『Paradise極‐KIWAME-』プレイ感想

【ブランド】PIL/SLASH
【原画】西緒十流、一野、スズケン、つたえゆず
【シナリオ】休養沢ライチ(LOVE&DESTROY)
【プレイ時間】約13時間

http://pilslash.jp/product/paradise_fd2/

Paradise三作品、満を持してコンプいたしました…。
クリア後1週間は経ったけど、満足感とロスがすごい。今回も感情の赴くままに感想を記していきたいと思います。
本編『Paradise』、そのアフターストーリーの『Paradise結』、そして本作『Paradise極』………プレイ当初は、本作『Paradise極』を本編派生ifのファンディスクくらいの立ち位置で考えていたのですが、結果、第二の本編と言うべき大ボリュームで(本編は12時間、極は13時間でコンプ)ピルスラ&ラブデスの本気を見ました。あとクラファン。

無印であのキャラがもしこう動いていたら……?
黒幕が早々に正体を現し、みんなが島から早めに脱出できていたら………?
更にはラスボスを真っ向から倒しにいったら………?

といった本編ベースのifシナリオにガッツリ尺割いて一本の作品にしてくれるスーパー充実っぷり。
FDが出るのも珍しいBLゲー業界で、3作もフルスイングで楽しませてくれるなんて…しかもこれに加えてドラマCDもあるんですよね?更には完全版「Paradise AnimationDirect版」も控えているんですよね???
うーん、最高の贅沢。幸せ。神(製作者様)に感謝。

ストーリー

『真実と解放をめぐる彼らの物語』
『アヅマと彼らが昏い呪縛から逃れ、真の幸福を掴みとる新たなドラマ』

・・・と公式にも記載がある通り、まさに「真実」の究明&アヅマのトラウマからの「解放」を完膚なきまでにやり遂げたシナリオなんですよね。
無印はアヅマ自身の過去からくる「昏い呪縛」を内包したままハッピーエンドを迎えており、しかも各ENDはほぼ国外逃亡という、諸々の根本的解決には至らず、若干の不安要素が残る終わり方だったんですよね、個人的に。
その点、本作では(一時ステイはするものの)国外逃亡することもなく、スーパーチートな新キャラ「ミコシバ」を味方につけ、仲間が一致団結して諸悪の根源の負の連鎖を断ち切るという・・・まさに王道!満場一致のスカッと大団円!を見せてくれて、アヅマもプレイヤーである私も大いに報われ、救われました。
※ 極で驚きの変化を遂げた「頼れるキドさん」はもっと見ていたかったけれども!!!!!!!

・・・以下、ネタバレ必至のキャラ感想です。

アヅマ

アヅマのことみんなで幸せにしよう!!!!!!!!!!!!!!!!
地獄の幼少期を過ごし、施設に入所したのが10歳、入所からしばらくは「斜に構えた一匹狼」で過ごし、施設を退所してからは何となくバイトして、その日暮らしでのらりくらりと適当に生きてきた現在22歳のアヅマ。
適当とは言え、自傷もせず、非行にも走らず、摂食障害などにもならずに毎日を過ごしてきたの、あらためて考えると凄い。
(いや、作中で描かれていないだけかもしれないけれども)
トラウマ持ちだったり、過去に色々あった主人公というのは珍しくないし、特にBLゲーでは多い気がするんだけれど、例えば「明るくて調子がいい」が「実は人に全く興味がない」とか逆に「人に執着しすぎて病み化」のような、「強烈な二面性」がないのが印象的&魅力的でした。
「明るくて調子がいい」けど実は陰キャ気味…とはいえ、基本的には人を信じていて、他人を真っ直ぐ好きになれるところや、マトモで優しい(ように見える)大人に懐きやすいところがとても可愛い。
喘ぎ声は凄いけど。
ミツギルートで本領発揮の凄い喘ぎ声………はさておき、アヅマの声めちゃくちゃ癖になるんですよね。
はじめは独特というか、個性的なしゃべり方と声質だな…と思っていたけれど、今ではもうこの声以外考えられない。
特にちょけてる時の声がとても良い…CGモード50%以下の時のシステムボイス「ダイジョブー」の言い方とかすごい好き。
無印~結~極と三部作やってきて、性格も声も、噛めば噛むほど味が出るスルメのような主人公でした。
毎度言うけど幸せになってくれ。頼む。

