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小口現金出納帳-補助簿-

次に、用度係が記録する帳簿である小口現金出納帳を見ていきましょう。

19小口現金

小口現金出納帳は、数ある補助簿の1つです。補助簿は特定の取引や勘定の増減の明細を記録しています。用度係は、補助簿である小口現金出納帳を記入し、この帳簿をもとに経理担当者への報告をおこないます。

報告時に経理担当者による仕訳がのあとには、小口現金の補給がおこなわれますが、これには2つの方法があります。①報告と同時に補給する方法 ②報告を行ったあと、後日改めて補給する方法です。

①報告と同時に補給する方法

【例題3-7】①
当社は6月1日(月)より定額資金前渡法を採用し、1週間ごとの小口現金として30,000円の小切手#5を振り出し用度係に渡している。また小口現金の補給は、週末に報告と同時におこなうこととし、小切手#11を振り出している。小口現金出納帳を完成させなさい。なお、締め切りまで行うこと。

6月2日 タクシー代 7,000
  3日 切手代    5,000
  4日 新聞代      4,400
    5日 小切手#11  ?

例題3-7①答案

6月1日(月)に30,000円の小切手#5を受け取っているので、受入欄・日付欄・摘要欄(てきようらん)・残高欄へ記入します。

摘要とは、抜き書きをするという意味です。帳簿では、取引のポイントだけ記録すればOKです。小切手#5と記入しましょう。

例題3-7①1


6月2日~4日の取引は、各取引ごとに日付欄・摘要欄・支払欄・内訳欄・残高欄へ記入します。内訳欄は、取引の内容を勘定科目で示しています。支払った内容と合致するものを選びましょう。

例題3-7①2


設問に『小口現金の補給は、週末に報告と同時におこなう』とあるので、週末に支払欄と内訳欄をそれぞれ合計します。内訳欄はこの時点で締め切り、経理担当者へ報告します。

『締め切る』とは、終わりを示す目印を記入することです。簿記ではひと目で分かるように、合計欄を示す場合は一本線、締め切りは二重線を赤線で引きます。また、それぞれを合計線・締切線とよんでいます。

例題3-7①3


次に、報告と同時に補給をおこなっているので、支払欄の合計と同額の小切手を受け入れたことを受入欄に記入します。その際、残高欄も忘れずに記入しましょう。

例題3-7①4


これでようやく1週間の取引をすべて記録できました。あとは帳簿を締め切り、残高を繰り越すための手続きをおこないます。

残高欄の残高次週繰越として支払欄朱記(しゅき)し、受入欄と支払欄をそれぞれ合計したあと締め切りをおこないます。 このとき、次週繰越分を前週繰越として翌週に繰り越すことを忘れないようにします。

例題の続きを確認していきましょう。

まず、残高欄の残高を次週繰越として支払欄へ朱記します。朱記とは、赤文字で記入することです。残高欄には30,000円とあるので、これを支払欄へ記入し次週繰越とします。

例題3-7①5


次に、受入欄支払欄それぞれを合計し締め切ります。どちらも46,400円となり、金額が一致していますね。(貸借平均の原理)

例題3-7①6

※締切線は、日付欄・残高欄へも忘れないように記入しましょう。


最後に、次週繰越分を前週繰越として翌週の日付繰越記入をおこないます。

例題3-7①7

これでようやく1週間分の締め切りが終わりました。翌週から、また同じ要領で取引を記録していきます。


②報告を行ったあと、後日改めて補給する方法

【例題3-7】②
当社は6月1日(月)より定額資金前渡法を採用し、1週間ごとの小口現金として30,000円の小切手#5を振り出し用度係に渡している。また小口現金の報告は週末におこない、補給は翌週におこなうものとし、小切手#11を振り出している。小口現金出納帳を完成させなさい。なお、締め切りまで行うこと。

6月2日 タクシー代  7,000
  3日 切手代     5,000
  4日 新聞代     4,400
  8日 小切手#11   ?

例題3-7①②答案


6月1日(月)に小切手を受け入れ、1週間の取引を記入したあと経理担当に報告するところまでは【例題3-7】①と同じです。取引の詳細をすべて記入したのち、支払欄・内訳欄それぞれを合計します。

例題3-7②1


設問に『小口現金の報告は週末、補給は翌週におこなう』とあります。つまり上記まで記入後、報告をすれば今週の手続きはおしまいということなので、帳簿の締め切りをおこないます。

まず、残高欄の残高13,600円を次週繰越として支払欄へ朱記します。 

例題3-7②2


次に、受入欄支払欄をそれぞれ合計し帳簿を締め切ります。このとき、残高欄にも締切線を忘れずに引きましょう。

例題3-7②3


締め切ったあとは、次週繰越 13,600円を前週繰越として受入欄に記入し、翌週へ繰り越します。日付は、翌週の初日です。

例題3-7②4


週が明けて小切手の補給を受けたら、受入欄へ記入します。金額は、先週1週間で使った金額と同額です。

例題3-7②5

☆・☆・☆

これまでの試験では、文章だけで仕訳を問われることが多かった論点ですが、実務に役立つ検定試験にするためにも出納帳を見て仕訳ができることが大切です。そのためにも、ぜひ1度ご自身で出納帳への記入練習をしておきましょう。さらに理解が深まりますよ。

練習用のフォーマット置いておきますね。↓↓↓

今回はここまで。
お疲れさまでした!


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