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法人税、住民税及び事業税

租税公課のところで、『税金には、利益に課される税金と利益に関係なく課される税金がある』というお話をしました。

今回は、利益に課される税金を見ていきます。

スライド35-2

利益に課される税金には、法人税(ほうじんぜい)、法人の住民税(じゅうみんぜい)と事業税(じぎょうぜい)があります。これらは法人税、住民税及び事業税勘定(費用)で処理します。

法人税等(ほうじんぜいとう)勘定(費用)で処理する場合もあります。

法人税、住民税及び事業税の金額を求めるには、2つの手順が必要です。

まず、収益総額から費用総額を差し引いて利益を計算します。これを税引前当期純利益(ぜいびきまえとうきじゅんりえき)とよんでいます。次に、税引前当期純利益に税率を掛けて法人税、住民税及び事業税を算出します。

スライド36

ついでにいうと、税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税を差し引いた残りを当期純利益とよんでいます。

スライド37

当期純利益は、支払わなければいけない税金も計算し終えたあとに残った利益のことなんですね。

で。
法人税等の話に戻すと、税額を計算し終えたあとは確定申告納付が待っています。これは翌期が始まって2ヶ月以内に行います。

スライド38

法人税等は儲かった分にしかかからないので、利益が出ていなければ課せられません。

ところが利益が出ている場合、税金を徴収する側の国や地方公共団体にとっては、1年に1回の納付では徴収できなくなるリスクがあり安心できません…。そこで、一定の納税額がある法人には、当期が始まって6ヶ月が過ぎたら2ヶ月以内に中間申告をして納税しなければいけないルールを設定しています。

このときの納税額は、仮払法人税等(かりばらいほうじんぜいとう)勘定(資産)で処理します。資産で処理するのは、納付しているものの決算が終わるまで税額が確定しないからです。

また、仮払法人税等勘定は法人税等の前払いにあたります。なので決算時には、法人税、住民税及び事業税勘定から仮払法人税等勘定を差し引く処理をします。

スライド39

法人税等の仕訳のタイミングは、①中間納付をしたとき ②法人税等の金額が確定したとき ③納付したとき の3つです。


①中間納付をしたとき

【例題9-4】①
20x1年11月15日に中間申告を行い、法人税、住民税及び事業税150,000円を普通預金から納付した。

法人税等の中間納付を行っているので、資産の増加=仮払法人税等を記入します。

例題9-4①1


普通預金から支払っているので、資産の減少=普通預金を記入します。

例題9-4①2


②法人税等の金額が確定したとき

【例題9-4】②
20x2年3月31日の決算において、法人税、住民税及び事業税360,000円を計上した。なお、①の中間申告にて150,000円を納付している。

法人税、住民税及び事業税が確定しているので、費用の発生=法人税、住民税及び事業税を記入します。

例題9-4②1


計上した法人税等のうち一部は中間納付しているので、資産の減少=仮払法人税等を記入します。

例題9-4②2


残額はまだ納付していないので、負債の増加=未払法人税等を記入します。

例題9-4②3


③納付したとき

【例題9-4】③
20x2年5月25日に確定申告を行い、納付すべき税金を普通預金から納付した。

未納分を納付しているので、負債の減少=未払法人税等を記入します。

例題9-4③1


普通預金から支払っているので、資産の減少=普通預金を記入します。

例題9-4③2



法人税等の処理は、当期と翌期に行うものがあるので、時系列を押さえることでより仕訳の理解が深まります。言葉を丸暗記するだけでなく、時間の流れも意識してみてくださいね。

今回はここまで。
ではまた。


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