ホンゴウさん

今回、シマダさんとホンゴウさんに正規ENDが設けられてめちゃくちゃ嬉しかった…!どちらも「バッドエンド要員のサブキャラ」ではない2人の魅力が溢れた良いシナリオでした。
ホンゴウさんルート、優しい世界だった。
女運がめっきり皆無なホンゴウさんを明るく励ます&告白されて素直に「このピュアなおじさんを支えてやりたい」とサラッとOKして身体を許すアヅマがめちゃくちゃ良い奴でな…素直すぎてツボとか売らされそう。
無印から引き続きのホンゴウさんのデリケート問題について、克服するのかと思いきや、結局手だけで終わってしまったのは残念っちゃ残念。ホンゴウ節をもっと聞きたかった。
ホンゴウさん、どう見ても42歳くらいの顔・落ち着き・性的語彙なんだけどまだ35なんですよね。信じられん…。

シマダさん

・・・無印、結とプレイしてきて、極でシマダさんのことめっちゃくちゃ好きになってしまいました。
良いセリフが多すぎてボイコレ登録数ぶっちぎりNo1。
極は「きれいなシマダさん」と恋愛するルートなのかな…と思ったのもつかの間、サラッと自分の部下を薬物パーティに斡旋しようとする「いつものシマダさん」が出てきてからは、もうフルスロットルで脳汁出まくり。
至ってマトモな感性でシマダさんを詰めるアヅマを「めんどくさいなぁ」と苦笑して一蹴するところとかもう最高でゲス。
しかも追い打ちをかけるように「アヅマくんの見た目はすごく好みだと思ってるのに」「死んでくれたら少しは愛せる気がするのに」って!!!!!!
そんなこという攻略対象キャラっています!?!?!?
更には意識混濁したアヅマにボコボコにされて大興奮のシマダさん…アンタ……本物だよ…。
心がある人間に何の興味も沸かないシマダさんが、生に執着する元被虐待児のアヅマに惹かれるのは「自分にないものを持っている」ってことなんだろうなぁ。
一旦執着したからには、アヅマのこと頼みましたよシマダさん。

ナンジョウ

驚きのツンデレ。
ナンジョウがあんなに魅力的なメガネだったとは…。
目的の為とはいえ、冷静に考えたら結構酷いことやってるんだけど、圧倒的童貞イキり感+パン好きなところが可愛くて、軽率に好きになってしまった…。
ナンジョウルートのアヅマは魔性なので、攻略対象の中でも唯一手玉に取ってコロコロ転がしてるところが良い。
ただ、複数ルートの派生ということもあり尺が短いのが唯一残念なところ。
ナンジョウとアヅマ、あの後も関係が続いていくとして、2人でどんな会話するんだろう。日常会話とか出来るのか?とか、パン二人でもふもふ食べてるところ…とか、見たいシチュエーションはごまんとある。ナンジョウをデレさせたい。

ミツギ

安定の「俺とお前は多分、体の相性がクソほど良い」が出た瞬間、ものすごい充足感に満たされました。この言葉聞くと元気出るわぁ…。
ミツギがアヅマに出会った時すでに電撃が走っていたことを考えると、他ルートのミツギはどんな気持ちだったのだろうか。まだ諸々の気持ちが芽生える前の(この感覚は何なんだ?)レベルだから大丈夫かな、そうであってほしい。
ルート後半、ミツギとアヅマの関係性が変わっていく一つ一つを星で例えてくるのが非常にエモでした…。アヅマが書いた手紙(チラシ)を星の形に折って「流れ星でも落っことしたみたいに」鞄の中に投げ入れたとか、アヅマが幼少期、願い事をした星が合鍵…とか。めちゃくちゃロマンやん。
ミツギは無印も結も極も、すべからくスパダリで「アヅマをハッピーエンドに導いてくれる男」ランキングぶっちぎりの1位なので、とにかく安心して観ていられるのが最大の魅力ですね…。

