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レゴ魔人(エピソード4:怪獣誕生の秘密と名前)

*エピソード3の続き

街の青年タイガーの祖母、ヨッシーは話し始めました。
「何十年も前のずーっと昔のこと。他界した、私の旦那のヤスがまだ子供のころに、彼の祖父ヒッロ・ボウが携わったコンテストの事です。街の若者と技術者が集い、大きなロボットを作るというコンテストに出場することになったようです。これ、その時にヤスと仲間がつけていた日記だと思われます。」
ヨッシーが一冊のノートをレッコ姫に差し出しました。
そこには、90年以上前の日付が記してあったのです。

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コスモ30年4月1日 開始日
我々は、2つ山を超えた遠方にある大きな原っぱを見つけた。そこで、ロボット作りを開始する。まずは、材料とデザイン、機能的なことを話し合う。
コスモ30年4月2日 作戦会議 1デザイン班が決まった。リーダーは、ニコル。そして、エンジニア班のリーダーは、ジブメル。デザインに合う材料と図面、機械的な部分をお願いすることに決まった。総指揮官は、ヒッロ・ボウ。デザイン班とエンジニア犯は。お互い協力して、案を1か月後に持ってくる。
コスモ30年5月2日 作戦会議 2
それぞれ凹凸があるパーツを作り、この凹凸パーツを組み立てて作るという仕組みでロボットを組み立てていくことに決定。高さは、19メートルで、動かすためのモーターやシステムづくりを始める。パーツの素材は、木材よりも耐久性があるプラスチックを使用する。総指揮官のヒッロ・ボウが提案していた、皆が笑顔になるような楽しいイメージ、そして強い素材を実現するため、各パーツはそれぞれ色が違うものにし、耐久性があるパーツ探しを始める。1か月後に再度集まる。
コスモ30年6月2日 作戦会議 3
パーツは、赤に緑、黄色に紫と他の色も随時作っていく。素材のプラスチックには樹脂やプラスチックの廃材を使用する。とてもカラフルなロボットになるだろう。図面には、各パーツの番号がある。その番号を組み合わせて作っていく。明日から、開始。

ヨッシーが差し出したノートには、このような記録が続き、その後の記録には、

コスモ31年6月30日
どんどんと積み上げれば、自在に大きくも小さくもできる。そのため、組み立てれるだけ、組み立てていき、できるだけ大きなロボットを完成させることに決まった。モーターも完成した。現在の高さは20メートル。顔と首をつなげれば、およそ40メートルになるだろう。遠隔で操作でき、動く巨大なカラフルな怪獣になるだろう。

コスモ31年9月30日
コンテストの中止が決まった。せっかくモーターを取り付け、機能の確認を終えたばかりなのに、残念だ。中止に伴い、街からの支援も受けられなくなった。この巨大な未完成のロボットをどう処理するべきか。

コスモ31年10月1日

ロボット政策にいたメンバーと街の反対があり、ロボットを移動できない。分解には時間がかかる。少しずつではあるが、ヤッスとジブメル、私で分解するか小さいロボットに変えて、街に持っていこうと思う。

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コンテストの中止が記載されていた。その後からは、日記が更新されていません。

・・・・・・・・・・・・・・ふぅー・・・・・・・・・・・・・

シーンと静まり返っていた中で、その場にいた全員のため息でした。そして、

レッコ姫 「ヨッシーさん、ヒッロ・ボウというお方については、責任感が強く、街中から尊敬されていた人だと聞いたことがあります。あなたの旦那様だったのですね。」

ヨッシー 「そうです。彼は私の旦那ヤッスをつれて、よく山を越えて作業に行きました。街に戻すものがあると。それが、この怪獣だったのですね。」

彼女の頬には光るものがありました。

タイガー 「僕の祖父が亡くなった後も、僕の父は街に戻すものがあるのだと時々遠くへ行っていました。僕の父は、隣の山を越える途中で事故にあい、他界してしまいました。僕も幼かったので、一緒に連れていけなかったのだと思います。」

レッコ姫 「二人とも、ありがとうございます。間違いなく、この大きな怪獣君、私の街が作ったものだわ・・・。」

アン 「あなた、もしかして、ずーっと置いてけぼりにされてたの?寂しかったよね。」

怪獣の顔をさすりました。

ギギギギギギギギ

音を立てて、怪獣がうなずくと、その場には、また大きなため息が聞こえ、みんなの頬には涙がつたっていました。

レッコ姫 「みなさん、私たちは、この子に顔を付け、ある程度まで完成させることができたわ!また、みなさんの協力が必要です!ぜひ、完成させてあげましょう!お話しできるようにしてあげましょう!この子は、私たちの街から出来上がったのだから!」

皆、立ち上がり、怪獣の周りに円を作りました。そして、

レッコ姫とエルジィジィの「おーーーーーー!!!!!」という声に続き、片腕を上げ、一致団結して完成を誓いました。
そして、レッコ姫はタイガーと彼の祖母ヨッシーが持ってきてくれた日記の続きを続けることにしました。

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コスモ120年9月1日 街に現れた怪獣について
体長約20メートルあった怪獣を7.5メートルまで小さくし、顔を取り付けたが、話をしない。しかし、話す内容は聞こえていて、理解しているようだ。これから、皆で団結し、話せるロボットに改善することにする。このロボットは、私の街が作り上げたものだ。もはや、怪獣ではない。

コスモ120年9月2日 作戦会議
エンジニアのチームで話せるようになるシステムの開発を始めた。1か月後に再度集まる。

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ある日の朝、
エルジィジィ 「レッコ姫、デザイナーチームから、あの怪獣の余ったパーツを街の壊れた壁など、街の再建に利用しましょうという提案がありました。」
レッコ姫 「それは、いいわ!もちろんです!デザイナーチームにお任せするわ。」

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コスモ120年9月9日 街の再建と余ったパーツデザイナーチームからの提案で、余ったパーツは街の再建に生かすことになった。デザイナーチームが取り掛かっている。

コスモ120年10月9日 街の復興
街に出て、驚いた。デザイナーチームにより、余ったパーツで復興された壁や屋根で、街中がカラフルで、とても明るい。

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怪獣が話せるようになるための開発から、一年たった。
そして、デザイナーチームの提案から、それぞれ色が違うパーツを使った街の復興が進み、街は色で溢れ、とてもカラフルになった。そして、同じ素材を使ったパーツも製造されるようになり、街は一層、明るい色で溢れた。

あのロボットは、どうしているかというと、まだ話せない。

しかし、

「レゴー!!!!こっちにきてー!!!!」「レゴ―、屋根の上にあるボール、取ってもらえない?」「レゴ―、おばあちゃん、歩けないの。お買い物に連れて行ってくれる?」

街では、レゴーと呼ぶ声がします。その声と一緒に、「ギギギギギ」という音も聞こえます。あの怪獣は、もう、怪獣ではありません。街のロボット。レッコ姫の日記には、

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コスモ120年10月9日 怪獣ロボットの名前が決まった
街のロボットなので、名前をつけることにした。子どもたちが、のぼって肩の上に乗り、レッツゴー!!と言って一緒にでかけることと、そして、それが私の名前に似ているので、「レゴー」と名付けることにした。ちなみに、この名前はアンさんの提案によるものです。私たちは、もう、怪獣とは呼びません。名前のレゴーと呼ぶことに決めました。

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エピソード5に続きます。

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