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小口現金

会社は、タクシー代や急に必要となった梱包用のテープ代、従業員のためのお茶やお菓子代といった少額だけれども日常に必要な支払いに備え、手元に現金を用意しています。

このような現金のことを小口現金(こぐちげんきん)といい、小口現金勘定(資産)で記録します。

定額資金前渡法

小口現金の管理方法には、定額資金前渡法(ていがくしきんまえわたしほう)があります。

これはインプレスト・システムともよばれていまして、経理担当者とは別に小口現金を管理する用度係(ようどがかり)を決め、1週間や1か月といった期間設定したうえで一定額用度係前渡ししておく方法です。

設定期間中、用度係は支払いがあるたびに小口現金出納帳(こぐちげんきんすいとうちょう)とよばれる帳簿への記録と現金・領収書の管理をおこないます。

設定期間が過ぎたら、用土係は小口現金から支払った明細を経理担当者報告し、同額小口現金を受け取ります。このようにすることで、次の期間のはじまりには開始当初に決定した一定額を用度係に必ず前渡ししている状態にします。

19小口現金

仕訳をするタイミングは3つです。①用度係へおカネを渡したとき ②用度係から報告を受けたとき ③報告を受けた同額を用度係に渡したときです。また、仕訳をおこなうのは経理担当者です。小口現金出納帳を記録する用土係ではないことに注意してくださいね。

①用度係へおカネを渡したとき

【例題3-6】①
会計係は、用度係に小口現金として、小切手30,000円を振り出した。

小切手を振出しているので、資産の減少=当座預金を記入します。

例題3-6①1

小口現金用として小切手を振出したので、資産の増加=小口現金を記入します。

例題3-6①2


②用度係から報告を受けたとき

【例題3-6】②
用度係から今週分の支払いについて、以下の報告があった。
旅費交通費 7,000円、通信費 5,000円、雑費 4,400円

報告を受けた今週分の支払い明細を、費用の発生=旅費交通費、通信費、雑費として記入します。

例題3-6②1

ちなみに旅費交通費(りょひこうつうひ)とは、タクシー代はもちろんのこと電車やバス代として使用した料金のことです。通信費(つうしんひ)は、携帯電話や一般の回線電話の通信料、切手やはがき代を指し、雑費(ざっぴ)は従業員のための茶菓代、新聞代といった勘定科目を設けるほどではない雑多な費用のことです。

さまざまな支払いは小口現金から支払っているので、資産の減少=小口現金を記入します。

例題3-6②2


③報告を受けた同額を用度係に渡したとき

【例題3-6】③
会計係は②の補給額として、同額の小切手を振出した。

小切手を振出しているので、資産の減少=当座預金を記入します。

例題3-6③1

振出した小切手は、小口現金用として補給しているので、資産の増加=小口現金を記入します。

例題3-6③2



上記の例題では、②用度係からの報告と③小口現金の補給のタイミングが別々でしたが、会社によっては同時に行う場合もあります。この場合は、小口現金勘定の記入を省略して仕訳をしてOKです。

一緒に確認しておきましょう。

報告と同時に補給する場合

【例題3-7】
用度係から今週の支払いについて以下の報告があり、ただちに同額の小切手を振り出した。
旅費交通費 7,000円、通信費 5,000円、雑費 4,400円

今週分の支払いについて報告を受けているので、費用の発生=旅費交通費、通信費、雑費を明細として記入します。

例題3-7①1

設問に『ただちに』とあるので、小口現金勘定を省略し資産の減少=当座預金を記入します。

例題3-14

☆・☆・☆

小口現金について仕訳をする際には、小口現金を使ったときではないこと、詳細の報告と資金の補給のタイミングにより勘定科目が変わることに注意してくださいね。

今回はここまで。
ではまた。


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