マツダ

極のマツダは理想の攻め!!!(大声)
いやね、無印のマツダもすごい好きなんですよ…。暴力性を内に秘めているガチムチ好男子が、クローズドサークルで静かに壊れていって本性が出てきてしまうところとか。
Paradiseの「ハッピーエンドの中に歪みを残したまま人生が続いていく」を一番表していたのが無印+結のマツアヅだったんですよね。
だけど、極のマツダはすごいんですよ。強いんですよ。最初から最後までみんなのリーダー、頼れるマツダ一直線なんですよ。
なぜなら壊れていく前に島を脱出できたから!!!!!!!
そんな男気溢れるマツダと真正面からぶつかって、お互い全部さらけ出してからのマツアヅハッピーエンドなので、大団円感が尋常じゃない。好き。
自分の中の暴力性と被虐待児のアヅマを天秤にかけて、一生向き合っていかなかればならないと内省するマツダはめちゃくちゃ良い男なんですよおおおおおお理想の攻め!!!!!!!!!
あ、あと余談ですが、マツダがアヅマの好きなところ挙げる時必ず「顔」「懐いてくれてるところ」っていうのめちゃくちゃアガる。
(アヅマって相当顔面整ってるんだろうなぁ。ほぼ全登場人物が言及してるし)
そして、ミツギルートでの「星」同様、マツダルートラストでもやってくれましたよ…。アヅマがマツダのことを《子供の頃に憧れていたものを抱えて自分の元に来てくれた》って評すの…あまりにも最高じゃないですか?
しかも憧れていたものが「駄菓子の当たりクジ」とか「満点の花丸」とか「段ボールで作ったロボット」っていうね。
アヅマの暗黒の幼少期はなかったことにはならないけど、月日が経った今、マツダのことをここまで好きになれて本当に良かったなと、当方、万感の思いでいっぱいでございます。
マツアヅよ、永遠なれ・・・

タカラ

THEスーパー大団円!
・・・だけどそこにナンジョウの姿はなかった。辛い。
タカラルートに入ったのがナンジョウルートを先に終わらせた後で、彼への気持ちがノッているところのあの途中退場だったのでひたすら悲しい。
仲直り…生きてるうちにしてほしかったよ。
極でもタカラは相変わらず、天真爛漫な食人種でしたね。
無印プレイ当初は軽率に「サイコパスだな~」と思っていたけれども、タカラは一般人と育ってきた環境が違うから、一概に「サイコパス」の一言で括れないんですよね。特に本作ではアヅマの為に「変わろう」「変えよう」としてくれているのがありありとわかるので。
前戯なしでぶち込む豪快さはあるけれども。
というか、あれ、人の腕くらいの太さ長さじゃありません?アヅマの身体大丈夫?突き抜けない?
タカアヅの関係性って一言で表せなくて、特にアヅマ⇒タカラは恋愛というよりも友情の延長線上のそれなんですよね。二人でいると悪ノリしてしまう「男友達」感が可愛いんだよなぁ。

総評

無印とは別空間のハッピーエンドが見られて大満足でした。
無印は「閉鎖空間モノ」の王道で、飢餓や限界、疑心暗鬼が至るところに詰め込まれていたので、明るいシーンでも何となく仄暗い緊張感が付きまとっているのですが(そのべたついた感じが好きなのですが)本作は「閉鎖空間」を早々に脱出し、メインキャラ全員で「完全無欠のハッピーエンド」を物理で勝ち取りに行く話なので、物語の根底が明るいんですよね。
アヅマ筆頭に、登場キャラ全員の「過去」や「秘密」はシリーズで共通のものなんだけれども、無印と極でそれに対する向き合い方が全然違うので、最初から最後まで全く飽きずにプレイできました。
まぁ、根底が明るい…とはいえ、ピルスラであることには変わらないので、各種バッドエンドのエグさは業界随一かと。
マツダが腱全部切られたせいで、アヅマが壊れていく様をただ見ていることしか出来ないとか、タカラルートの人肉お披露目パーティとか、基本的にタカラパパ関連のBADは救いようがなかったですね。

以上!

私は早速、公式でピルスラ新作「ディストピアの王」とParadiseサントラをカートに入れつつ、ドラマCDを吟味しようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ではまた、次回のゲーム感想で…。


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