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HOR期最終期Tier1マッチ概説

はじめに


はじめまして、もとです。シャドバの1競技プレイヤーです。
院試により直近の競技環境をお休みしており、HORアディ後より再開したところ、これがあまりにも面白い神環境でした。この環境の面白さを少しでも皆さんに知っていただきたく、こうして筆をとってます。この記事では今環境のTier1のデッキ同士のマッチアップの相性や重要なポイントについて解説していきたいと思います。明日にはRAGEのGFがあります。この記事により、GFの観戦がより面白いものになると幸いです。

今期Tier1とは

今期のTier1は、デッキパワーや実績等を鑑みて以下の3デッキと考える。

  1. マガチヨエルフ

  2. 財宝ロイヤル

  3. 結晶ビショップ

Tier1.5あたりに回復ビショップやAFネメシス、進化ネメシス等がいる。(特に回復ビショップは結晶を押し退けて使う価値のある安定性と相性のつき方をしている。)
今記事では、Tier1の3デッキに絞って、各デッキの簡単な解説と、3デッキ同士のマッチアップの相性や試合のターニングポイントとなる点について解説していく。

Tier1概説

ここでは、各デッキのサンプルリストとデッキの特徴を解説していく。

マガチヨエルフ


RSPT本戦 だーよね/YGより

アディショナルによるメイとリリィの追加により環境に一定数存在していたが、RSPT予選にて登場したいわゆる”だーよねリスト“の完成度の高さにより爆発的な流行を見せたデッキ。その後、結晶対面に不利であることから流行が下火になったが、RSPT本戦にて水面下で開拓されていた新プレイが発表され、結晶対面にむしろ微有利である可能性が発覚。再びTier1に舞い戻った。

基本的には4t-7tの4ターンに4プレイを達成し、4回目の7ターン目に大打点を出すデッキ。各サーチカードによる再現性、多数ある除去札による妨害を乗り越える性能の高さ、リリィやアスシオ、カバンによる受け性能がデッキパワーを担う要因になっている。

財宝ロイヤル


RSPT本戦 Rumoi/AXIZより

アディショナルによるロジャーの追加で環境に返ってきたデッキ。実装当初は構築が揺れ動いていたが、ペンギンモンクの3投による財宝枚数の確保、トニーのサーチによるデッキ安定化、大参謀1-2枚採用による受けプランの開拓、ラブロマによる攻守に渡った器用なプレイ等が評価され、構築が定まっていった。

基本的にはロジャーに進化を切り、pp回復とバーンダメージを絡めながら攻めていく。先攻は序盤に並べる面から打点が出ることを活かして、7ppバルバロス砲手の17点のラインに押し込むことを狙う。後攻は進化ターンが早く、財宝7達成が早々に達成できることを生かして打点を溜め込む。理想は6ターン目開始時に財宝7達成をして旗を拾い、7ターン目に大打点を出して勝利する。

ロジャーの圧倒的性能だけではなく、小剣による面制圧能力の高さ、投入、斥候、シーフによるドローの再現性、リララ大参謀による受け性能、旗によるゲーム終盤の特大なバーン打点など、様々な要素が財宝ロイヤルのデッキパワーを支えてる。

結晶ビショプ


RSPT本戦 だーよね/YGより

アディ前環境の覇者であり、アディ後も最強であり続けた長寿デッキ。その構築の洗練度は今環境でも群を抜いており、アディ前に構築が定まってから、2,3ヵ月間ほぼ同じ構築で環境を駆け抜けていった。

進化前ターンは結晶カードを多くプレイし、結晶5回の達成を目指す。結晶5回達成後は、バリューの上がったフォロワー群を活かし、打点や回復、除去をこなしていく。7ターン目にジャンヌを用いて大量の疾走守護を進化させることで、大打点と多面大型守護の蓋の合わせ技で勝利する。

結晶をプレイする道中でスカルフェインが挟まると、処理、回復、打点のすべての性能が1段階上昇してTierGodのデッキへと変貌する。特に、7tより前のプラムの試験場フェインによる2コス10点回復や、7tのジャンヌフェインダイマスウィンギーのシュライン下26点OTKなどは、ほとんどのデッキで対応不可能な理不尽ムーブである。

フェインを引いた時の上振れはもちろんのこと、早期の疾走よる押し付けや、アズライトとプラムによる面ロック、7tのジャンヌなど幅広いプランニングが存在し、それらをうまく組み合わせることで高い出力を出すことができるデッキといえよう。

