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Ghost制作ノート

OLD Jr.「HAPPY SAD」から、今回は2曲目に収録している「Ghost」の話。


別れがつらいのは、単純にその人の不在ではなく、触れられない場所にその人がいるからつらいのだと思う。「いない」からつらいんじゃなくて「いる」からつらい。

目の前にいないのに、はっきりと自分の中に存在する人。その人の知らない記憶や時間が、自分の中にどんどん増えていくこと。その人が、僕の知ることのない瞬間を生きていること。そんな苦痛に慣れていくしかない。

「さよならを言うのは、わずかのあいだ死ぬことだ」(『長いお別れ』)

大好きなレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』のマーローのセリフ。
まさに、そう思う。

君にさえ見えるなら べつに死んでてもかまわない

という歌詞で心配されたり、ぎょっとされたけど、どちらかというと、、、
君に触れられない。見えない。そんな死後のような世界で生きていかなければいけない!と強く思っていた。そんな時に書いた曲です。

PANORAMA FAMILY

この曲はPANORAMA FAMILYことゴメスくんにアレンジをお願いした。ゴメスくんが自身のnoteで制作記を書いてくれてるので、彼がどうやってアレンジしていったかは是非そちらを読んでみてください!


ゴメスくんはラッパーでトラックメーカとしてはBASIさんにトラック提供していたり、最近はTOMMY HONDAという別名義でも活動していたり、ここ数年は写真家としても個展を開いたりするほど活躍している。ヘッダーにおいているのはPAMORAMA FAMILYが撮ってくれた僕の写真。

楽器もギター、ベース、ドラムも演奏できて、あとスケーターでもある。
とにかく、肩書きだけ聞くとめちゃくちゃ器用なのに、僕の印象はなんだか不器用な人で、だからずっと仲良くできてる気がする。

ゴメスくんとは過去にもPANORAMA FAMILYのアルバムでfeatで歌ったり、PANORAMA FAMILYが作詞作曲トラックも担当して、僕が歌うという形で4曲入りの『STAR ROMANCE E.P.』という作品も作っている。これはフリーダウンロードなので是非聞いてみてください。

他にも、何かとコラボはしていて毎回評判が良かった。
特にアルバムを作り始めた当時は、BENNY SINGS とかMAYER HAWTHORNEといった、ヒップホップやビートメーカーの香りがするSSWみたいなものを好んでいたので、ゴメスくんの参加は絶対と決めていた。

デモ音源

これもデモ音源が残っていたので公開してみます。


デモ音源を送って数週間くらいで、ゴメスくんから「Ghost」のアレンジが送り返されてきた。まさに思い描いていた、アナでは作れないソロ曲のイメージだった。

さらに、管楽器を入れてよりアナにはない感じにしてみたかったので、ゴメスくんとも親しくて、僕も当時Special Favorite Musicで何度か共演していた古川雄大くんにSAXをお願いした。

雄大くんと一緒にレコーディングするのは初めてだったけど、上田くんのスタジオに来てもらい、フリーキーに何テイクか演奏してもらいながら、イメージをすり合わせていく。雄大くんとは特別付き合いが長いわけでも、深い交流があったわけでもない。それでも、真剣に曲に向き合ってくれる姿勢とそのプレイに本当に感動した。

この曲も2016年には、ほぼ完成していていたと思う。

それから4年くらい経って2020年7月僕はソロアルバムを完成させて、PANORAMA FAMILYは7年ぶりのアルバムをリリースした。同じタイミングでアルバムが出せたのは、なんだか感慨深い。せっかくだからゴメスくんとはリリース記念に何かやりたいと思ってます。

PANORAMA FAMILYの新作『PFAM』も是非聞いてみてください!




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