レゴ魔人(エピソード3:顔が出来上がった怪獣)
前までのお話し
平和で活気あふれていた街に突如として現れた大きな怪獣。その怪獣に近づいていったアンという女の子を助けるために向かっていったレッコ姫。しかし、アンはその怪獣を撫でながら話しかけていた。その様子を見て、この怪獣は怖いものではないと確信したレッコ姫と街の大人たち。そして、発見したのが、この怪獣はパーツを組み立てて出来ていたもので、首から上、顔がなかった。それから、街中一致団結して、怪獣のパーツを取り外し、組み立て、顔を作ってあげることになった。
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「はーい!もう一つ、赤色!」
「これは、緑!」
「よし!この緑は、向こう側につけれるぞ!」
「さっすが、大工さん!」
街には、パーツを取り外す人、運ぶ人、組み立てる人の声が響いていました。
「首、完成!」と街の一番腕の大工が言うと、
「こっちもあとは目ができてるぞ!」
「鼻もできあがりー♪」
「あとは、向こう側で合体させれば、出来上がるぞぉ!」
街は歓声で溢れました。
「うわー!なんて色とりどりでカラフル!素敵だわ!」
と、汗を垂らしながら作業をするレッコ姫も喜んでいます。
アンと子ども達は、パーツを取り外されて少し小さくなった怪獣の肩に乗り、話しかけながら、励まし続けます。
「怪獣さんが、お話しできますように・・・。」
「お友達になれますように・・・」
「出来上がったら、一緒に遊ぼうね・・・!」
作業が始まって約1カ月目。朝のお城。
エルジィジィが大きな声で息を切らしながら走ってやってきました。
「レッコ姫!」
「エルジィ!どうしたのですか、そんなに急いで!」
「姫、デザイナーから連絡がありました!完成できます!」
「素敵!エルジィ、街のみんなに呼びかけて!完成させましょう!」
作業をしていた丘に街中の人々が続々と集まってきました。
「まぁ!だいぶ小さくなっちゃって・・・」
「小さくなりはしたけど、やっぱり私たちよりは、だいぶ大きいわね。」
「でも、これなら、街を踏みつけて壊されることはないよ!」
「何かあっても、戦えない大きさではないな」 「色がたくさん!景色がポップになったわ!」
色々な声が聞こえる中、
パパパーン!
ラッパの音が街中に響き、
「皆様、これから協力して完成させたお顔を取り付けいたします」
レッコ姫の号令でお顔がとりつられました。
「ほら、立ってみて!」
とレッコ姫が、座っている怪獣の肩をポンポンと叩きました。
声をかけ、まわりにいた子どもたちと大人で、怪獣を手伝います。
ギシギシ・・・・
音をたて、カラフルな怪獣は立ち上がりました。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・
「うわー!!!!」
一瞬シーン・・・・とした後、
街中が拍手と歓声に溢れました。
「名前、どうしようか???」
「お話しできるかな??」
「走れるかな??」
子ども達は、一斉に走り出し、怪獣を取り囲みました。
「すごく、素敵なお顔だわ!」
アンは、抱き着き、そして、
「お話し、できる??」と尋ねました。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・
答えが返ってきません。
続いて、レッコ姫
「お名前、あるなら教えてくれる?」
そして、ギシギシと音を立て、怪獣は首を振りました。
また静まり返る人々。
・・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・
「なーんだ!話せないのかぁ。」
「がっかりだなぁ!」
「まぁ、でも、とても素敵になったんだし、いいじゃない!」
「お友達になって遊びたかったなぁ」
などという声も聞こえてきます。そして、徐々に人々も家へ戻ってしまいました。
組み立てを一生懸命に頑張り、励ましてきた人々と子ども達、そして、デザイナー達。肩を落としながらも、「我々は、立派にやり遂げた!」「もしかしたら、話し出すかもしれないぞ!」「諦めるのは、まだ早い!」と希望を捨てず、その場に残りました。
「話せるように、また、みんなで協力しよう!」
「誰か、腕がいいエンジニアは知らないか?」
そうしている間に、お昼のキラキラとした太陽の明るさは消え、月の穏やかな光にかわっていました。
その日の夜は、とてもきれいな満月でした。そんな満月の下、静まり返る人々と、話さない怪獣の肩で祈る子ども達。そして、申し訳なさそうに、肩を落としてがっかりしているように座っている怪獣。だいぶ小さくなったせいもあり、一層深く落ち込んで泣いているようにすら見えました。
シーンと静まり返る中、満月の光の道筋を2つの影が見えてきます。それは、村の青年タイガーと彼の祖母ヨッシーでした。
「みんな、聞いてくれ!実は、この怪獣について、話したいことがあるんだ!」
「思い出したって、この怪獣が話す方法がわかるとでも言うのか!?」
と人々。
「その方法は分からない。ただ、この怪獣がどこからやってきたのか、どのように創られたのか、もしかしたら分かるかもしれないんだ!」
タイガーは続けました。しかし、
「だからって、どうしろっていうんだよ!」
「今は、話ができるようになる方法を探すのが、先だ!」
と言う人々。すると、青年タイガーと彼の母親ヨッシーは、ため息をつき
「こいつが出来上がったのは、僕らに責任があるかもしれないんだよ・・・。」
「でも、仕方がないよな・・・。」
「本当は、悪い奴じゃないと思うんだ。話ができるようになったら、また来るよ」
がっかりして、来た方向へ向かい歩き出しました。
「ちょっと待って!、一度聞かせてください。何を思い出したのです?」
レッコ姫が立ち上がり、呼び止めます。
「聞いていただけるのですか!?」とタイガーは驚き、振り返りました。
続いて祖母のヨッシーが
「私の夫の少年時代、ずいぶんも前の事です。あるコンテストに出場するために、彼のお父さんと祖父と仲間で、あるものを作っていました。その時の日記があったんです。もしかすると、それに関係があるのかもしれません。」
次回に続きます。
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