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帳簿Ⅳ②-商品有高帳(移動平均法)-

商品有高帳の払出単価を決めるもう1つの方法は、移動平均法です。これは、単価の異なる商品を仕入れるたびに平均単価を計算します。

移動平均法

【例題15-8】
次の資料にもとづき、商品有高帳を移動平均法にて作成しなさい。帳簿の締め切りも行うこと。
-資料-
9月 1日 : 前月末のノートの在庫は、@80円 30冊である。
      9日 : ノート(@180円、20冊)を販売し、代金は現金で受け取った。
    11日 : ノート(@100円、40冊)を仕入れ、代金は掛けとした。
    26日 : ノート(@180、25冊)を販売し、代金は掛けとした。

例題15-8答案

先入先出法と同じく月初在庫と商品を仕入れた際には受入欄へ、販売した際および月末在庫払出欄へ記入します。また受入単価払出単価は、常に原価(超重要!)で記入します。ただし、商品を仕入れた際の残高欄への記入には違いがあるので注意が必要です。

9月 1日 : 前月末のノートの在庫は、@80円 30冊である。

前月末在庫は、1冊80円のノートが30冊といっているので、受入欄残高欄へその旨記入します。

例題15-8①


9日 : ノート(@180円、20冊)を販売し、代金は現金で受け取った。

ノートを販売(出庫)しているので、払出欄に記入します。ただし、このとき注意していただきたいのが単価です。資料には@180円とありますが、これは販売価格です。ところが、商品有高帳で管理したいのは原価です。注意しましょう。
販売数量資料通り、単価は原価なので残高欄単価にそって記入します。

例題15-8②


11日 : ノート(@100円、40冊)を仕入れ、代金は掛けとした。

新たに仕入れをしているので、受入欄に記入します。ただし、以前から持っていた在庫と今回の仕入単価が異なるので注意します。

移動平均法の場合、仕入れのつど平均単価を計算します。さきに残高欄数量金額を記入し、単価はそのあとで計算します。今回ですと、

数量が、在庫分 10冊 + 仕入れ分 40冊 =50冊
金額は、在庫分 800円 + 仕入れ分 4,000円 = 4,800円

となります。数量と金額が確定したので、単価を計算します。4,800円 ÷ 50冊 = @96円となります。

例題15-8③


26日 : ノート(@180、25冊)を販売し、代金は掛けとした。

ノートを販売(出庫)しているので、払出欄に記入します。商品有高帳の払出単価は、原価で記入することに注意します。

例題15-8④


月内の取引は以上となるので、月末に帳簿を締め切ります。
残高欄の残高次月繰越として払出欄に記入し、受入欄払出欄数量と金額をそれぞれ合計します。このとき単価は記入しません。数量と合計が一致したら締切線を引き、翌月1日付けで前月繰越として受入欄と残高欄へ記入します。

例題15-8⑤


こうして完成した商品有高帳では、月内の売上原価月末商品棚卸高を把握することが可能です。売上原価は次月繰越を除く払出欄の合計、月末商品棚卸高次月繰越額です。

例題15-8⑥

     9月売上原価 : 4,000円 = 1,600 + 2,400
月末商品棚卸高 : 2,400円

よく見てみると、受入欄と払出欄が決算整理事項の売上原価算出のために書いた箱と同じような形になっていますね。

例題15-8⑦

☆・☆・☆

移動平均法では
①仕入れのつど平均単価を計算すること
②その手順は、数量と金額を計算してからおこなうこと

がポイントです。もちろん、単価は常に原価で記入することも忘れないでくださいね。

ちなみに先入先出法と移動平均法を比較すると、売上原価と月末商品棚卸高が異なります。

例題15-8⑧



先入先出法と移動平均法は、細々とした注意点がいくつかあるので慣れるまでは少々混乱するかもしれません。決して難しくはないので、本試験で出題されたら確実に点数をとりたい論点です。一度まとまった時間を取って、じっくり取り組んでくださいね。

今回はここまで。
ではまた。


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