見出し画像

ケガをしにくいカラダ作りのための栄養学

はじめまして、栄養学についてのメルマガを担当させていただく藤田英継です。
東京・表参道でevergreenというパーソナルトレーニングジムを運営しながら、トレーニングや栄養についての講座開発、セミナー、トレーナー育成やアスリートの指導等をしています。
今回、奥川先生からのご依頼で、このメルマガで栄養学について読者の皆様にお伝えしていきます。

●はじめに
皆さんがこのメルマガを読んで頂く上で、前提として覚えておいて頂きたいことはどんなに適切な栄養摂取をしても、それだけで「魔法のような効果はない!」ということです。
これはトレーナーや治療家の方ならご理解いただけると思いますが、どんな人でも、こういう食事さえすれば望んだ結果が出る!というような魔法はありません。
そして、皆様が治療や指導の対象とする栄養だけですべてが解決できるわけではありません。

もし、食事や栄養を見直すことで魔法のように感じられるような効果があったとしたら、それはその方が食事・栄養以外の部分でしっかりと結果を出すための準備をしていて、それに足りないピースであった「適切な栄養」がプラスされたというだけのことです。
その前提に立って、「最終的には、正解は自分で作り上げる」ためのヒントの一つとして、このメルマガの内容を参考にして頂ければとても嬉しいです。

●このメルマガでお伝えしていくこと
メルマガを書き始める前に、皆さんがスポーツ生理学、スポーツ医学に関してどれくらい学んでいて、どれくらい知識をお持ちなのかということをアンケート形式で何人かの方に伺いました。
何故かというと、栄養学を実践的な視点で理解するには医学・生理学的な最低限の知識が不可欠だからです。
日常生活やトレーニング、あるいは試合中に、又またトレーニングや試合の前後にカラダの中で何が起きているか、といった生理学的なことをきちんと理解していないと、カラダに対して栄養がどう貢献するのかをイメージし、血肉とすることができません。
読者の方は治療家の方が多いようですので、怪我の治療やリハビリについては私よりもずっと知識をお持ちだと思いますが、栄養学自体だけでなく、トレーニングそのものや、トレーニングに対するカラダの適応をはじめとしたスポーツ生理学の部分に関しては、知識に不安があるという方も少なからずおられるようです。
そこで、このメルマガではいきなり食事や栄養素の話をするよりも、栄養学を知るための前提として生理学の話を交えながら、皆様の気になる栄養の話をお伝えしていこうと思います。


●ケガをしにくいカラダ作りのための栄養学
読者の方から知りたいことのひとつとして上がったのが「ケガをしにくいカラダ作りのための栄養学」でした。

治療家の方はケガをしたアスリートの治療、またケガの予防や回復のためのケアをしていることが多いので、当然かもしれませんね。

スポーツの現場でケガをしないために、栄養を通して直接的にアスリートに貢献できることは、大まかに「カラダ作り」と「コンディション作り」の2つです。

「カラダ作り」とは、車に例えるとエンジンやタイヤ、シャフト、シャーシ、ボディ…といった「車体」を強くすること、「コンディション作り」とは、その「車体」の状態を整えたりガソリンを補給することを通して、より速く、より安全に、より快適に運転ができるようにしておくことですね。

●なぜケガが起きるのか?
スポーツにおいてなぜケガをするのかは、様々な原因があり、競技ごとにも違いがありますが、格闘技などの相手にダメージを与えることが目的となる競技を除くと、「相手選手などへの接触によるケガ」「相手選手などへの接触によらない突発的な(アクシデントによる)ケガ」「トレーニングや試合におけるオーバーユース(使いすぎ)によるケガ」「正しくない(安全でない)体の使い方をしてしまったために起こるケガ」の4つに分類されるといえます。

恥ずかしながら私自身も、先日トレーニング中、終盤に筋が硬くなっている状態で急な方向転換をしたときにアキレス腱を断裂してしまい、この記事を書いている今現在、下腿がギプスに覆われております…
これは「接触などによらない突発的なケガ」に分類されます。

4つ目については、技術的な要因や、自分の持つ限界を超えて挑戦した結果などによるものと考え、それ以外の3つに対して検討していきます。

●「ケガをしないカラダ」のために栄養でできること
これら3つの要因でケガをしないためには、栄養でサポートできる範囲で、ふたつの方向性が考えられます。
まず「日々のトレーニングで強いカラダを強くすること」、もうひとつは「心身共に良いコンディションで日々のトレーニングや試合に臨むこと」です。

●強いカラダを作る栄養学
強いカラダというと、どのようなイメージを持つでしょうか?
ひとつは「頑丈」で、衝撃等に強く、まさしく「ケガをしにくい」カラダが考えられます。
また、同じ質や量の動作をしようとしても、筋力が強い人の方が、相対的な筋力(その人が持っている最大筋力に対してのパーセンテージ)が小さくて済み、そのために疲労しにくく、集中力やパフォーマンスの低下に伴うケガに繋がりにくいとも言えます。
もちろん、スポーツそれぞれの持つ競技特性によって、パフォーマンスを最大化するためにはどれくらいの筋肉量、筋力が適切なのかは変わってくると思います。
同じように走るスピードが求められる競技でも、100m走とラグビーでは接触の有無によって、またラグビーではポジションごとに求められる能力によって理想的な体型(筋肉量)は違ってきますし、ケガの種類や頻度も違ってきますから、筋肉が大きければ大きいほど、どの競技でも有利であるというわけではありません。
ただし、大前提として筋力がある選手とない選手では、また日常動作においても筋力がある人とない人では、同じだけのパフォーマンス(走る速さ、持ちあげられる重さ等)を発揮するのであればケガをするリスクは一般的には筋力の高い人の方が低くなると言えます。

そこでまず、「筋力を高めるための栄養学(と、筋肥大のメカニズムなどの生理学)」についてお伝えしていこうと思います。

ここから先は

2,069字

¥ 150

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?