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コロナ禍でもできる、実践的な学びの場。「プロジェクトベースドラーニング」で奥大和の魅力を探る!

奈良県で令和元年度から始まった「奥大和クリエイティブスクール」。地域の魅力を発見し、ローカルで活躍できるクリエイターを創出する学びの場です。

2年目も「ローカルデザインの流儀を学ぶ」と題し、新たな形式で、より実践的な学びの場が展開されました。約半年間、どのような取り組みが行われたのでしょうか。本スクールの概要と最終発表会の様子を紹介します。


答えにたどりつくまでのプロセスを重んじる


20名が参加してスタートを切った2年目は、講座形式の授業ではなく、奥大和というフィールドに眠る資源や資産、人材などをふまえたプロジェクトを、講師と共に進める「プロジェクトベースドラーニング」形式で開催されました。

「プロジェクトベースドラーニング」は、課題解決型学習とも呼ばれます。受動的な学びではなく、自発性や能動性を引き出し、答えにたどりつくまでのプロセスを重んじる学習理論です。

講師は令和元年度に引き続き、『iRIKAWA Style & Holdings』の入川秀人さん、『アカオニ』の小板橋基希さん、『ライゾマティクス(令和3年1月末より、アブストラクトエンジンに社名変更)』の齋藤精一さんという豪華な3名。ディレクターは『オフィスキャンプ』の坂本大祐さんです。

講師陣は、まず令和2年8月に奥大和地域を視察。講師それぞれがプロジェクトを掲げました。受講生は10月にオンライン説明会を受け、そのいずれかに加わる形で、3つのプロジェクトが動き出したのです。

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地域の本当の価値を探る、3つのプロジェクトが進行


3つのプロジェクトは、11月から次のテーマでスタートしました。ただし、当初の予定から変更もありました。新型コロナウイルスの影響で、対面で開催予定だったほとんどの回がオンライン開催に変更されたのです。

入川さんのプロジェクトは「熊野古道をWorld Heritage Trail(ワールドヘリテイジトレイル)へ」。平成16年に世界文化遺産に登録された熊野古道は、多くの人の関心を集める一方で、その本当の価値を伝えきれていない場所とも言えるため、価値を見つけ、世界に通用するコンテンツへと磨き上げることが目的です。

小板橋さんのプロジェクトは「柿の葉寿司を物語る」。当初は「集落を物語る」としていましたが、新型コロナウイルスによる開催形式の変更を受け、テーマも変更。奈良県の代表的な郷土料理である柿の葉寿司に着目し、各店舗の調査やインタビューを進め、徹底的に調べました。

齋藤さんのプロジェクトは「ちょうどよい観光コンテンツを創る」。奥大和は観光に必要なコンテクストを多くもつものの、季節により集客にばらつきがあります。常時人を惹きつけ、安定して集客できるコンテンツ、多くもなく少なくもない「ちょうどよい観光」の形を探りました。

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どれも机上で考え学ぶのではなく、現地で見聞きし感じるものこそが要になるプロジェクト。なお、各プロジェクトの内容や最終発表会での様子については別の記事にて紹介します(令和3年春以降、順次公開予定)。

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プロジェクトを貫き、ビジネスとして回す


令和3年3月19日、橿原総合庁舎にて最終発表会が開催されました。受講生、講師陣、ディレクターに加えて、本スクールのメンターである『中川政七商店』の中川政七さんも来場。受講生全員が5分ずつ、プラン発表を行いました。

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プロジェクトごとの発表と講評の後、最後に講師陣が受講生に次のようなコメントをしました。

「僕は山形に住んでいます。最近はいろいろな地域の情報が出てきて、情報過多になっている部分もあるので、情報をどう磨いていくかがこれからの活動の肝になっていくと考えています。これから“おもしろい情報”にして、つながる形に育てていってくれたらと思います」(小板橋さん)

「新型コロナウイルスの流行後、『日本独自』『日本らしさ』を再定義しないといけないと思いました。そういうところが今日再認識できました。消費されすぎず、それを後世に残すのが『ちょうどいい』だと思っています。このスクールだけでなく、これを紡いでいき、文化として根付くといいなと思いました」(齋藤さん)

「コロナ禍での活動でしたが、今こそソーシャルとビジネスの両方が成り立つのだと思っています。行政とビジネスサイドの方と受講者が一緒になって形にしていく、こういう活動は全国でもあまり見かけません。今日、(実現の)イメージがすごくできたので、僕も学びがありました」(入川さん)

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「本日発表があったような新たなビジネスの種は、前時代の成功体験によってはじきだされることがあります。それでも貫いていくことがかえって、ビジネス的に成功するはずです。ここで頭と体を使って学んだことをビジネスとして回し、奥大和地域の価値を上げていけたらいいなと思います。僕も力を発揮していきますので、よろしくお願いします」(中川さん)

「奥大和に移住して16年間住んでいて、さまざまなすばらしい文化に恵まれた土地なのに、それがうまく受け継げなくて悔しい思いをしたり、いいものが目の前でなくなったりしていくのを見てきました。今回みなさんと一緒に取り組めたことは何より嬉しくて、グッときています。ただの講座ではなくて、今後も一歩ずつ進めていきたいと思っています」(坂本さん)

令和3年度も続く「奥大和クリエイティブスクール」。プロジェクトがどのような形で進み、スクールとしても進化していくのか——。令和3年度の詳細発表をお楽しみに!

https://school.okuyamato.jp/



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