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チャトレは感情労働なのか

感情労働」という言葉をご存じでしょうか?

1970年代にアメリカで感情社会学という分野が現れ、
1983年に社会学者のアーリー・ホックシールドが感情労働(Emotional Labor)という概念を提唱しました。肉体労働や頭脳労働と並ぶ第三の労働とも呼ばれます。

管理される心 感情が商品になるとき:
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2016/04/pdf/036-039.pdf


日本の社会学者である武井はこの感情労働を,

職務として、
表情や声や態度で適正な感情を演出することを求められる仕事


と定義しています。
そして感情労働において”感情そのものが商品価値を持つ”とも説いています。
仕事をする上である程度の感情のコントロールは必要不可欠ですが、それ自体が利益を生んでいるかどうかも重要なポイントでしょう。

感情労働の代表格である販売員は
「女優/俳優になったつもりで接客しろ」
なんてよく言われますね。

会社の事務や経理など基本的に社内で完結する仕事はあまり当てはまらず、顧客のニーズに合わせて感情を表現しなくてはならない対人サービスである営業や接客、役になりきる役者などの仕事は感情労働であると言えます。


2種類の感情労働

アーリー・ホックシールドは感情労働を2種類に分けて考えました。
それは表層演技と深層演技です。

表層演技

表面的な演技。
自分自身の感情にかかわらず、顧客に求められる表情や振る舞いを表現すること。
作り笑いや嘘泣きが表層演技に当たります。

深層演技

自分自身の感情を顧客に求められる感情に変えようと努力する事。
心から誠実に対応しようとする意識。
つられ笑いや貰い泣き、などが当たらずと雖も遠からずな例だと言えるでしょう。


この2つは心の中の状態なので区別しにくいですが、
重要なポイントは
「見た目だけを変えるか?心を変えるか?」
という部分です。

例えば、
目の前に怒ったお客様がいるとします。

表層演技の場合:
相手が納得するように申し訳なさそうに対応する。
→自分の感情は無視して、求められる感情表現を行う。
 (本当は申し訳ないとは思っていないが、申し訳なさそうにする。)

深層演技の場合:
自分のミスではなかったとしても、店の一員としての責任を持ち心からお詫びする。
→自分の意識、考え方を求められる感情に合わせ感情表現を行う。
 (本当に申し訳ないと思って申し訳なさそうにする。)


感情労働、ストレス溜まりやすい問題

感情労働がストレスを溜めやすい労働であるということは言うまでもないでしょう。
感情という精神と直結した部分を酷使するわけですから。
安全に配慮しなくては肉体労働で体を壊すように、感情労働では心を壊します。

感情労働では、深層演技をより多くする人の方が
疲労の軽減。職場での対人関係、職務の質の向上
が見られます。しかし、
職場・社会と個人の同一化が過度に進行、アイデンティティの喪失
などのデメリットも上げられます。
何事もやりすぎは毒という事でしょう。

顧客の顔色をうかがい自分の感情を抑え込むような自己犠牲的な振る舞いは、燃え尽き症候群や鬱の原因にもなります。


チャトレは感情労働なのか?

大勢に見られながらオナニーすんのが「楽しいワケがないだろ」という身も蓋もない話があるので、その点で言うと感情労働であることはもう間違いないんですけどw


とはいえ、
別に楽しくもないのにニコニコする必要なくね????
というのが海外のわりと普通な考え方なわけですよ。
(商談などビジネスシーンでは国によって意見が分かれるが)

日本人の笑顔って結構
「どうしたらいいか分かんないから、とりあえず笑って誤魔化しとけ!
ってパターンが多いように感じます。
これが海外の人から見ると意味不明。

なんで笑ってんの?🤷‍♂️
って思われる。

楽しい時、悲しい時、怒ってる時、メリハリがない。
常にヘラヘラ笑ってる。。。

何が言いたいかと言うと

多くのチャトレの感情労働は”単なる我慢である”


感情労働としての労働を全うしていない

嬉しい場面では思いっきり嬉しそうにする。
悲しい場面では思いっきり悲しそうにする。
怒る場面では思いっきり怒る。

そういった、

感情的に魅せる感情労働

が必要なのではないだろうか。

多くの日本人がやっている
笑って誤魔化す。
嫌でも笑顔。

これは見てる人からしたら馬鹿っぽく見えている。

表情をコロコロ変えて、
然るべき顔をすることが真に求められている感情じゃなかろうか。

我慢するだけの感情労働はコンビニ店員に任せておけ。


私はこれを
抑圧の感情労働
解放の感情労働

と勝手に使い分けている。

例えばサラリーマン。
上司の機嫌が悪いので心配そうにお茶を出す。これは抑圧の感情労働。

例えば女優。
悲しいシーンで号泣する。これは解放の感情労働。


そういう意識分けが必要なんじゃないかなと考えております。


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