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家電は2月に買え

「2月は家電量販店にとって健康診断の前日のようなものだ」
3月決算の家電量販店及びメーカーは2月に売れないと年間売上が悪くなるのだ。
これは、私たちが健康診断で直前に良い結果をだそうとするのと同じなのだ。

私のようなおっさんは、お腹周りが85センチを超えるとメタボになってしまう。お腹周りは健康診断の前日にあわててダイエットを始めても間に合わない。家電も直前の3月になって、あれこれやっても間に合わない。1か月前の2月というのはそんな重要な月なのだ。

「今年は何を買おうか」2月になると我が家では家電会議が始まる。
「電子レンジを回すときにガタガタ音が鳴り出だしたのでそろそろ替え時かな」
「ヘルシオスチームオーブンやホットクックを使うと早く美味しく食事ができるらしい」
「Wifiルーターが古くなったので、インターネットが時々切れる」
「プリンターの映りが悪いから替え時かな」
私の「iPadかMacのProが欲しいなー」という要望は、なかなか決済されない。「Netflixを寝ながら見れるよ」と言っても、全員で使う生活必需の家電が優先度の上位にくるのだ。

もちろん2月以外にも安い時期はある。それは家電の新商品がでる時期だ。新商品がでると、古い型版の機種は処分になる。お客様も新しい型を欲しいとの要望が強い。それほど機能が上がってない家電の旧型番は、お買い得だ。ただ、それぞれのカテゴリーによって新商品が出る時期がバラバラなのだ。例えば5~6月にパソコン、8~9月に縦型洗濯機、9~10月にドラム式洗濯機、冷蔵庫、そして9~10月に2回目のパソコンが来る。1商品だけを買い替えようというのであれば、新商品がでる時期を狙うこともできるが、いくつまとめて更新するのには非効率なのだ。よって我が家では2月に集中して家電を更新することにしている。

家電のお得な時期は、購入したい時期と合致しない。4月は新入学や新入社で新生活が始まる。7月と10月は転勤シーズンで引っ越す。12月はボーナス支給月なので1年で1番お金がある。家電を買うのはこのような時期なのだが、価格がお得な時期ではない。年末セールも他の時期にくらべ安いのだが、健康診断前日のような切迫感はまだないのだ。

さて来年も2月になったら年に1度の家電購買イベントがスタートする。ただ、何もしなくてお得に買えるわけではない。戦略がいるのだ。

単品より、まとめ買いの方が値引きを引き出せる。これはペットボトルを買うのと似ている。500mLのペットボトルを買うより2Lのほうが安いことがある。家電量販店にとっても、大量に購入する客はありがたい。なぜなら販売量が増えれば、メーカーへの価格交渉力が上がるからだ。1年間分まとめて交渉できるようにするため、我が家で2月に購入を集中する理由の1つでもある。

希望値引額の達成は、事前調査でほぼ決まる。希望小売価格が無くなり、オープン価格が中心の家電量販店にとっては、他の販売店がいくらで販売しているのかという価格比較が値引きの指標になる。安く販売してくれそうな店を数店巡り、販売価格をチェックする。

「お値引き価格は店員にお尋ねください」と値札に書いてある店が多い。尋ねてみると「上司に聞いてきます」といって一旦引っ込んで、値下げ価格を持ってくる。私達はこれを第1声価格と呼んでいる。それ以上の値引き価格を交渉してみるが、なかなか下がらない。値下げの価格は商品毎に決まっているようだ。たまに、「今日のこの場で決めてもらえればこの価格を出します。ただしこの場限りです」などと即決を要求してくることがある。その店のこの場限りの価格を聞いたら、次の店にぶつけることにしている。即決の誘惑には負けずに複数店舗の価格調査を続けることにしている。

これぞという店の価格交渉が終わると、次はポイントの交渉に入る。付与ポイントを上げる交渉だ。これは価格の値引き後でも引き出すことができる。値引きとポイント付与は別で管理しているようだ。また値引き交渉で難航してもポイント付与ならできるという価格を取り付けることもある。

ポイントの交渉が終わると、次はサービス品の交渉に入る。有料の交換パーツをサービスで出してもらうように交渉するのだ。この交渉の終盤になるとアルバイトやパートの人では難しくなってくる。直接リーダーや部門長との交渉に入るのが早い。

ここまで交渉したら、ようやく決済が終わり今年の購入イベントが終了する。安くなった価格の一部で家族の食事を楽しんで帰る。購入する家電は毎年違うが、1年に1度の2月のイベントとして過去と今年の戦果を比較して、次の2月に備えるのだ。

 購入イベントの2月を外すと交渉しづらい月になる。ただ欲しい家電があれば、試しに今月どこまで安くなるか交渉してみてはいかがだろうか。

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