マッチアップ概説

ここからは、筆者の各対面ごとのマッチアップの認識と重要な点について述べていく。

マガチヨvs財宝

マガチヨ微有利。
マガチヨ側が構えるOTKに対して財宝側がどう対処していくかが問われるマッチアップ。

財宝側は序盤は面を広げていき、マガチヨ側に処理を要求する。マガチヨ側がいかに自分のコンボパーツを揃えながら盤面を処理できるかが問われる。

財宝側が先攻の時は、7tのバルバロス砲手による17点によるリーサルを狙う。マガチヨ側はこれを避けるために、ライフを高い水準で保つことが非常に重要である。

財宝が後攻、もしくは先攻でもマガチヨがライフを高く保っていて7tに勝てそうにないとき、財宝側がいかに1ターンの猶予をもらうかの対応が始まる。マガチヨ側は7ppでは、守護3面や守護2面+バリアを突破する術が基本存在しない。ラブロマンスレディから出てくるロミオにリララを合わせることでターンの猶予をもらうプレイは頻出。

この1ターンの猶予をもらう際にただ守護やバリアを貼るだけだと、マガチヨ側に悠々と盤面処理だけで過ごされてしまい、結局窮地に陥ってしまう。守護やバリアを貼りながら海賊旗を集めて、OTK級のダメ―ジを出す準備をすることが財宝側に要求される。後攻6tに1ppバルバロス+リララメタトロン等で蓋をして7tの特大打点で貫通するプレイはとても重要。

旗を集めながらバリアを貼るプレイがしたい都合上、財宝側は後6、先7の最初に財宝7達成することが非常に重要である。(遅れても、2コスから拾った財宝を融合して7達成くらいでないとスピード的に間に合っていない。)逆に、マガチヨ側は財宝7達成を遅らせれば遅らせるほど財宝側の延命が大変になって勝ちが近づく、刃の盗賊が交戦できるかどうか、副船長を高いバリューで使わせないために面を空で返せるかどうかなどは、このマッチアップにおいて重要な論点である。

マガチヨvs結晶

後攻有利ながら、総合するとマガチヨ側に傾く。
ただし、マガチヨ側のプレイがとても難解で、間違えた瞬間に結晶側が勝つ。

このマッチアップは難解すぎるので、一度立ち止まってプレイの開拓の歴史を述べていく。

最初期は、マガチヨ結晶は結晶有利マッチだと考えられていた。これはマガチヨ側が7キルを構えた時に、結晶側が継続的に多面守護を貼りながら疾走で打点を出すことができるためである。マガチヨ側は6tから無限に連打される結晶の守護疾走軍団に回復が追い付かず、いつか大打点で死んでしまうのであった。

しかし、マガチヨ側が4tからの4プレイをあきらめることによって結晶に勝つことが可能になる。結晶側が作った疾走守護に対してリリィによるロックをかけて、無限にターンを伸ばしていく。リリィがかかり続ける限り、結晶側の攻撃力は下がる一方なので、マガチヨ側の回復量が結晶の打点量に追い付くことができる。こうして9,10tまでゲームを伸ばし、無限のppによって多面守護を突破しリーサルを取るというものである。

これに対し、結晶側は疾走を持たないフォロワーを横に並べるという回答を得る。エメラルドメイデンや狼の本体置きをすることでリリィの効果をすり抜ける。これらが処理されずに帰ってくれば、疾走フォロワーよりも大きな打点が見込める。

マガチヨ側はこうして置かれる非疾走フォロワーに対し、リリィをかけ続けながら処理する必要がある。(リリィをかけ損ねた瞬間にジャンヌを絡めた特大打点がでて即死のため。)リリィをかけ続けながら八獄パーツを集めきることができると、結晶の守護を乗り越えながら大打点がでて勝利することが可能になる。

この駆け引きの歴史を踏まえてマガチヨ結晶の概観をまとめる。


結晶側は疾走でないフォロワーを横に並べ、ジャンヌによる一斉進化の圧をかけていく。ここで面に疾走のフォロワーが多くなると、リリィによるロックを食らって即負けにつながる。疾走は多くても1,2面にとどめておくのが吉。

結晶側が広げてくる面に対し、マガチヨ側はEPをできるだけ消費せずに進行することが要求される。終盤にリリィに進化を切って変身させることによる全面ロック進行を取りたいため、中盤にEPが枯渇すると窮地に陥ってしまう。

マガチヨ側のEPを枯渇しないような進行の取りやすさが先手と後手で段違いなため、このマッチは後手マッチとなる。結晶側が後手を引くとEPを一つまで顔進化に振る権利があるため、なおさらリーダーにダメージが入りマガチヨ側の回復が追い付かなくなるのも後手有利を加速させている。

