『Paradise結‐MUSUBI‐』プレイ感想

【ブランド】PIL/SLASH
【原画】ことみようじ
【シナリオ】休養沢ライチ(LOVE&DESTROY)
【プレイ時間】約6時間

Paradise本編エンディング後のアフターストーリーをメインに据えた本作。
ただのアフターだけではなく、本編でミツギ、マツダ、タカラは「あの時あの場所で」何を考えていたのかが丸わかりな「逆視点」シナリオや、サブキャラのシマダさん、ホンゴウさんにもスポットを当てた派生ENDあり…と、痒い所に手が届く、所謂、THE良質なファンディスクでした!!

本編発売当時おこなわれていた、超大盛況だったというCFのおかげで、本作と合わせてなんと2種類ものFDが作られ…更にはドラマCD、音楽CD、行きつく先には「Paradiseカフェ」を都内で開催したとか………!リアタイで存在を知っていたら絶対行きたかったやつ…トンデモメニュー体験したかった…。

というわけで、サクサクとキャラ別感想を記していきます。fusetterで書いたものとほぼ同じ。無論、ネタバレ豊富

シマダさん&ホンゴウさん

相変わらず道徳感がぶっ飛んでいるシマダさんと、本編BADの汚名(?)払拭のごとく恰好良いホンゴウさんでした…。
2人とのLOVEルートがあるのかと思いきや、あくまで彼らとは深い仲にはならず、あくまで「派生」エンド扱いで少し残念。

シマダさん、ネクロフィリア薬物レイパー(語感が良い)としての印象が強かったけど、本作ではカメラマンとして彼なりの矜持があったと知れるシナリオで好感。…いや、島に来る前にたまたま捕まってないだけで、軽犯罪繰り返してた(であろう)描写があるので結構シンプルに「悪人」寄りなんだけどね、シマダさん。例の大量の写真…同意の上なのだろうか…。そこ掘り下げてほしい…。

ホンゴウさんのENDはひたすら悲しかったですね…。タカラに利用された結果、どう転んでも死ぬとか…。もっと彼と普通に仲良くしたかったんですが…!?
ホンゴウさんってベースは「めちゃくちゃ腰が低くて優しい人」なんだろうけど、本編で全プレイヤーの記憶に残ったであろう「ねっとりしっぽりホンゴウ節」の印象が強すぎてあまり人気ないのだろうか…?
ホンゴウ節、また聞きたかった。システムボイスで叫んでたくらい?

余談ですが、野生の子熊扱いされているタカラの身体能力描写がすごかった。本編よりも更にすばしっこく、動物みが増している…可愛い。

ミツギ

あまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!
・・・・・めちゃくちゃ甘い、これが所謂「糖度」ってやつか。
とはいえ、アヅマとミツギのラブラブ同棲生活♡だけに特化するわけではなく、きちんと本編の謎も回収しつつ、ミツギのバックボーンも見せつつまとめてくるところが、さすが信頼のラブデスシナリオでしたね…。
いやぁ…ミツギにアヅマを任せて本当によかった…安心・安全・誠実・スパダリのミツギへの信頼感がうなぎ上り。
逆視点もアフターも、ミツギがいかにアヅマを大切にしているかがひしひしと伝わってくるもんだから、口角が自然に上がってしまった。
ずっと気になっていた、本編ミツギ→アヅマの初対面のガン飛ばしや沼ボチャの謎が解けてよかった。

ミツギアフターのタカラも良い役だった…。アフターではタカラは出てこないものかとばかり思っていたので、彼の登場は嬉しい誤算。
相変わらず明るいサイコパスキャラを徹底していて安心。キョトン顔で「だってアヅマは、俺だけのごはんだし………」発言、やっぱりタカラには抗えない大好き…となってしまいましたね…。

ラストの国外逃亡で、タカラがアヅマに付けていたGPS的なものはもう無効になったのだろうか。アヅマ=ごはん思考とはいえ、あのタカラがそんなにすぐアヅマをリリースしてくれるのだろうか、と少し不安は残りつつ。
あ、あとマツダの生死が不明にされているの、配慮されている感があって嬉しかったです…マツダもきっとどこかで生きている…そう思いたい。

マツダ

シンプルに好き。
アフターのマツダ、島で暴君ムーブの末の諸々をめちゃくちゃ後悔していたのがわかって、より人間味が増していましたね。
本編に比べると暴君というよりはガキ大将感が出ており、全体的に「小学生男子がそのまま大人になった」感じで、本編から比べるとだいぶ毒気が抜けてた。
アヅマ渾身の「殴ってくれ」で思い出したように殴るマツダ……ちょっとちょっと!本編のDV彼氏感全然なくなってるじゃないですか!!
いや、いいんだけど、アヅマの身体を労わるならば寧ろ殴らないほうがいいんだけど。でも…暴君ムーブのマツダが好きだった者としては少しだけ…ほんの少しだけ寂しい…。

