役員貸付金・役員借入金
会社が経営者や役員に貸付けをした場合は、役員貸付金(やくいんかしつけきん)勘定(資産)で処理します。これは、会社があとでおカネを回収する権利があるという意味です。
反対に、経営者や役員が会社の資金繰りのためにおカネを出すような場合には、役員借入金(やくいんかりいれきん)勘定(負債)で処理します。これは、会社があとでおカネを返さなければいけない義務として記録します。
なぜわざわざ役員●●金といったような形で、一般的な貸付金・借入金勘定と区別しているのか?というと、リスクが高い会社だとみなされることを避けるためなんです。
例えば、銀行から多額の借入れをしていたとしましょう。この借入れは、会社を経営するために調達した資金です。
これを経営者や役員に貸付けて一般的な貸付金勘定で処理すると、取引先である銀行からは資金の使いみちが見えなくなります。そうすると、貸借対照表に示された大きな貸付金額から、借入金は別の目的のために使ったのかもしれない…と疑わざるを得ません。
そうなると当然リスクが高い会社とみなされ、取引条件が悪化…で済めばイイですが、取引停止になるかもしれません。
そういう意味では、役員貸付金・役員借入金勘定を設定することは、他社への透明性アピールにつながるといえますね。
仕訳のタイミングは、①役員におカネを貸した or 借りたとき、②返済されたとき or 返済したとき の2つです。
役員貸付金
①役員におカネを貸したとき
【例題8-6】①
当社の役員X氏に当座預金から1,000,000円貸付けた。貸付期間は5ヶ月、利息20,000円は元金とともに受け取ることとした。
役員への貸付けなので、資産の増加=役員貸付金を記入します。
当座預金から出金しているので、資産の減少=当座預金を記入します。
②返済されたとき
【例題8-6】②
①の役員X氏に対する貸付金が利息とともに返済され、当座預金に入金された。
役員への貸付金が資金化されたので、資産の減少=役員貸付金を記入します。
元金と一緒に利息を受け取っているので、収益の発生=受取利息を記入します。
元金と利息は当座預金へ入金されているので、資産の増加=当座預金を記入します。
役員借入金
①役員におカネを借りたとき
【例題8-7】①
当社の資金が不足したため、社長の個人資産から現金3,000,000円が当社の当座預金に入金された。
社長の個人資産から会社に入金されているので、負債の増加=役員借入金を記入します。
資金は当座預金に入金されているため、資産の増加=当座預金を記入します。
②返済したとき
【例題8-7】②
①の借入金について、利息30,000円とともに当座預金から返済した。
借入金を返済しているので、負債の減少=役員借入金を記入します。
利息を支払っているので、費用の発生=支払利息を記入します。
当座預金から返済しているので、資産の減少=当座預金を記入します。
今回は比較的簡単な論点ですが、ときどき経営者からの立場で仕訳を考えてしまって混乱する方がいらっしゃいます。会社の立場で仕訳をしていることを忘れないように注意してくださいね。
今回はここまで。
ではまた。
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