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近頃の手形事情

現金信仰の強い日本でもここ数年、キャッシュレスという言葉が当たり前になってきましたね。

これは中小企業への導入を図ることで企業の生産性を上げて収益力を上げることはもちろん、顧客であるワタシたちの利便性も上げていきましょうという国の成長戦略の1つです。

昨日解説した約束手形も、2016年から改善課題の一つとなっていて、先月、2026年までに利用廃止を求める方針を決定との記事が出ていました。

あとこちらは、改善に向けて取りまとめ報告書です。↓↓↓
約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会 報告書

約束手形は現金と違ってかさ張らず、何より支払いを先延ばしことで資金繰りがラクになる点が重宝されてきた理由です。

もともとの始まりは、会社同士の信用をもとにしたギンコー融資の代わりでした。

だけど、活用していくにはさまざまなコストがかかります。

手形を振り出す側は、手形帳の購入からはじまり、担当者が手形を振り出しと印紙の貼り付け→承認する人の押印もらって→封筒に入れて→郵送or支払先へ手渡すといった作業が待っています。

手形を受け取る側も同様、いやそれ以上です。
手形を受け取ったら→印紙を貼りつけて領収書を作成→郵送→手形を保管→取立のために管理して→時期が来たら銀行へ持ち込んで→取立手数料を払って取立てもらうといった感じ。

だけど、それ以前にね。

支払いが先延ばしになればなるほど、受け取る側は資金繰りに困るわけですよ。

一応それを回避するたの方法は用意されてますけど。

その方法は、受け取った手形を支払期日前でも銀行に買い取ってもらっておカネに変えることができるんですね。

これを手形の割引といって、数年前までは簿記検定でも試験範囲でした。(今は除外)

でね、割引は手元の手形をギンコー持ち込めば受け付けてくれるんだけど、なんせ支払期日前に資金化するから、満期日までの期間分の金利相当額の手数料を支払わなければいけないんですよね。

つまり、手形に記載されてる金額を満額受け取れない。(記載額から差し引く)

それでも、受取人はすぐにおカネが必要だから資金化するわけです。

だけどこれ、受取人側からしたら、支払いを手形で先延ばしにしている振出人に負担してほしいってのが本音ですよね。だけどそうじゃない。

ツラいな…。

こんな感じで、すぐにおカネが入ってこないってだけでも大変だし、入ってこないから割引して資金化すれば手数料がかかるし、かと言って資金に余裕があったら問題ないかというとそうでもなく、手順通りの処理でさえさまざまなコストがかかる…。

ホント受取人のメリットは、悲しいくらいにないっていうのが現状です。

でね、資料を見てたら手形を利用してる人にアンケートをとった結果が掲載されてました。そしたらなんと、受取人・振出人ともに『手形をやめたい』っていってるんです。

受取人9割、振出人7割超ですよ。

受取人がそう思うのは想像できるとしても、振出人さえ7割超がやめたいって思ってるなんてちょっと意外…というかそのままにしてるなんて、問題の先送りでは…ひぇーっ。大問題やん。

ともかく、アンケートには手形をやめない理由が書いてありました。

どうやら大きな理由は2つあるようで、1つが手形の代替手段である電子記録債権=通称でんさいを取引先が使っていないから、もう1つがでんさいを使うメリットを感じないからだそうです。

国としては、そのあたりの対応を考えていて

・産業界全体への取り組みとして進めてほしい
・決済関連の手数料の見直し
・電子決済サービスの普及促進策
・手形の利用廃止をする事業者への資金繰り支援

等(ほかにも書いてたけど)このあたりを踏まえて政策決めていくぜっ!ていってました。だから先月の記事なんですね。

そうそう。

約束手形をやめることで資金ショートが気になる方は、回避するための支援措置・現行版が報告書p20に掲載されていたので、チェックしておくといいかもしれませんね。

そんな感じで、ここまでめちゃめちゃ大ざっぱにまとめてみました。検定試験への影響はまだまだ先だろうし気にする必要はないけれど、世の中の流れと合わせて知っておくと日頃のニュースも楽しめますね!

という訳で、手形の近況まとめでした。
次回は電子記録債権・電子記録債務の解説です。

お楽しみに。

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