高井息吹さん EP.PIANO


一聴した感想は、「次のアルバムが出るまで、このEPを聞いて過ごすじゃないスか」
これに尽きます。
声、詞、ピアノ、ペダルを踏む音離す音、ブレスの音、地団駄を踏むみたいに床を鳴らす音、、、
ひとつも見落としたくない、聞き逃したくなくて気づけば何週もしています。

M.1 Lullaby
完全に「詩」、「poem」海外の童話や絵本を日本語訳したような言い回しが名曲の合図。

EPは同じテイストの6曲がパッケージされるのがいいですね本当に。
聞き手の好みと違っても30分弱なのでとっつきやすい。好みだったら宝物の一枚。
人にもお勧めしやすいサイズなのでEP大好きです。

君島さんだと「袖の汀」はガットギターと歌のEP、「縫層」はサイケなEP、カラーの違うどちらも好きです。
今回は「ピアノとうた」がテーマのEP。2023Spotifyまとめ上位ランカーの予感です。

M.2 姿の行方
  いちばんリピートしている曲!
スローテンポのバラードなのに熱量が高すぎる。羽根車が高速回転すると却ってゆっくりに見える現象がありますが、この曲を聴くと同じ感覚になります。
過去の曲「フィナーレ」でも同じものを感じました。本作はフィナーレより音数が少ないにも関わらずフィナーレ以上の疾走感があるって、え?、何事?

息吹さんの曲は、「ずっと今が続けばいいのに」と読み取れる歌詞が多い気がする。けれど悲観的では無いし、「だから今を楽しもう!」とも続かない。
季節や時間に逆らわず、流れてきた人や出来事を噛み締め、自然の流れに沿って手から離れていくのを追いかけないのかなあ。
諸行無常、、、

M3.グッドバイ、グッドナイト
これぞ息吹さんのうた
ゆっくり湯船に浸かっているような気持ちになります。
この曲で2回出てくるワード「横顔」
映画でも小説でも歌でも、横顔ってなんだか少し悲しいアイテムのように思います。
ドライブ、映画、散歩、並んでいるのに違う方を向いているシチュエーション。
私は貴方を見ているのに、貴方は前を向いている。から?
「一緒にいるのに私を見ていない目」が寂しいのかな。
aiko クレイジーケンバンド、大貫妙子さん…
横顔は、切ない名曲のオンパレードですね。

M.4呼吸
歌詞の意味をぐるぐると考えてしまう曲です。
サビのフレーズ「元気でね また明日」
「元気でね」って、「また明日」会える人に言う言葉???
次会うまで時間が空いてしまう、もしかしたらもう会えないかもしれない相手に、お別れの意味を込めてようやく出る言葉じゃない、、、???
  
もう一つ気になるフレーズが
「ねえ どうして近づく程に 眩んでくの 通り抜けてグッバイ」
楽しい時間は、夢中になっている時は気づかないもので、後から思い返して幸せだったと思うのかな。
話が逸れ逸れでごめんなさいですが、呼吸を聞いて、笹谷潤子さんの短歌を思い出しました。
「この午後を 10個のミントの 飴にして ほんとにさみしい日にだけなめる」

M.5.名前のない歌
みんな大好き息吹さんの6/8拍子。待ってましたの6/8拍子。
残すところ2曲なので、息吹さんの音楽の何が好きかという話を。
冒頭でも触れたように、声、詞、ピアノ、ピアノのペダルを踏む音、離す音、ブレスの音、地団駄を踏むみたいに床を鳴らす音、、、全てに惹かれてます。
抽象的な書き方ですが、聞く度に魅力が増すので「これだ!」と断言できません。

言葉では届かないところに居たいよ
言葉では満たされたくないよ
君の心に名前はつけられない
でも どうか 忘れないでおくれよ

息吹さんに感じる言語化できない魅力に本人がアンサーをくれた気分になりました。

M6.PIANO
昔の自分に向けて書いた曲なのかな?嘉代子さんでいう23歳のような。
ピアノに出会ってから今に至るまでの、ある種ひとつの節目だと思いました。

楽器は弾き手によって癖がついて味が出てくると思っています。
ギターやベース、管楽器は、どこの舞台でも自分の相棒を連れていけるけど、ピアノは会場のものを使うことがほとんど。
ピアニストにとっては、会場でのピアノとも一期一会なんですね~
息吹さんのTwitterで、浜松の会場のピアノを「優しくて ちょっとひょうきんなおじいちゃんみたいなピアノ」と語っていました。
なんて感性、、、

・最後に
2023年はピアニストの年になりそうです!
息吹さんにゆかりのあるピアニストを掘って、グッドミュージックな年にします!

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