんな心情??お前らのなかで四宮ってどういう立ち位置なの???一方春田と成瀬のおせっかいおじさんになってしまった四宮は耐え切れず荷造りをして寮を出て行くのだが、出て行こうとした所を丁度主人公と成瀬と鉢合わせてしまう。「俺…寮出て行くから」という四宮に「なんで!!!??」となる主人公だがそりゃそうだろうよ。ちなみに四宮はその間成瀬を一瞥もせずガン無視して出て行くし成瀬はそんな四宮の背中を悲し気にじっと見つめているし、主人公は四宮の心配というよりも四宮が出て行った事による成瀬の反応を気にしていて正に地獄の三重奏である。

寮に戻った春田は四宮や成瀬との楽しかったテラハ生活を走馬灯のように思い出しこの地獄の現状を涙目になりながら「なんで…」と嘆くのだがお前が強引に成瀬にキスしたり四宮とお試し一週間で付き合ったりハイエナ根性丸出しで成瀬付け狙ったりしてるからこんな事になったんだぞ。

そしてなんか知らんが武蔵がパイロットをやめるらしい。定年近いし良いんじゃないかな。お疲れ様でした。

そんなこんなで終わった七話だが残り一話でどうするんだよこれ。春田成瀬で終わるにしては成瀬→四宮の覚醒が遅すぎるし熱すぎるし「キスなんか誰とでも出来ると思っていた」というキャッチコピーまで「あんたとしかしたくない」と四宮で回収してしまっているのに最終回でいきなり主人公の事を好きになるのか?今までの積み上げ無視して「春田さんとしかキスしたくありません」とか言い出したら草生え過ぎてジャングルになるわ。しかも最終回で成瀬四宮武蔵主人公で相撲を取るらしくもうなんか滅茶苦茶である。どうせなら相撲の最中スローになってキラキラまぶして主題歌流す位の意気込みは見せてほしい。

あまりに話がしっちゃかめっちゃかすぎて中途半端な為残り一話で綺麗に片付くとは到底思えない。既存のファンは勿論キャラとキャラとの心のやりとりを楽しみにしているだろう新規のファンまで振り落とす酷い脚本に、まさに今回のタイトル「そして誰もいなくなった」はぴったりだったと思う。ファンは離れたあと、大量のグッズ在庫と売れない展とオケコンのチケットを抱えこの製作スタッフは解散して欲しい。やりたい事があるなら別のオリジナルドラマでやれば良かったのだ。今作の脚本、監督、プロデューサーには二度とおっさんずラブに関わってほしくない。