タカラによるネタバラしシーンは、やはりミツギの生死はあえて不明にしていましたね。大丈夫、絶対生きてる!!
それにしても、結局全ルートのトゥルーエンドが国外逃亡とか、Paradise強い。
マツダとマツダ姉は血が繋がってない→ホウライグループは手を出さない!→ひと安心!!!!の一連の流れ、超スピーディーなゴリ押し解決でいっそスカッとする。
血縁関係ではないって、とんでもない事実をものの数分でサラッと。

それはそうとマツダとアヅマは、アフターEND後、バックパッカーとして何年くらい過ごすのだろうか。お互い壮年になった時は海外の田舎で目玉焼きとか作りながら、のんびり生きていくのかな…想像するだにエモさがある。
が、しかし実際どうやって稼いでいくのだろうという一抹の不安が。
数年バックパッカーで過ごす→ある時立ち寄った片田舎で事件勃発→解決→マツアヅどちらかが村人に見初められて定職に→その田舎に住むことに…みたいな流れとかだと、ロードムービー感があっていいですね。映画化してくれ。ハリウッドで。

本編をプレイしていて気になっていたマツダの過去とか、マツアヅの関係性の歪みとか、気になっていた点は本作で解消されていて大満足。
ただ、アヅマは(ミツギルートでもそうだったけど)過去のこと、ミツギやマツダに話す気ないな。
アヅマにとっての「救済」って、勿論ミツギやマツダという永遠の伴侶に出会えたこと…なんだろうけど、ただ、結局10歳までのアヅマ少年を救う手立てってどこにもないんですよね。
人生やり直す以外には、彼の生育環境を「なかったこと」にはできないわけで…、少年期に植え付けられた歪みやトラウマを内包したまま幸せになるしか、彼を救う方法がない。
過去を「話す」ことにどれだけ意味があるのかは、ミツギやマツダの話された側の捉え方で変わってくるだろうけど、実際アヅマは二人に詳細は話してはいないわけで。もしかしたら墓まで持っていくのかもしれない。両親のことはもちろん、弟のことも。
主人公の過去を吐露して「トラウマ克服!」「愛の力で解決!」を安易にやらない、ハッピーエンドの中に歪みを残したまま人生が続いていくの、ある意味すごくリアルな終わり方だったと思う。
そういうところが好きですね…ラブデスさん…

タカラ

本編で真ルート的扱いのタカラ。
結でも、トゥルーエンド展開バリバリだったので、最後にタカラを持ってきてよかった。やりきった感がすごくあるラスト。
本編タカラエンド後、ミツギ・マツダはタカアヅと国外に飛びシェアハウス。ホンゴウさんとシマダさんも恐らく存命、ということで、メインキャラ誰も死なないルートはやはりプレイしていて心地良い。

ミツギとマツダが一貫して、果てしなく大人な対応で恰好よかったですね…。アヅマもタカラもまだ20代前半らしい勢いとか突っ走りがある中で、二人は今後のことを考えたり作戦立てたり頭使ってくれててマジで頼りになる。最高。
彼ら家族の死の真相が明かされる場面も、思うところはあっただろうに、声も荒げず状況を理解するその姿勢…うーん、ミツギ&マツダ、あらためて「良い」わ…。

真アフター、というわけでタカラのお兄ちゃん「ナンジョウ」や諸悪の根源であるパッパも出てくる本作。色々あったけど、強行突破でサラッと勘当されてよかったねタカラ…。腕の一本くらい持っていかれると思って身構えてしまっていたよ…。
タカラ家の話をもっと見たいのだが、もしやドラマCDとかに詳細が描かれているパターン?発売から数年経ってしまったけれど欲しくなってくる…。

アヅマ→タカラへの恋愛感情が突然芽生えるシーンもよかったですね。乱れながらベッドに転がりこむ感じ、海外ドラマ感があってGood。
タカラが果たしてアヅマを食わずにいられるのか…まだ半信半疑ではありますが、当の本人が大丈夫って言っているので、一介のプレイヤーである私はひとまずタカラを信じてみることにします。
アヅマを幸せにしてくれよな!!!!!

総評

ミツアヅ、マツアヅ、タカアヅ、「みんな違ってみんな良い」これに尽きます。全員推せる。そしてどのCPも均等に推せる。
冒頭でも述べましたが、FDにありがち(?)なラブラブ♡アフターだけではなく、本編から地続きのシナリオ回収+それぞれの過去を描写してくれる細やかさのおかげで「Paradise」という物語をフルスロットルで楽しむことができました。
どうかアヅマが、いずれの世界線でも安心して生きられますように。





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