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ハンチントン病の進展にDNA損傷センサーの活性化が寄与しているらしい

ハンチントン病の変異のせいで核外に迷い出たDNAの屑が神経細胞を害する炎症やオートファジーを誘導するセンサーを発動させるらしい。そのセンサー分子の抑制がハンチントン病の新たな治療法となりうる。

体を不自由にするだけでなく情緒や思考も蝕むハンチントン病に見舞われた家族は数々の困難に直面します。たいてい30歳を超えてから発症するので本人が知らぬ間にその原因遺伝子変異が子供に受け継がれていることが往々にしてあります。

ハンチンチン遺伝子の変異という原因が分かっているにもかかわらずその発病の仕組みは不明でしたが、その一端を米国フロリダ州のScripps ResearchのSrinivasa Subramaniam氏らの研究チームが解明し、困難に直面する患者やその家族にとっておそらく喜ばしいことにハンチントン病治療の新たな道が開けました(1)(2)。

Subramaniam氏等の今回の研究ではDNA損傷感知酵素cGASが炎症やオートファジー助長によってどうやらハンチントン病患者の脳細胞の破壊を引き起こしていると示唆されました。

ハンチントン病の変異を被る神経細胞は核外の細胞質に正常だと見られないDNA断片・小核を多数宿すことも示され、それらの迷えるDNAがcGASを活性化して線条体神経細胞を害する炎症やオートファジーを誘発すると研究者は考えています。これまでの研究で小核はcGASを亢進することが分かっています。

今回の研究によると脳のcGAS活性の抑制でハンチントン病を治療できそうであり、次の課題として、化合物や遺伝情報加工でcGAS活性を減らしたときの効果がハンチントン病を模す動物の実験で検討されます。

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