見出し画像

小切手の旅

ここまで預金や現金、小切手について学んできました。では、次の仕訳を考えてみましょう。

自己振出小切手を受け取った場合

【例題3-5】①
当社は、りす商店に商品50,000円を販売し、代金はかつて当社が振り出した小切手35,000円と残額を現金で受け取った。

取引としてはとてもシンプルです。商品を販売し、代金を小切手と現金で受け取ったというモノです。商品を販売しているので、収益の発生=売上を記入します。

例題3-5①1

代金は、現金と小切手で受け取っています。ただし、注意しなければいけないことが1点あります。それは『誰がその小切手を振り出したのか?』ということです。

例題文には『かつて当社が振り出した小切手~受け取った』とあります。これは、以前に当社が何かの支払いのために振り出した小切手を、今回の取引で商品代として、りす商店から受け取っているといっています。

つまり仕訳で考えると、小切手を振り出した際には当座預金を減らしていますが、今回その小切手を受け取ったので、減らした当座預金を元に戻す処理が必要だということです。

現金とともに当社振出しの小切手を受け取っているので、資産の増加=現金、資産の増加=当座預金を記入します。

例題3-5①2

☆・☆・☆

このように、小切手は振出人の承諾を得なくても他の支払いに充てることができます。これを小切手の譲渡(じょうと)といいます。硬貨や紙幣と同じで、人から人へどんどんと流通させることができるんですね。

ただおカネと違うのは、振出人が存在すること、仕訳の際には振出人が誰なのかによって勘定科目が変わるところです。

例題では当社がかつて振り出した小切手でしたが、もしこれが『りす商店(他人)が振出した小切手を受け取った』場合は、資産の増加=現金として処理します。

例題3-5①3

☆・☆・☆

小切手は譲渡する際だけでなく、受け取った人がおカネに替える際も振出人の承諾は不要です。自分の都合で銀行に持って行けばOKでしたよね。

この小切手の持参人が、銀行に小切手の換金を依頼することを取立(とりたて)といいます。

で。

ここまで解説しておいて何なんですが…小切手の譲渡は、現実世界ではあまりおこなわれていません。

ただ機能として譲渡は可能ですし、試験問題としても有効です。

知ってしまえばなんてことのない取引ですが、知らないまま初見で出題されると必要以上に考え込み、時間がかかってしまうこともしばしばです。ポカミス撲滅のため!と思って、しっかり確認しておいてくださいね。

そうそう!!取立といえば、以下の場合の仕訳はどうなるでしょう?


直ちに当座預金へ入金する場合

【例題3-5】②
当社は、りす商店に商品50,000円を販売し、代金はかつて同店が振り出した小切手で受け取り、直ち(ただち)に当座預金へ入金した。

りす商店へ商品を販売しているので、収益の発生=売上を記入します。

例題3-5②1

代金は、りす商店が以前に振り出した小切手を受け取っています。この場合、資産の増加=現金として処理するのが通常ですが、すぐに当座預金へ入金しているので、資産の増加=当座預金を記入します。

例題3-5②2


このように、『直ち(ただち)に』次の処理をおこなった場合は、最終結果の勘定科目で仕訳します。これは、複数の流れとなる取引をひとつの取引とすることで、処理の煩雑(はんざつ)化とミスの誘発を避けるためです。

今回はここまで。
ではまた。


◎次の記事◎


サポートをいただいてありがとうございます♪ 大好きな本の購入に使わせていただきますね。😃