マガチヨ側が結晶の中盤のフォロワー並べを乗り切ると、今度は結晶側が対応するターンになる。9,10ppになれば、マガチヨ側は2,3面の守護など用意に貫通してくる。マガチヨ側のヒューマンエラーを誘うため、最終盤は結晶側ができるだけサイズの大きい4面守護で返すのが理想である。このときに、ジャンヌを用いているとダメージカットが付与されてメイを防ぐため、より効果的である。

リーサルターンになるとマガチヨ側がいかにミスらないかの試合になる。看守から引いてくるカードによるリーサルの判断や、看守から引いてくるカードの確率分布の変動などを把握して勝率が最大になる択を取る必要がある。また、操作量が多いため、立ち止まる時間が長いと一瞬で時間切れとなってしまう。マガチヨ側のこのマッチアップ一番の腕のみせどころとなるだろう。

財宝vs結晶

先攻マッチながら、両者に工夫の余地が多い。

結晶というデッキの先攻の強さが全面にでるマッチアップ。先攻7tのジャンヌによる多面守護を財宝側が乗り越えながらリーサルを取るのがとても難しい。
逆に、財宝が先7にバルバロスがらみの打点を入れながらライフを20に保つと、結晶側がジャンヌを絡めても20点を出し切ることが難しく、返しの先8に砲手で守護を無視しながらリーサルを取ることができる。

もちろん、財宝側が後手を引いても抗う術はある。結晶側が神鳥やアストルフォが欠損すると序盤の面処理がおろそかになってしまう。そこにメタトロン副船長やメタトロン大参謀を挟むことで大きなボードアドバンテージを取り、そこから破壊するプレイが存在する。他にも、リララによって1ターンをもらいながら旗をかき集め、砲手を絡めた特大打点で勝つプランもある。

結晶側も後手から捲るプランは多数存在する。後6にダイマス等を絡めた強い盤面を作ることによって先7に疾走が走ることを防ぎ、先8にリーサルを取る要求値をあげるプレイは頻出である。また、このマッチも早期にスカルフェインを引いてしまえば、とれるプランが大幅に広くなるだろう。財宝側に体力3以上のカードが少ないため、神鳥フェインは容易にすべてのボードを処理する。また、マムの試験場にフェインを打つことで2ターン連続の処理も可能になる。フェインのコストさえ下げてしまえば面処理と回復が同時にできるようになり、大幅にライフレースで有利を取れることだろう。

簡潔にまとめるならば、財宝側の壊しプレイに結晶側がどう付き合うか、結晶側が並べる守護盤面に対して財宝側がどのようにしてリーダーにダメージを通していくかが重要な論点となる試合だろう。

マガチヨミラー

持ち物検査マッチ。すべて持てば先攻が勝つ。

リリィのリーダー付与効果の上から20点を出すことを目標に手を進めていく。襲来の進行度が勝敗に非常に直結する。

マガチヨ、看守、看守、若芽、若芽は基礎点が24点あり、これはリリィ下では14点まで減ってしまう。これを、x=3襲来とx=4襲来を用いて21点まで引き上げるのが基本進行。
看守が1枚しかおらず、若芽×3の時は、基礎点が11点なので、x=4とx=5か、x=2,x=3,x=4の3枚打ちを狙っていく。

リリィが欠損した瞬間に即負けなので、リリィをちゃんと手元に残し続ける。次のターンにリーサルが取れるかどうかの判断が単純になりがちなので、とれる確信が取れる時はリリィを捨てる判断も大事。

ボードから打点を出すとリーサルの基準が下がるので、盤面の駆け引きも侮れない。しかし、メイを使えば面が除去できるパターンがほとんどなため、実は進化ターン前からの面並べ→後4顔進化くらいしかできることがないことも多い。後半にリリィ連打による回復もあるので、2,3点詰めただけだとすぐに回復が追い付いてしまう点には要注意。

襲来を素引きする枚数が勝敗に直結するため、ドローカード、特にアスシオを強く使わせない意識は強く持つ。EPを揃えながら面を処理する進行をとると相手のドローが鈍くなって勝率が上がる。

財宝ミラー

スーパーびっくり先攻マッチ。ただし、ロジャーの欠損や財宝カウントのもたつき等で後攻が捲ることも可能。

普通のプレイを先手後手ともにすると、先攻側がライフアドバンテージを得る。このライフ差を後手が埋めることができず、先7にバルバロスがらみの打点でリーサルとなるのが頻出パターン。この展開を以下に回避するかが後手の課題となる。

