見出し画像

vol.14 自分を全力で生きる、今。

何度も心がときめく芸術的な世界

”これって恋なのかもしれない”

さっき撮ったばかりの写真を眺めては食べたときのあの味を脳内で思い出し、自然と顔の筋肉が緩みにやけてしまう帰り道。

北品川駅が最寄りとなる 甘味処いちょうの木

もちろん品川駅からも歩いていけるし、晴れているときはお散歩がてら品川駅から歩いても行く。
初めて行ったのはもうかれこれ5年以上は前の話で、このご時世もあり最近は定期的には行けてないんけど時間が合えば必ずと言っても過言ではないほど足を運ぶ。

そう、
この数年間ずっとかき氷の世界に翻弄され続けている

昨今、かき氷は夏だけではなく通年して楽しめ味わえることでマニア心をくすぐる食べものとしてもハマる人たちが増え、新たなお店も年々増えたくさんの人の心をかき氷が掴んでいるとかき氷に全く興味関心がない人でも薄々気づいている、はず。真冬にも関わらず長蛇の列をなす超人気店というものも存在する。

そもそも、わたしがかき氷に興味を持ったのはつい最近のことで、美容師の頃に先輩が毎年夏になると長瀞にある阿左美冷蔵へ行き、その土産話を聞きすぎたことで影響を受け興味を持ち始め、翌年には地元の友達とライン下りをした後に阿左美冷蔵でかき氷を食べる、という恒例行事ができ気が付いたときにはライン下りせずともかき氷を食べることだけを目当てに長瀞まで車を走らせていた。
ただ、当時はまだかき氷は“夏の風物詩的な食べ物”でしかなく上京してからこのかき氷の世界(主に秋~冬)に魅了された。

これはあくまでも完全に個人的な見解なんだけど、夏場はやっぱり普段からかき氷を食べていない人でも夏のうなだれるような暑さから少しでも開放されたい、涼みたい、という思いでお祭りの屋台でかき氷を求めたり、通の人たちがかき氷を提供している専門店に言ったり、今まで屋台氷でかき氷に出会っていた人たちがお店の氷に出会うのもきっとこの夏という季節が多いと思っている。
夏場はかき氷屋さんとしても提供数は年間でも一番多く馴染みのある定番の氷が多いという勝手なイメージがあるし、一番苦手な夏はとくに陽の光を浴びたくないし炎天下の元、某有名夢の国のアトラクションのような2時間を超えるえげつない待ち時間がわたしにはどうしても耐えられない。

かき氷一杯を求めて2時間もですよ?
信じられますか?


信じられません。


さすがにわたしは夏場は混雑大前提なのでかき氷お休み期。なので逆にそれぞれのお店が提供している定番の氷や夏季しか営業をしていないお店のかき氷は完全未着手。わたしが氷活をはじめる秋から冬頃にかけて食べ求める蜜がもったり系の和栗、さつまいも、南瓜のお芋三種を拾いに行き、新年の初氷や桜が芽吹く季節を迎え氷納めをし秋まで冬眠する。

食べ納め氷は、厨くろぎの桜子と浅草浪花家のさくらのほわいと、この2種類は絶対的に外せない桜氷シリーズで昨年は食べ損ねてしまいその時の絶望感はいまだに忘れられない。秋の氷活始動氷はこれといってお店は決まっていないんだけど、やっぱり氷舎mamatokoのおっきなサイズの和栗の渋皮煮がてっぺんにのってる和栗みるくは何度でも心がときめいてしまう。

しれっと書いてしまったんだけど、蜜にも様々な種類がある。さらっとした液状の蜜だったり果肉たっぷりなジューシーな蜜。その中でも好みなのが”もったり系の蜜”で氷の上にのせても液状の蜜のように全体に染み渡ることがなく見た目の存在感もあり、クリームのようなぽったりさもあり個人的に満足度が高い。
具体的な例をあげると、浅草浪花家の豆腐クリームやレモンカード、厨くろぎの黒蜜クリームは毎度トッピングで追加をし、氷と食べるのはもちろんそれだけでも食べてしまう。

太陽がギラギラに照りつける夏場の屋台で楽しめる氷はその雰囲気に似合っていて“風物詩”とした捉え方で好き。氷のガリガリ感だったり、頭をキーンと刺激する冷たさが良いけれど、お店で食べる氷達は天然氷として作られているのでスプーンいっぱいに氷をすくい一口食べてもキーンとしない。本当にこの魔法は一度全人類に体験をして欲しいと思ってしまう。
目白にある“志むら”という、老舗の和菓子屋さんが作るかき氷は絶壁の氷で注目されているが蜜となる餡はもちろん氷が2種類あり天然氷が選べるので屋台でのかき氷しか食べたことがない人は是非、食べ比べを。

氷を食べ進めると中には予想しなかった仕掛け(食感や風味)を楽めたり、底に向かうとまた違う味わいで最後のひとすくいまでわくわくした楽しさや感動を与えてくれる、そんな夢のような氷を創る甘味処いちょうの木の店主・智子さん。いちょうの木を知れた経緯は、当時中野新橋にお店があった氷舎mamatokoの店主・麻子さんのお店によく通っていた頃、麻子さんに「いちょうの木の氷たぶん好きだと思う」とかき氷の話の中でお店を教えてもらったことがきっかけで、そこからは唯一通年して時間ができたら通うようになった。

智子さんが作る氷の魅力は本当に語り切れない。絵画の中から飛び出してきたかのような美しさ。そして、他のお店ではなかなか味わえないお酒と上手く組み合わせた絶妙なバランスの氷。目の前にそっと置かれた作品という名の氷。ひと口食べ、デコレートされた果物やアクセントの食材、季節のクリームがほわっと口の中いっぱいに広がり中盤では異なる果物やシロップを舌で感じ。最後にはすべてを包み込むリキュールやコンポート…一杯で様々な味を贅沢に感じることができるまさに魔法の氷。いろんな味が口の中いっぱいに広がるのにも関わらず、それぞれが打ち消すこともなく底にいくにつれて最大のフィナーレを楽しめ満足感と多幸感が広がる。

たった一杯でこんなにも贅沢を…

初めて食べたときの感動がいまだに忘れられないし、今でも食べ終わる度に同じような気持ちが蘇る。見た目だけではなく移り変わる季節を楽しめるかき氷。この世界の魅力はまだまだ語りきれないし話しきれない。紹介したいお気に入りのお店もかき氷もたくさんある。

新たなお店もどんどん登場しているけれど
やっぱり甘味処いちょうの木の魔法はとけることない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?