1つは後6にリララバリアを貼って後7を気合でもらうパターン。財宝が先7でバリアを突破しなが20点をたたき出すことはほぼ不可能に等しい。互いにロジャー付与下であれば、先攻のライフもある程度削れているはずなので、後7にバルバロスがらみの打点をお返ししてリーサルを取ることができる。

先手はこのパターンを取られないようにリララバリア程度では防げないレベルで相手のライフを削るか、自分もリララを絡めた回復をして先8をもらうかどっちかの進行を選ぶ。ターンを引き延ばすプランを選択すれば、先に20点が出るのはppが多い先手なのか、手札が伸びやすい後手なのかといった駆け引きが始まることが予想されるだろう。

もう1つはシーフ潜伏等を活かして後6に打点を出して勝ってしまうパターン。ロジャー付与下での6ppでは、14点程度なら簡単にでてしまう。(砲手+旗×3や、砲手+旗×2+ラブロマのジュリエット顔進化等)これにシーフ潜伏等を合わせることで大きな打点を出して先攻よりも先に勝ってしまうことが可能になる。先攻側はこのプランに嵌まらないように、盃等を用いてライフ水準を高めに保つか、砲手や旗を使って潜伏を取ってしまうといった方法があげられる。後手はこのプランを匂わせながら、受けに回って1つ目のプランで勝つことも可能であり、このあたりの駆け引きは各プレイヤーの練度がでるとても面白いマッチになるだろう。

中盤の駆け引きで1つ補足をすると、以下に相手の財宝7達成を遅らせるかは、とても重要な観点となる。相手の刃の盗賊の交戦回数を極限まで減らす、盤面を空にすることで小剣や副船長を空ぶらせる、キャノンクルー、マリンレイダーを残すことでラストワードを発動させないといったテクニックはプロツアーでも頻出だった。これらのテクニックを組み込んで上記の2プランを遂行する駆け引きが財宝ミラーの醍醐味といえるだろう

結晶ミラー

先攻マッチだが、後手にも希望はある。先攻フェイン持ちは無理かも。

大まかな相性認識は
先攻フェイン>>>>>>>>後攻フェイン>>先攻>>>>>>>>後攻
となる。

7tに先にジャンヌが到着する以上、先攻が圧倒的有利。謎のダメージバリアによって、後7のジャンヌが無力化しやすいのが先攻の優位性に拍車をかけている。

じゃあ後攻はどうするのかというと、後4や後5からライフを詰めて、先にライフアドバンテージを得ることを狙う。シュラインを設置しながらの後4サファダイや、後5のサファダイマスウィンギー等を用いてとにかくライフを詰める。ミュースや狼の結晶が割れたものがくっつくとなおよい。
(余談だが、顔を詰めることは結晶5達成、果てはフェインの完成よりも優先されることがある。それほどこのマッチは序盤にライフを詰めないと無理。)

こうして面を作ると相手が処理漏れをしてそのまま殴り続けて勝ちになるパターンが存在する。また、もし相手が処理に成功しても、後攻側のライフが20を保てていて、先7のジャンヌで死なないパターンが多く存在する。返しの後7にジャンヌとダイマスを絡めて守護突破しながらリーサルが取れると最高。

先攻は後攻の暴れプランをどのようにいなすかに焦点があたる。例えば、ミュースを早期に設置して先に先攻側がライフを詰めたり、相手が暴れたくなるターンに狼が割れるようにして、ボードを緩和したりといったことがあげられる。後手は暴れが失敗すると、結晶カウントやフェインカウントが満足に進行しておらず手がもたつくので、その隙をついて一気に攻め立てよう。

実は、お互いにフェインが絡まないときにとてつもないロングゲームが発生するパターンが極稀に存在する。相手の作る面をアズライト等で回復しながら守護をたててロックすることで、ゲームのターンをどんどん引き延ばすことが可能になる。こうなると先後の優位性などあってないようなものなので、純粋な盤面のねじりあいとなる。この駆け引きはアドリブでのシャドバ力が非常に問われるので、ぜひ自身で一回体験してみてほしい。

終わりに

今期の筆者の競技シーンは終わってしまったので、この収まらないモチベをどう消化するか迷い、こうして記事を書く次第となりました。
これを読んでくれた皆さんがこの環境を面白いと感じ、最後の数日でもランクマッチやBo3に向かってくれたら、筆者としてはこの上ない喜びです。
この記事に対する感想、意見、質問等ありましたら、もと(@okuhumi0923)にご連絡ください。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

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